《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 24

病院のウワサは大學にも草の種子のようなじで流れてくる。大學附屬なので、割と流が有るからだったし、病院の看板でもある香川外科なので皆の注目度も高いから尚更のこと。

香川教授も理知的かつ憐悧な顔立ちでナース達陣に人気がありそうだが、何分雲の上の教授職という職階の高さが災いして(?)高嶺の花的なじで眺められているだけのような気がする。その點、田中先生は実力こそふんだんに持ち合わせているものの、一介の醫局員なのでナースも近付きやすい気安さを持っている。それに先生自が割と気さくなじだし、ナース達の相談にも乗っているというウワサだった。

だからの人気は病院一だというウワサも本當だろう。ウチのお母さん世代では「高學歴・高長・高収」が結婚相手としてましいとされていたようだった。俺は辛うじて高學歴だけはクリアしているじだが、田中先生も順調に行けば高収が期待される人だし、後の二つは楽々と飛び越している上に多分が大好きそうな容姿の持ち主でもあるので尚更に。

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ただ、コミュニュケーション能力という點も凄く高そうで、そういう意味でも香川教授が重用してそうなだった。手技の確かさとか才能も相俟って。

「専門分野では間違うようなことが有ってはならないのも事実ですが、その他の雑學というか雑談力ですね、そういう點が求められます。患者さんの些細な相談などを――放置すれば不満度が上がってしまうことが有り得ますので――引き出すためにも々と話す醫師でなければならないと思いますよ。それが醫局全の評価に繋がりますので」

香川教授は淡い笑みを浮かべて田中先生を見ていた。

教授が――そうは全く思わないのだが――かにコンプレックスを抱いているという會話能力も求められているらしい。

「なるほど……。とても勉強になりました。背筋がびる思いです。

しかし、患者さんの相談相手はナースの仕事だと思っていましたが……」

今日だけで――まだ數時間しか経っていないが――ナースの仕事の雑多さと多忙さに尊敬の念を抱いてしまったので、ウチのお母さんのようにどこか見下すわけではなかったものの、醫師と看護師の役割分擔については聞いておいた方が良いだろうと思った。

「いえ、それは醫師が近づきにくい雰囲気を醸し出していた時代の話です。ナースよりも専門の高い職業に就いている我々こそが患者さんの相談相手になるのが今の主流ですね。

ただ、分からないこととか即答出來ないような質問をされた場合は即座に柏木先生とか私に相談して下さい。決して自分で抱え込まないことです。我々も必要であれば教授や黒木準教授に相談をしていますので」

そういう連攜プレーが上手く回っているのだろう。手技では輝かしく確固とした実績を誇る香川教授を慕って海外や日本全國からの患者さんが絶えないと聞いていたが、そのチームにれたことを改めて有り難く思った。

こうして豪華な――と言っても張の余り味は良く分からない――仕出しのお弁當を向かい合って頂いているオレというのも何だか信じられないように思ってしまう、今更だったが。

「黒木準教授からも推薦というか……口添えが有ったのですが……。救急救命室にも向いている人材だと。

そちらにご興味はありませんか?」

香川教授が割と真剣そうな聲でそう仰って下さった。

ただ。

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