《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 5

「ただ今戻りましたっ!」

三人だけの休憩スペースと化している控室にると、柏木先生が可笑しそうな表で迎えてくれた。

「ゆっくり歩いてきたのは心だが……。そのスーパーの特売に行った主婦もびっくりの大きな袋のせいで自然と歩くのが遅くなったんじゃないだろうな?」

コンビニのおでんは、詰めてくれる容が大きいせいで嵩張ってしまうだけで、そんなに重くない。

ただ、そのことは柏木先生も知っているハズなので単純にからかわれているだけだろう。

「いえ、デートに備えてゆっくり歩く訓練を積んでいるだけです。

あれ、田中先生は?」

柏木先生の分と田中先生のを先程まで占めていたスペースに置いてから、オレの収穫を並べた。

「久米先生……。その唐揚げの量……、しかも『じゃがりこ』とポテチ、そしてコーラ……。見るからに太りそうなモノばかりだし、しかもにも……文字通り醫者の不養生だし、夜中にそんなに食べたらアクアマリン姫に嫌われるぞ……」

食べられる時に食べておくというのは鉄則だったので、両手に唐揚げを持って食べていると柏木先生が呆れたような、そしてやけでもしている表を浮かべていた。

「ハイヒール、調達して來ましたよ」

田中先生が戦利品のように掲げた靴を見て(こんなの、本當に履いて歩けるのか?もしかして、醫局の先輩方に――たとえその気は皆無だったにしろ――要らぬ誤解を與えた顔面強打事件の再來になるんじゃ?)と心でビビってしまった。

しかし、田中先生は醫局のどこでこんな靴を調達出來たのだろうか……。

「おい、田中先生、それはハイヒールというよりピンヒールだろう……。ほら、ドMの男が王様に踏まれて喜ぶような……・

ま、サンダルみたいな形だからサイズ的には大丈夫だろうが」

を食べながら柏木先生が恐ろしいことを言った。

確かにサンダル――正式名稱は當然知らないが何かしらの名前は付いているのだろう――のように足の甲に太めの一本のリボンにお花があしらってあるというシロモノだった。しかも極細のヒールは目測で5センチから6センチの高さだった。

そして、ヒール部分を持った田中先生が、オレの前にサンダル……いや靴をかざしてくるとイタリア語と思しき文字列が目にった。

思わず目を真ん丸にしてしまった。

何故なら。

    人が読んでいる<香川外科の愉快な仲間たち>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください