《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 16

田中先生は「面食いだ」と公言しているし、あの恐怖のハイヒールよりも――オレがそこそこハマっている乙ゲームでは皆があんなヒールを履いて普通に戦闘をしていたのだから、そんなモノだと思っていたが、実際では絶対無理だ。あれはゲームとかマンガの中だけのフィクションだと分かった。今までは何の疑いもなくあんなヒールで戦うJKが普通だと思い込んでいた。そういう意味では田中先生がを以って教えてくれたのは本當に有り難い――高くて華奢なヒールが似合うなのだから足首は田中先生の長い指じゃなくても親指と人差し指だけで楽々回せるほどだろうし、あんな華奢なヒールを――特に商社レディは一般職社のですら「未來の商社マン夫人」として採用されているそうなので貌とご主人がいずれは海外勤務に就くので語學力、そして人當たりの良さまで厳選されているというウワサは聞いていた。

田中先生の彼さんは、そんなの中で――その點はが多いナースでも同じだと仄かに聞いている――あんなヒールを履けるのだから足部分以外のパーツだって完璧に決まっている。そうでなければ一般職のたちからハブられること請け合いなので。

という點は楽々クリアしていそうだから、東京タワーとスカイツリーが見えるラウンジかどっかで「君の瞳に乾杯」と言ってもきっとサマになる。

だから、田中先生がオレのような並み以下のルックスに――しかも夜中に唐揚げとかを食べている報いがお腹周りにプルンとしたが付いてしまっている――相応しい言葉が思いつかないのかも知れない。

ただ、田中先生はナースや事務局のに絶大な人気を誇っている。ラブラブな彼が居るとカミングアウトしても、バレンタインディには本命用の値段の一流ブランドのチョコレートが山のように屆く。

當然ながら、綺麗な人もいるけれども並みとかそれ以下とかのも正直居る。そういう人にも如才ないお禮の言葉を言っているのを聞いているので、田中先生の語彙力とか會話力では簡単なハズのような気もしたが。

「そうですねぇ。無難に『二人の初デートが晴天だったのを祝って』とかはどうですか?」

柏木先生が右手に4ボールペン、左手でお箸を用にって――利き手でなくともお箸くらいは使えなければ外科醫失格なので――ロールキャベツを千切っている。

「あ!それ良いですね!えと『二人の初デートが晴天だった』……痛いっ!!」

プリントアウトした紙の「君の瞳に~」部分に二重線を引いて、大きな赤い字で書き込んでいると、田中先生の人差し指がパチンと額を弾いた。

田中先生の適切なアドバイス通りにしようと――そして來るべき初デートの時に噛まずに言えるように練習して臨もうと思っていたのに――どうして叩かれなくてはならないのだろう。

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