「多重事故発生っ！！負傷者５人っ！！

ＤＯＡ（亡くなって病院到著）なら仕方ないけど、著いたからには全員殺すなっ！！！」

杉田師長の聲が、何だかヤ〇ザ映畫――お父さんが好きなのでリビングで観る機會が多々あった――の「姉あねごというじで響き渡った。

「久米先生、じゃあこのメモリは預かっておきますね。

さて、我々の戦場に急ぎますか……」

田中先生はキンキン聲で救急車からってくる患者さんの別や大の年齢そおしてバイタルとかをドスの聞いたじで言っているのとは対照的に田中先生は至って飄々としたじだった。

それは普段も同じだし、そのくせ患者さんを目の前にすると的確かつ無駄のない治療をするのが見事だが。

そして、田中先生に救えない命だったら、誰が當たっても絶対に救えない。

そのことも確かだった。

しかも標高の高い山から滝が流れるような大膽で華麗なメス捌きはオレの憧れでもある。

そういう場面を直接見て――といっても、オレもするべき仕事が有るので一部始終を見られないのは當然だが――勉強出來るのも、香川教授の醫局にれたからだと自分の幸運をかにかみ締めた。

それに、公私問わず々言われる代わりに、しっかりと指導をしてくれる優しい先輩には違いない。

田中先生を観察して見えてきたことは「この人間に何を言っても無駄だ」と判斷されたら、そこで神的なバリアーを張ってしまう質だった。

だから々言われているうちが――しかも理不盡なことではなくて、的確なアドバイスだった。その時は分からない指示なども有ったが、後々考えてみると（ああ、あれはこういうことが言いたかったのだな）と分かることだらけだった――花だと思う。

先ほど恐怖のハイヒール験を味わっていた場所に向かってダッシュで駈けて行った。

救急隊員から患者さんのをストレッチャーに移させたり、バイタルなどを聞いたり醫師でないと分からないことを確かめたりするのも研修醫の役割だったので。

「お疲れ様……。殘ってた唐揚げ食べてしまったのだが良かっただろうか？」

野戦病院さながらの救急救命室が、全員の患者さんの命を救って――その點も凄く素晴らしいと思う、特に田中先生の獅子迅といった働きぶりと柏木先生のよく剛を制すといったじが上手く調和して回っていた。

「お疲れ様です、柏木先生。あれ？田中先生は……タバコを吸いに行ったのですかね」

事後処理も研修醫の仕事なので、先ほどの休憩室に戻ると田中先生の姿とＰＣが――ちなみにオレが使っていた舊式のヤツだ――なかった。

「ああ、一服してくるだとよ。久米先生に伝言『先生のＰＣの下を見ろ。さもなくばＵＳＢメモリは返さない』とのことだ……。

唐揚げ食べたらビールが呑みたくなってしまうのが難點だな……特にセブイレのは」

何だ？その伝言と思って、超小型のＰＣを持ち上げた。

すると。