《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件の後」 36

々と気を配って頂いて本當に有り難うございます。

お金もそうですけれど、貴重な貴重なお時間まで割いて頂いて申し訳なく思っています。

あの五千円札は軽々と使える種類のお金だと思っていません」

頭を下げたら、田中先生は綺麗に整った眉の間から晴れ晴れとしたを放っているようだった。

「いえ、醫局の先輩として寧むしろ當然かと思います。

それに醫局のムードメーカーとして久米先生は貴重な存在ですからね。それに私生活が充実していると仕事にもより一層の遣り甲斐もじられますし、能率とか集中力も増します」

田中先生が何処か遠くを見るようなじかつ幸せそうな笑みを浮かべている。先ほど気になった目の下のクマもすっきりと晴れたようなつやつやしたに戻っているような気がした。

多分、東京とか海外とかに居る彼さんのことでも思い出しているのだろう。

「話は戻りますけれど……田中先生の彼さんもあんな高くて華奢なヒールを履いてデートにいらっしゃるんですか?転倒こけたりしないんですか?

オレ……いや、私なんて何もないところで時々転びます。転した時とか疲れ切っている時なんか特に」

田中先生が可笑しそうにを弛めている。

「そもそもが用な人ですし、運神経も良いのでその點は大丈夫です。

アクアマリン姫と一緒に歩く時には側とかの窪みに気を付けた方が良いですよ。

それに足が急に止まったらすかさずを支えると良いかと思います。

最初は肩が無難でしょうね。スキンシップもお互いの心の距離をより近づける作用も有るので、無難な場所をすかさず摑んで庇うというのも一つの手段です」

ああ、そうか……【デート!!】の時にそうやって細かい配慮をしていけば良いのかと目から鱗ウロコが落ちるようだった。

「いつものような速足で歩くのは止めにして、ゆっくり歩きます。そして、マンホールの蓋ふたとかの不慮の場所では彼の肩……」

実際にの肩を――搬送されて來た患者さんは別だし、そもそもそういう患者さんの場合患部と患部の可能のある場所しか診ない――摑んだらどんななのだろうかと思う。特に彼は華奢だしそれに肩を抱くということは髪にも近くなる、多分。そうしたらシャンプーの良い香りが漂って來たりして。

そう思うと、スクロールしてもスクロールしても終わらない田中先生の力作の臺本を丸暗記することくらい全然平気だ。

それに。

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