《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 37

高校時代の友達は――大學院に行っていないということも有って――社會人二年目だが、やれブラック企業だとか、殘業がキツいとか言っている。ただ、京都に居るという人は稀まれなので東京本社勤務とかが多いからフェイスブックとかラインで時々連絡を取る程度だ。京都に殘っている友達も居ることは居るけれど、オレとは休みが合わないので自然と疎遠になっている。

そのブラック企業と本人が主張している某一部上場企業の的な勤務時間を聞いてみると、田中先生なんてブラックもブラックな時間を拘束されている。

病院一の激務を誇る――なまじ有能なので々な職務が自然発生してくる――田中先生が、オレごときのデートのために目の下にクマまで作って作して下さった臺本だ。

ああ、京都在住の友達も結婚式に招待すれば會えるのかと思うと嬉しくなった。

「両親に紹介したいのですが、良いですかね。

ウチは割と過保護なので『人』が出來たとなると即座に紹介したいんです」

際が――田中先生の臺本付きという凄い特権がついているのは本當に有り難い、激務の田中先生には悪いとは思うけれども、やはり人間自分の幸せが一番なエゴイストだ――上手く行くしか思われないので、早く両親を安心させたい。

田中先生は整った眉をわずかに顰めている。タバコの煙が目にったわけでもないのに、何故だろう。

人としてアクアマリン姫は申し分ないであることは私も分かっています。

しかし、過保護のご両親、しかもお母様は専業主婦ですよね?ちなみに大學はどこを出られたのですか?」

オレや田中先生の周りには當然ながら大學卒が普通だろう。

「母ですか?K戸學院ですけど……英文科卒ですね」

田中先生の眉間がより一層険しくなる。

「久米先生の世代ではそんなに問題にはなりませんが、お父様・お母様世代だとギリギリで看護師に関する偏見がまかり通っているかと思います。

そんな『下品』なと結婚を前提としたお付き合いには――親に紹介するというのはそういう意味です――難を示すのではないでしょうか?」

田中先生の指摘に驚いた。看護師が何故悪いのかと思ってしまう。

「え?そんな……。だって、杉田師長とかはそこいらの醫師よりも頼りになりますよ?他のベテランナースも流石だなと思って見ています。それでもダメなんですか……」

そういうのは偏見だし差別心の表れだと思ってしまった。

「だったら、自宅で食事を摂る機會が有ったら、一般論として……そうですね」

田中先生がタバコの煙をの中いっぱいに吸い込んで何やら考えている。

病院一のイケメンとも言われている人なので、そういう仕草の一つ一つがカッコ良い。

オレが同じことをしても――と言ってもタバコを吸えないので不可能だが――多分「違くね?」と柏木先生辺りに言われそうだ。

すると。

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