《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 44

「このカードを自販機にタッチさせないとタバコは買えません」

田中先生はーーオレが非喫煙者であることも知っている、當然ながらーー呆れたじではなくて親に教えてくれた。

「そうなんですか?でも、田中先生はそういうカード類の発行とか面倒くさがるタイプだと、イタいっ!!」

パコーンという音と共に頭を叩はたかれた。大した痛みではなかったが、田中先生がオレのオーバーアクションを楽しんでいる節があるので大袈裟に頭を抱えた。

「スルーしても大丈夫なモノは當然ガン無視しますよ。ただ、このカードは他人がーーもちろん年に限りますがーー持っていないこともあるので、イザという時には貸し出せますので作りました。

コンビニとかの有人店舗で買う人が圧倒的なのですが、時折はこういう自販機のみといったところを使うしかなくてですね……その時に他人に貸せるようにと思いまして」

タバコのリスクを最も知っている醫師とか看護師なのに、それでも喫煙率は高い。だから田中先生もわざわざ自販機用に作ったのだろう。自分用ではなくて主に他人に貸し出すためというのが「気配りの人」でもある田中先生らしかった。

「へえ、こうするのですか」

自販機といえばオレがしてやまないコーラの赤いヤツしか利用したことがないだけにタバコの自販機が珍しくて仕方がない。

「この狀態でお金をれれば大丈夫です。ああ、そんなに気を遣って下さらなくても大丈夫ですよ。

今夜はアクアマリン姫のーーというかヒールを履く全般に言えることですがーー模擬験までさせてしまったので」

田中先生が財布を出して小銭をれてくれた。

「あれは本當に勉強になりました。脳外科まで岡田看護師をこっそり見に行ったことはありますが、その時は當然ナースシューズだったので燕ツバメのように軽快に歩いていました。だからそんなものだと思っていました」

一個一個オレにを以て験させてくれたり、仕事の合間をってデートの「臺本」というかマニュアルトーク集を作ってくれたりと田中先生にはお世話になりっぱなしだ。

そりゃあ、仕事で、ヒヤリハット事例に繋がりそうなミスを仕出かしてしまった時はーーといっても香川教授とか、そういう事例を報告しなければならないヒヤリハット委員會に上げる程度の大きなミスはしていないがーー容赦なく叱られるが、それはオレが悪いことも分かっているので気にならない。

すると。

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