《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 45

「お母様に『ナースと付き合ったらどうする』と世間話みたいなじで言ってみて、大反対をされた場合マズいですよね……。

私の場合は人が非の打ちどころがないような人ですので、家族の――と言ってもウチは母しか居ませんが――反対は幸いにもなかったです」

そりゃあ、商社で総合職になれるだったら學歴的にも職歴的にも問題ないだろうし、田中先生が付き合うと決めたのだったら人さんな上に格も良いハズだ。だったらお母様が反対する理由は「気が合わなさそうな気がする」程度で、積極的には反対出來ないだろう。

それに田中先生の実家は京都府の日本海側なので、(未來の)お嫁さんとお母様が同居することも――もっと年を取って怪我をしたり、認知癥のなりかけになったりするような事態が起こってから考えるかもしれないが、それ以外は考えにくい――ないだろうし、結婚してからもお盆とお正月に挨拶に行く程度だろう。

ただ、ウチの場合は同じ京都市だし、何かと行き來するのを母はんでいるっぽいし、もしかしたらウチの余っている土地に新居を建ててくれて――それ自はとても有り難いけれども、しょっちゅう顔を合わせないといけないハメになるのは目に見えている。そういう時には「嫁」として振る舞わないといけないんだろうな……と的にはさっぱり分からないものの、アクアマリン姫の神的負擔が大きくなりそうな気がした。

「母が思いっきり反対した場合、どうすれば良いでしょうかね?」

田中先生は自販機のボタン(?)を押しながら、顎あごに長い指を當てて考えている。

「まあ、K戸學院卒のお母様だったら、反対する可能が高いでしょうね……。

あ、ご実家のクリニックにも看護師さんを雇っていると思いますが、その方達のことを何と仰おっしゃっていますか?」

流石に田中先生は鋭いな……と心してしまった。そういう些細な言から「オレのお嫁さん」候補を――というかこの人を逃したら一生獨かもしれない、めっちゃモテている田中先生とは異なって――母がどう思うかの推理材料にする積りなのだろう。

「あまり関心を持っていないようです。ナースさん達との流も一切ないみたいですし……」

田中先生の男らしい眉が曇った。

「たとえば、お中元とかお歳暮が來て余ったり要らなかったりしたものを看護師さんに分けるとかそういうこともナシですか?」

口調が確かめるじになっている。そんなことは注意して見ていたワケでもないけれども、よくよく思い出してみることにした。オレが學校とか予備校に行っている、家を留守にした時のことは分からないけれども。

しかし。

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