《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 47

「ああ、そう言えば日持ちしないお菓子などは、ご近所の、町會の會長さんとか副會長さん、そして開業醫の奧さん達で作っている『ドクターズワイブズクラブ』のお茶會に持って行っているみたいです。父のクリニックの看護師さんに上げてた記憶はないですね……」

い頃にそういう集まりに連れて行かれたことが有る。その時は床一面が白い大理石で――今思えば――しかも石だから冷たいのかと思っていたのに凄く暖かったことを思い出した。床暖房完備のお家だったのだろう。オレは本音を言えばコンソメ味のポテチを食べたかったのだけれども、バターたっぷりの上品なお菓子とかマカロンをバリバリ食べてしまってお母さんに怒られたことが有った。マカロンの繊細な味とかバターとお酒の香りがキツいお菓子よりもポテチや〇ゃがりこ、味は斷然サラダ味だ!の方が好きだったがお母さんにそんなことを言えなくて、早く帰りたい一心で貪り食ってしまったという過去を。

田中先生はタバコの煙を大きく吐いている。

「久米先生のお母様のことをあれこれ言いたくないのですけれど、やはり看護師への拭いがたい偏見をお持ちのようですね……。

ちなみに彼居ない歴=年齢だということもご存知なのですか?」

田中先生の男らしい眉が曇っている。

「はい。しかし、オレん家では醫師になるまでは彼とかガール・フレンドを作るな!って言われていました。まあ、実際は作りたくても作れなかったのですけれど……。でも『敢えて作らない』と思ってたみたいです。親バカというか麗うるわしい誤解なんですが……」

田中先生は肺が空っぽになったんじゃないかと思うほど大きなため息をらしていた。

「とにかく、次に一家団欒の機會に恵まれた時に『人にしたい人、いや結婚を前提に付き合いたいと思っている人が居るんだけれども會ってくれるかな、看護師なんだけど……』とありのままに言うしかないですね。

ぶっちゃっけ久米先生の場合は、アクアマリン姫よりも綺麗で気立ても良いと今後出會うとも思われないですし。

それに何より彼は久米先生が醫師だから好意を持ったわけではないみたいですし。そういうって実際は滅多に居ないのです。

だからこれを逃したら、結婚は出來るかも知れませんが、それは醫師とか卒業した大學、そして実家が開業醫だということもひっくるめて好きなでしょうね……」

田中先生が何の気なしといったじでポケットを探って、棒狀の何かを取り出した。

そして。

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