《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 101

手技の手柄のような、誰にも真似の出來ないものは、しかも多數の手スタッフが手室に居る上に、世界に名だたる香川教授の手技を見學しようとする學生とか――かつてはオレもそうだったのを懐かしく思い出した――世界中から見學者が來ることも有って誤魔化しようがないけれど、田中先生の持論めいた口癖で「バレなければ自分の手柄にして良いのですよ。ビックマウスとか法螺吹ほらふきとか言われるかも知れませんが、大きな口を叩いておくことで自分自も逃げ場が無くなってのにじむような努力をしなければならなくないますから」という「手技」の時の教えを拡大解釈することにした。

それに岡田看護師が「醫師狙いのナース」とか口を実際に言われた時は彼の働きを気にっている田中先生から白河教授に言ってもらおうとかに決意をした。

田中先生は文句を言いながらでも絶対にオレの頼みを聞いてくれるだろうし。

何しろ、年齢=彼居ない歴を一番からかっていたのは田中先生だったけれど、最も心配してくれて偶々たまたま知り合ったアクアマリン姫に売り込んでくれたのだから。他の先生は合コンのセッティングすらしてくれなかったのに。

だから絶対に力になってくれるハズだ。白河教授は今現在醫局の新制作りに奔走していると聞いているし、香川教授を拉致った井藤の暴挙を防げなかったことでウチの科だけでなく他の外科にすら遠慮しまくっているというウワサは聞いていた。

だからガツンとまでは行かないかもだけれど、田中先生の言葉は素直に聞いてくれると思う。何しろ、井藤の暴発の予兆を散々田中先生が言っていたらしいのに防げなかったし「病院改革の闘士」で、準教授でもなかった科の田教授の貴重なレクチャーも無駄にした上に救急救命室で勉強をさせてもらった恩のある北教授もとばっちりをけた「事件」なのだから。

「任せて下さい。貴のことは全力でお守りします」

決め臺詞の積りで言ったのに、岡田看護師は凄く可笑しいといったじの笑い聲を辺りに振り撒いていた。

ううむ、イケメンじゃなければこういうセリフも使ってはいけないのかな……。ただ、この言葉は母が読している「皇室の歩み」だかいう本で見た言葉で、しかも――こういうとただの僻ひがみのような気がするけど、仰おっしゃった方もオレとそう変わらない、外見は。いや、家柄とかそういうモノは雲泥の差があることは知っている。

そして。

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