《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 102

「久米先生、手に行かなくて大丈夫ですか?もう向かわないといけないのではないでしょうか?」

アクアマリン姫の細い手首に巻かれた腕時計を――凄くしたのは。彼が時計の表面を掌てのひら側に向けて付けていて、華奢な手首をツバメのように翻して見たことだった――見せてくれた。

「げっ!!こんな時間っ!!

いや、大丈夫です。岡田さんとお話しているととても楽しくて時間が経つのがあっという間なんですね……。また々お話し」

岡田看護師はアクアマリンの眼差しに心配のを宿している。

「私も楽しかったです。でも、時間……」

ガチでやばい。このままだと香川教授の「後」に手前カンファレンスの部屋にってしまうことになる。

そんなことにでもなれば――香川教授は頭を下げたらあっさりと許して下さるだろうが――田中先生の逆鱗がどういう形で降りかかってくるか分かったものではない。

「今から急げば大丈夫です。じゃあ、また!!」

兎のごとく駆け出したのは良かったけれど、直ぐに息が切れてしまう。何だかフルマラソンを走りきってゴール間近というじを走って三分でじた。眩暈がした!っと思ったら、そうではなくて車椅子で通院してきたと思しきご老人のタイア部分に足を取られて思いっきり転倒してしまっていた。

皆がこちらを見ている!!と思うといよいよパニくる。

「ちょっとっ!!大丈夫なのっ?頭は打っていないわよねっ?」

このキンキン聲は杉田師長だ。病院では泣く子も醫師も黙ってしまう救急救命室の天使だ。

「頭……頭……」

脳への衝撃が起きた場合は、その時には何ともなくても脳を起こしている可能が皆無ではない。

頭は多分打っていないと思う。思うけど自分の記憶も曖昧だった。そして、何よりここで會ったのは本當に天使だ。

「頭、ぶつけてしまったみたいです……。あっ!!痛てっ」

杉田師長なら何が有っても怪我人や病人を放置しない。たとえ、斉藤病院長が傍に居ても挨拶すらせずに怪我人を優先させると職務意識を持ち合わせている。

痛くもない頭に手を當てて、大袈裟に顔を顰める。

「どこ?この辺りのようね。特には何ともなってないみたいだけれど……」

杉田師長の指が「患部」にでっち上げた場所をテキパキと探っている。

「でも痛いんです……。後は打撲だけだと思いますが」

車椅子の老人とそのご家族だか介護センターの職員かは知らないが、心配そうにこちらを見ている。

「それに……」

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