《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 103
「それに……何だかフラフラ……じゃなくてクラクラします。気持ち悪いです!!頭痛いですし!」
伊達に救急救命室に勤務しているわけではないし、杉田師長に毎晩のように怒鳴られていない。
これで検査という流れになれば、手の「合法的」にバックれられる!!天啓のように閃いた――といっても、學生の時にも良くこの方法は使ったけれども、社會人になってからは大人としての「責任」も一応有ったので使っていない。ただ、教授を始めとして――といっても、香川教授はオレが多遅れて室しても何とも言わないような気はしたけど――「香川外科の第一線を擔う」錚々そうそうたるメンバーの視線を一に浴びることはしたくない。
フラフラという言葉の使い方は間違えたものの。まあその辺りはごだ。それに、出勤前の慌ただしいじの職員用通路ではオレが怪我をしたのを心配そうに見て、そして泣く子も黙る杉田師長がコトの対処に當たっているのに畏敬の念めいた表を浮かべて立ち去って行く。ちなみに車椅子のご老人は杉田師長が「大丈夫ですから」と余所行よそいきの「白の天使」っぽい笑みを浮かべて追い払っていた。ただ、彼は白を著ていなかったけれども、手つきとかから看護師だと分かったらしい。
救急救命室の天使、杉田師長のことを知らない病院関係者も居ないので、オレに「お大事に」といった表を向けて皆がそそくさと建の中にっていく。
「念のために検査した方が良いわねぇ……。分かったわよ!救急救命室開けてあげる。
あと、これから手なんでしょ?まあ、大丈夫だとは思うケド、萬が一手中に嘔吐おうとしたら香川教授や田中先生の邪魔にもなるでしょ?
今頃はもうカンファレンス室に集まっている頃かしらね?久米先生の今日のポジションは何なの?」
今日のオレは「足持ち」だ。つまり、誰でも代わりになれるので――まあ、醫局の先輩方に迷をかけることにはなるものの――大丈夫だろう。
「『足持ち』なんで……連絡して貰えますか?誰かに替して貰います。あ!痛い痛い!!」
杉田師長が攜帯を取り出して耳に當てている。
「あ、その聲は田中先生ね?私よ。久米先生が転倒して頭を打ったので念のために……え?顔面は地面と衝突していないわよ。それは大丈夫。
私の権限で検査の方に回すので、手スタッフは他の人を、ええそう。お願いね。香川教授にくれぐれも宜しくと伝えてね。大事には至ってないようだけれど、一応。了解した?」
田中先生との通話を終えた杉田師長は何だか謎の笑みを浮かべていた。
何だろう?
ひねくれ領主の幸福譚 性格が悪くても辺境開拓できますうぅ!【書籍化】
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8 86高校生男子による怪異探訪
學校內でも生粋のモテ男である三人と行動を共にする『俺』。接點など同じクラスに所屬しているくらいしかない四人が連む訳は、地元に流れる不可思議な『噂』、その共同探訪であった--。 微ホラーです。ホラーを目指しましたがあんまり怖くないです。戀愛要素の方が強いかもしれません。章毎に獨立した形式で話を投稿していこうと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 〇各章のざっとしたあらすじ 《序章.桜》高校生四人組は咲かない桜の噂を耳にしてその検証に乗り出した 《一章.縁切り》美少女から告白を受けた主人公。そんな彼に剃刀レターが屆く 《二章.凍雨》過去話。異常に長い雨が街に降り続く 《三章.河童》美樹本からの頼みで彼の手伝いをすることに。市內で目撃された河童の調査を行う 《四章.七不思議》オカ研からの要請により自校の七不思議を調査することになる。大所帯で夜の校舎を彷徨く 《五章.夏祭り》夏休みの合間の登校日。久しぶりにクラスメートとも顔を合わせる中、檜山がどうにも元気がない。折しも、地元では毎年恒例の夏祭りが開催されようとしていた 《六章.鬼》長い夏休みも終わり新學期が始まった。殘暑も厳しい最中にまた不可思議な噂が流れる 《七章.黃昏時》季節も秋を迎え、月末には文化祭が開催される。例年にない活気に満ちる文化祭で主人公も忙しくクラスの出し物を手伝うが…… 《八章.コックリさん》怒濤の忙しさに見舞われた文化祭も無事に終わりを迎えた。校內には祭りの終わりの寂しさを紛らわせるように新たな流れが生まれていた 《九章.流言飛語》気まずさを抱えながらも楽しく終わった修學旅行。數日振りに戻ってきた校內ではまた新たな騒ぎが起きており、永野は自分の意思に関係なくその騒動に巻き込まれていく 《最終章.古戸萩》校內を席巻した騒動も鎮まり、またいつものような平和な日常が帰ってきたのだと思われたが……。一人沈黙を貫く友人のために奔走する ※一話4000~6000字くらいで投稿していますが、話を切りよくさせたいので短かったり長かったりすることがあります。 ※章の進みによりキーワードが追加されることがあります。R15と殘酷な描寫は保険で入れています。
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