《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 106

田中先生は羨ましいコトに、アクアマリン姫と喫茶店で長時間話し込んだと聞いている。

その容は脳外科の醫局のことに――特にあの大馬鹿野郎の井藤のこと――限定されていたとか聞いているし、病院トップのの人気度を誇る田中先生だが、商社レディの人さんにしか大切にしていないのはよく分かる。バレンタインデーの本命価格のチョコを山のように貰ってもホワイトデーに「義理」で返している。それでも嬉しいという聲は聞いたことは有った。

モテるけど、田中先生の場合「おい」に乗ることはないみたいだったし、人は一人で充分とか考えているみたいだった。

だからアクアマリン姫がオレが良いと言ってくれて!!同時に田中先生にも「そういうおい」をしていたとしたら多分オレに紹介しようとはしないだろう。そういう誰彼なしにラブコールを送るという點で田中先生はアウトの判定を下すだろうから。

そして田中先生の臺本ではアクアマリン姫の言いそうなことを書いてあったけど、男言葉じゃなくて言葉だった。

そしてその臺本通りに読み上げてくれている柏木先生は當然の――しかも若いが話しそうなじの――言葉で喋ってくれている。

そういう意味ではオカマさんというかニューハーフの言葉使いになってしまっていて・・・・・・オレは必死にその會話を覚えようとしていただけなので特に何とも思ってなかったけれども、傍はたから聞いている分には可笑しいらしい。

オレもリハーサル中とはいえテンパっているからそこまでは考えが至らなかったけれど、杉田師長のように傍観者の立場ったら笑いを堪えるのに大変かも・・・・・・と思ってしまった。

「場末ばすえのニューハーフ」と杉田師長が言ったのは柏木先生の――香川教授と同年代とは思えないほど――ビール腹とか普通の小父さんといった印象を與える容姿のせいだろう。

「場末のニューハーフ・・・・・・うう、そう言われてみれば。

ただ、あれはオレのデートの予行演習に付き合って貰っているだけで。

それに男言葉だとオレがパニクってしまうので仕方なく合わしてくれているだけなんです・・・・・・。

何せ、男子校出だし、大學でも外科専攻なんて男ばっかりですよね。彼居ない歴=年齢の、イコールを取ろうと田中先生や柏木先生が協力して下さっているんです」

杉田師長は納得したように頷いた。

「あははは。久米先生は要領悪そうだから、そういう機転が利くとは確かに思えないわ。

だから香川外科の醫局ぐるみで協力しているのね」

そして。

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