《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 111

杉田師長は分かってないな!というじの笑みを浮かべている。

「香川教授が帰國した後の醫局のことしか知らないでしょ?それまではウワサでしか知らない年代よね久米先生の場合は。

ウチの病院の研修醫がどれほど過酷に扱われているのかを以もって知らないからそういうお花畑発言が出來るのよ。

人間扱いされないとか、々言われているけど『あの』田中先生ですら愚癡っていたほどだと聞いているわ」

伊達にこの病院に長く居るわけではないな……と心してしまう。救急救命室に籠っているだけで満足な人なのかと思い込んでいたけれども。

それに田中先生は凄くメンタルも強いし力もあるのは知っていたけど、そんな人ですら凹むほどなんだなぁと。

オレの場合確かにはキツいけど、そんなにメンタルはやられないと思っている。

それは香川教授の恩恵なのだと思うと、本當に運が良かったとオレのラッキーさをシミジミと噛み締めた。

「脳外科に行って診てもらうのは良いんですけど、岡田看護師の件とはどう関係があるんでしょうか?」

研修醫が過酷というのは田中先生の「隠された話」で分かったけれど、それはあくまで醫師の話だ。

すると、さらに分かってないなという顔をされてしまった。

「あのね、今の脳外科は外堀を固めるので必死なワケ。それは分かるでしょ。白河君も末端まで目が行き屆かないってこと。

ま、普通の教授職で、看護師のことまで考えている人はそうそう居ないんだけどね。

香川教授の場合は間接的に気を配っているじだけれど。

そういうゴタゴタしている時期だからこそ、余計に目配りなんて出來ないわよ。

新人ナースの場合も研修醫と同じで人間扱いされないのよ。

ま、私くらいになれば、醫師の先生からも一目置かれるようになるんだけれどもね。そこまでどれだけのと涙を流してきたか……。ま、愚癡になるから言わないけどさ。

そういう新人ナースに『白馬の騎士』登場!ってカッコ良いトコ見せないと。

しかもさ、今の醫局の力関係から行くと香川外科の方が圧倒的に圧勝よね。そういう醫局の看板を背負っている先生が――研修醫とはいえね――彼の後ろ盾に付いているのを見せつけないと。

そりゃ嫉妬とかやっかみもけるでしょうけど、それ以上に恩恵をけるわ。

田中先生が貴重な休憩時間も削ってまで久米先生のデート用の臺本を書いているわけでしょ?

だったら、確実に香川教授は知っているわね」

何故か……。

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