《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 126

オバさんナース、いやベテランナースに毅然とした対応を取るのは結構心の準備が必要だ。

まあ、この雰囲気だと何を言っても大丈夫なような気もしたけれど、オレは結構小心者なので、勇気が必要だった。

だから一呼吸おいて、自分の考えを明確にしてからおもむろに口を開いた。

「岡田看護師だから申し上げるのではなくて、新人指導の場合全部に當てはまると思うので敢えて言います。

オレ……いや、私も新人ですから分かるのですが『あれがこうで、そうしなさい』みたいな指示語しかない叱責をされるととても困るのです。もっと的に言って貰わないと怒られたしか殘らずに、長もないと思います」

よし!ちゃんと言えた!と心でガッツポーズを決める。だって岡田看護師が謝とか言ってくれて有り難う♡的な目をしてオレを見ていたから。いや♡は付いていなかったかも知れないけど。

「なるほど、それはそうですね。まさに至言です。佐藤君、これから叱責をするにしても的にどこが悪かったのか、どういう點に気を付ければ良いのかキチンと分かるようにして言いたまえ。

岡田君も、もし佐藤君がまた指示語だけの叱責をするようであれば私に直接言って來ても良いですよ。

何時でも遠慮せずに私の攜帯を鳴らしてくれれば対応します。

いやぁ、香川外科ではこのようなキチンとした人材が育っているのは大変羨ましいことです。

また、今は失墜した醫局の権威を何とか取り戻そうと白河教授が奔走されていますが、なかなかうまく行っていないのが現狀でして……。ほら、上の人間が醫局に目を向けずに他のことに忙殺されていると、醫局も上手く回らないのが現狀でして……。外部から、しかも、香川外科の方からの指導を賜ることが出來て本當に良かったと思います」

佐藤とかいうベテランナースも研修醫であるオレが生意気なことを言ったので気を悪くしているのかなと思いきや「ご指導有り難うございます!」といった眼差しで見ている。

確かにオレの同級生、斷じて友達ではない!がこの科の研修醫になって々引っ掻き回したりだとかあろうことか香川教授を拉致って外科醫の生命線でもある腱を切ろうとしたとかそれはもう言語道斷の所業をしたのは事実だろうけど、醫局がバラバラなのは白河教授が外を――多分病院長とか教授會とかの雲の上の人達のことだろう――見ているからかな?とも思う。

香川教授は外を見ているとは思わないけれど、直接的に醫局のことを言って來ることはない。なくともオレは言われたことはない。

しかし。

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