《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 127

割といい加減な所もある柏木先生が醫局の士気を高めているし、そのアバウトさが看過出來ないレベルになると田中先生がチクッと一番痛いところを突いてくる。「香川教授の懐刀ふところがたなと言って賞賛する先生も居る代わりに「香川外科の小姑こじゅうとめ」と言って敬遠している――ただ、言っていることはオレからすると至極當然なことなんじゃないかな?とも思ってしまうが――そのツートップで問題が収まらなかった場合は黒木準教授に柏木先生が言いに行ったり、香川教授がアメリカから能力を買って連れてきた香川外科なのに科醫の長岡先生が香川教授に報告しているらしい。あくまでもウワサなのでオレに真偽は分からないが。

ただ、科醫として非常に優秀なのは科の田教授だって認めているし、教授職という雲の上の人と直接のパイプが有るというのは本當だろう。

つまりは香川教授は世界的な名聲を持つ素晴らしい手技に沒頭させて――正直、外國からも患者さんが呼べる心臓外科醫は香川教授しか居ないのが現狀だ。もちろん、そういう人達は日本國民ではないので醫療費は全額負擔だ。それなのに香川教授の手技を見込んでお願いに來るし、商魂逞しいのか、踏み倒されるのが嫌な斉藤病院長は院費と手代金を即金で前払いで支払う――しかもウワサでは全額負擔以上のお金をベッド代とかの適當な名目を付けて請求しているらしい――患者さんしかれないとかなんとか……。

ウチの醫局は香川教授を中心にして回っていると思われがちだけれど、なんか皆が自分の出來ることを頑張って香川教授を応援しようという組織が出來上がっているような気がする。

だから醫局のリーダーでもある教授がどこを向いているのか関係ないような……。

  その點が分かってないのかな?とも思うけれども、そんな「醫局批判」は政干渉になってしまうし、そんな大それたコトが出來るほど偉くはない。

教授職に居たって、他の科に対する干渉はダメという不文律が有る。それなのに研修醫のオレごときがそんなことが出來るハズがない。

ただ、ココに來た目的はアクアマリン姫に対してオレの好度を上げるためだった。

それは達出來たような気がする。現に佐藤とかいう看護師は己の不明を恥じるようなバツの悪い表を浮かべているし。アクアマリン姫も瞳をキラキラさせてオレを見ているし。

多分、これからの叱責にはが加わるだろう。それだけでも良かったなと思う。

「脳に対して特に異常を認められませんね。大丈夫だと思います」

木村先生は熱心に――ま、オレがここに來た口実の――畫像を見て安心させるような笑みを浮かべている。

そして。

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