《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 139

「久米先生コーヒーをお持ちしました」

控え目な聲だったけれども――まあ、醫局の新人ナースなので仕方ないとは思う、オレだって醫局の中では借りた貓のように振る舞っている――それでもアクアマリンの清楚さが煌めいている。

「有り難うございます」

そう言うオレの聲も思わず弾んでしまっている。

「お二人はお親しそうですね。何かプライベートでもご関係が有りますか?」

木村先生は遠慮がちなじで聞いて來た。まあ、オレとアクアマリン姫こそ岡田看護師の間に漂う雰囲気は友達以上人未満といったじなのだろう。実際にそうだったので、どう説明したら良いかな?と思っていると、岡田看護師は初々しさで香るような頬がほんのりと紅くなっているのもとても綺麗だった。

その清楚な笑みを見ると心拍數が上がってオレも頬が上気してしまう。

「えと。実は田中先生に紹介されて、それで……」

木村先生は「田中先生」という固有名詞を聞くと背筋をピンとばしている。

多分だけれど――オレは井藤の件で田中先生が々といていたことは知っているけれども的に何をしたのかまでは知らされていない。いや、オレだけでなくて醫局員全が、なので別にオレが仲間外れにされていたわけでもないのだろう。共有すべき報は――例えば院LANに接続するパスワードとか――教えて貰っていたし。

「木村先生、実はアノ人のオカシサについて田中先生にご相談したのが――いえ、田中先生と限ったわけではなくて、香川外科の醫局の方にどうしても知らせたかったので、皆が集まるところに行って誰かが來て下さるのを待っていたのですが、偶々たまたま會えたのが田中先生でした――切っ掛けでした。

それ以降、田中先生には良くして頂いています……」

當たり前だが、醫局は混しているとはいえ院患者さんとかのために醫局はバタバタしている。

まあ、ウチの科でも今頃はきっとそうだろう。手スタッフとして名前を連ねていて、そして仮病ならぬ「仮傷」でサボってしまったオレの場合は時間が余ってしまっているし出番はないけれど。

「そうだったのですね。岡田君、機転を利かせてくれて有り難う。お蔭様で被害は最小限になりました。

あのまま田中先生がかなかった場合はさらに香川外科との間に決定的なというか壁が出來ていたに違いありません。

それでしたら……」

木村先生が、何だか考えを巡らせているようだった。

そして。

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