《転生しているヒマはねぇ!》5話 世間話

「お疲れ~」」

オレは黒いおっさんことンボドロゴさん、通稱「ンボさん」とグラスをわす。

ンボさんに勧められるまま、マタイラの定番の酒『シュポカ』を飲む。チキュウのウイスキーっぽい。結構強い酒のようだが、冥界のはアルコールで調を崩すことはなく、気分を高揚させるだけとのことなので、安心して飲める。

仮初めのの為、神的というか魂的な病気しか冥界にはない。  

ンボさんが、マーシャ様の前で冷や汗をダラダラ流し続けていたのは、現界のよりも仮の方が、考えたこと思ったことがストレートに反映されるからとのこと。

オレの仮が、生前の時の姿とほぼ変わらないのも、魂に記憶が刻まれていたからだろう。記憶は海馬だけに殘るわけじゃないってことだ。

「ダイちゃん、こっちの生活はどう?

冥界の生活は現界の影響をけてるからさ。ダイちゃんの前居たとこ、チキュウって言ったっけ? そことはだいぶ違うんじゃない?」

「いや、そうでもないよ。発達してるのが、魔法か科學かの違いだけで、それほど違和ないよ。今のところ困ってることもないし。部屋に風呂あるし、トイレ水洗だし。嬉しくて用事ないのに何回もはいっちゃった。」

「そう? それなら良かった。でも、なんか困ったことがあったら言ってね。できる限りのことはするからさ」

「ありがとう。なんか悪いね。部屋の準備とかも全部やってもらってるのに……」

「いいの、いいの。そもそもダイちゃんが転生できずに、ここで生活することになったのは、おいらが待たせているの忘れちゃってたからなんだからさ」

「……それは言わない約束だよ、ンボさん」

「……ダイちゃん」

互いに口元に笑みを浮かべ、カチリとグラスを合わせる。

こういう男同士の友を恥ずかしげもなく表現しあえる関係に憧れていたのでかなり嬉しい。

生前に同じことやろうとしたら、空気が寒くなること間違いない。

「でも仕事はたいへんなんじゃない?

マーシャ様の懐刀の5人書の監視付きって聞いたよ」

「へ? プルルさんのこと?

監視じゃなくて補佐だよ。親切に仕事教えてもらってる。たまにしか來てもらえないけど」

「そうなの?

いや、おいらは役所の下っ端だから、事実かどうかはわかんないんだけど、運営省から流れてきた噂じゃ、強権振るってて恐れられてるらしいよ。転生界だけじゃなくて、冥界全に顔が利く連中だって。

えーと、確かこんな風に呼ばれてたはずだよ。

非効率潰しのレイラ。

経費削減の鬼ラヴァー。

窓際叩きのチェリー。

口だけ殺しのアイシス。

休日返しのプルル」

「休日返し?」

「ああ。いや、もちろん休日返上して働けって言って來るとかじゃないよ。なんでも、巧妙に相手のやる気とか、危機を煽って、自ら休日を返上させて頑張らせるんだってさ。噂が本當なら、本人が自主的にやってると思うように導してるんだから、一番たちが悪いかもね」

「……」

え? いや違うよね! オレ導されてないよね?

うん、違う。

休みに図書館に行くのは仕事じゃないし。

知識を得ようと思ったのは、純粋な下心だし!

「ハッハッハッ! 心配はいらないよ? ンボ君。ボクの休日はボクの夢のためだけに使う予定さ!」

「そ、そう。なんだか疑問形があった気もするけど、ダイちゃんがそう言うなら大丈夫だね。安心したよ。おいら仕事方面は絶対力になれない自信あるからさ」

面倒な相談がなくて良かったと、あからさまにほっとしている。

ンボさんのそんな正直なところが大好きさ!

オレはこの日、閉店時刻までンボさんとの流を楽しんだ。

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