《転生しているヒマはねぇ!》25話 お見舞い
オレはすでに、商店街を端から端まで3往復程していた。
生前、靜かに生きる為の最低限の生活しかしてこなかったオレにとって、病気で休んでいる同僚の見舞いというものは、存外レベルが高かった。
見舞い品として何が良いか?
各店舗を覗いてまわるが、決斷することができず、これから4往復目だ。
人への初めての誕生日プレゼントみたいな、今後を左右する重要イベントでもあるまいに、なにを悩んでいるのだろうと自分でも思う。
だが、どうせなら喜ばれたいじゃないか。笑顔が見たいじゃないか。
オレよりも背が高く、スポーツ選手を思わせる引き締まった仮を持つアイシス。
真面目で自他共に厳しく、そして凜々しく……そんなアイシスが、たまに見せる、困ったり照れたりした時の仕草。ギャップ萌えなんて言葉を越えるギャップ神だ。
しかも、黒髪ショート! これはなんとしても喜ばせたい。恥ずかしがらせたい!
……いかん。線し始めた。今回は見舞いだ。無難にいこう。無難に。
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だが、魂魄不調……これの無難な見舞い品ってなんだ?
休んで回復するタイプの病なら、暇潰しになるようなとか栄養になりそうななのだろうが、魂魄不調はある意味神の病に近いんだろ。心労的な。これに暇潰しの道はどうだろうか? 食料はなしだな。そもそも食べなくても存在できる訳だし。
そうなると、気分転換になるようなか……。そうなると食べがまた浮上するな。アイシスが、マーシャみたく食べることが好きだったら、元気になるかもしれない。あれ、暇つぶしも気分転換になるんじゃね?
だぁーーーっ! なんでもありじゃねえか!
弱ったな。考えたらオレは、アイシスの私的な事をほとんど知らない。せいぜい、可い照れ屋さんということくらいだ。
マーシャに、何が良いか聞いとくんだったな。さすがにもう仕事が忙しくなっている頃だろうから、連絡するのは気が引ける。
もっとも、悩んだところでたいしたが買える訳じゃないんだよな。初任給まだだし。オレが今持っている冥界通貨は生活を整える為に、マーシャに渡された支度金の一部だ。
ンボさんのアドバイスに従い、々と快適生活グッズを揃えたから、そんなに殘っている訳じゃない。そんなオレが買えて、尚且つアイシスの気分転換に役立ちそうなか……。
このまま悩んでいたら、最終的に商店街10往復を越えて夜になりかねない。オレは覚悟と期待をに、一軒の可いらしい小を扱う店にった。
1時間後、人へのプレゼント風に、可らしくラッピングされた見舞い品を小脇に抱え、景観ぶち壊しの高層マンションの前に立っていた。
エントランスにると、オートロック式の自ドアがオレの前に立ちはだかった。
前から思っていたが、冥界は文化が無茶苦茶だな。
書類関係はほとんど手書きな癖に、モニター室はやたら高度だし……。
稼働中の防犯カメラの視線を意識しつつ、オレは部屋番號力式のインターホンに指をばす。というか、事件がほとんど起きない冥界で、ここまでのセキュリティは必要なんだろうか? オレの部屋はシリンダー錠1個だぞ。絶対に匠の自己満足ってるだろ、コレ。
……気にするのはやめよう。冥界の魂は趣味にはしらないと消滅してしまうんだと割りきろう。
力裝置で1804と力し、インターホンを押す。
さすがにニホンと違い、普通に『4』が部屋番號に使われている。
調子が悪いのだから、寢ているかなとも思ったが、アイシスはすぐさまインターホンに出た。
「ダ、ダ、ダ、ダイチ!? どうしたんだ!? こんなところに!?」
そうか。カメラにオレの姿が映ってるのか。
聲を聞く限り、重癥というじではない。とりあえずは安心だ。
「お休みのところすいません、アイシスさん。急に仕事が休みになりまして。アイシスさんが調子を崩されていると、マーシャ様にお聞きして參りました」
「そ、そうか。済まないな。今、役所の方がゴタゴタしているのは聞いているのだが……」
しまった。仕事の事を気にさせてどうする。
「大丈夫です。こういう時は助け合いです。今はゆっくり休んで、調子が戻ったら、誰かが調を崩した時に、その人の分まで頑張ってあげればいいんですよ」
「……そうか? いや、そうだな。ダイチの言うとおりだ。今は一日も早くけれるしかないな」
けれる?
「ダイチ、今日はわざわざ來てくれてありがと。一日も早く出勤で――――――――――」
「待って下さい! お見舞いの品を持參しましたので、コレだけでもけ取って頂けませんか?」
このまま帰る的な流れになったので、慌てて口を挾んだ。
「え? そんなまで用意してくれていたのか? う〜、しかし、まだ心の準備が……」
オレは、持ってきた見舞い品をカメラに映る位置に持ち上げ、黙ってアイシスの決斷を待つ。
「……ダイチ、笑わないか?」
「は?」
「いや、いま変な格好になっててな。……私を見ても、笑わないと約束してくれるか?」
へ、変な格好だと⁉  是非見たい!
あられもないアイシスの姿を想像し、出るはずのない鼻が出そうな錯覚に襲われる。
「絶対に笑いません!!!」
喜ぶだけです。
「そ、そうか。なにか妙に気合いがっている気がするが……。今、開けるから。って右に転移陣があるから」
インターホンの通話が切れるとすぐに自ドアが開いた。
転移陣を使い18階に移する。
いや、ホント転移魔法陣ラクチンだな。
他の階がどうなっているかは知らないが、18階は部屋の數が4部屋しかないのに、廊下がやたら長かった。外観も大きかったからひと部屋ひと部屋が広いということか。さすが高級マンション。
4號室は、転移陣から見て、一番奧だった。ワクワクしながら、インターホンを押す。
「は、は〜い」
躊躇い気味の返事がして、ドアが開く。
そこにいたのは間違いなく、アイシスのようだった。
著ているのは、ジャージ。役所ではスーツだったから、ラフではある。だが変な格好とまではいかない。
が、明らかにこれまでと異なるところがあった。
「あのー、アイシスさん。……なんか、若返ってません?」
婚約破棄された崖っぷち令嬢は、帝國の皇弟殿下と結ばれる【書籍化&コミカライズ】
【第3部連載開始】 ★オーバーラップノベルズf様から、第2巻8月25日発売予定です★ ★コミカライズ企畫進行中★ ミネルバ・バートネット公爵令嬢は、異世界人セリカを虐め抜いたという罪で、アシュラン王國の王太子フィルバートから婚約破棄された。 愛してくれる両親と3人の兄たちの盡力で、なんとか次の婚約者を探そうとするが、近寄ってくるのは一見まともでも內面がろくでもない男達ばかり。 いっそ修道院に入ろうかと思った矢先、冷酷と噂される宗主國グレイリングの皇弟ルーファスに出會い、ミネルバの人生は一変する。 ルーファスの誠実な愛情に包まれ、アシュラン王國を揺るがす陰謀に立ち向かう中、ミネルバにも特殊能力があることが判明し……。 人間不信気味の誇り高い公爵令嬢が、新たな幸せを摑むお話です。 (カクヨム様にも投稿しています)
8 185クリフエッジシリーズ第二部:「重巡航艦サフォーク5:孤獨の戦闘指揮所(CIC)」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 宇宙暦四五一二年十月。銀河系ペルセウス腕にあるアルビオン王國では戦爭の足音が聞こえ始めていた。 トリビューン星系の小惑星帯でゾンファ共和國の通商破壊艦を破壊したスループ艦ブルーベル34號は本拠地キャメロット星系に帰還した。 士官候補生クリフォード・C・コリングウッドは作戦の提案、その後の敵拠點への潛入破壊作戦で功績を上げ、彼のあだ名、“崖っぷち(クリフエッジ)”はマスコミを賑わすことになる。 時の人となったクリフォードは少尉に任官後、僅か九ヶ月で中尉に昇進し、重巡航艦サフォーク5の戦術士官となった。 彼の乗り込む重巡航艦は哨戒艦隊の旗艦として、ゾンファ共和國との緩衝地帯ターマガント宙域に飛び立つ。 しかし、サフォーク5には敵の謀略の手が伸びていた…… そして、クリフォードは戦闘指揮所に孤立し、再び崖っぷちに立たされることになる。 ――― 登場人物: アルビオン王國 ・クリフォード・C・コリングウッド:重巡サフォーク5戦術士官、中尉、20歳 ・サロメ・モーガン:同艦長、大佐、38歳 ・グリフィス・アリンガム:同副長、少佐、32歳 ・スーザン・キンケイド:同情報士、少佐、29歳 ・ケリー・クロスビー:同掌砲手、一等兵曹、31歳 ・デボラ・キャンベル:同操舵員、二等兵曹、26歳 ・デーヴィッド・サドラー:同機関科兵曹、三等兵曹、29歳 ・ジャクリーン・ウォルターズ:同通信科兵曹、三等兵曹、26歳 ・マチルダ・ティレット:同航法科兵曹、三等兵曹、25歳 ・ジャック・レイヴァース:同索敵員、上等兵、21歳 ・イレーネ・ニコルソン:アルビオン軍軽巡ファルマス艦長、中佐、34歳 ・サミュエル・ラングフォード:同情報士官、少尉、22歳 ・エマニュエル・コパーウィート:キャメロット第一艦隊司令官、大將、53歳 ・ヴィヴィアン・ノースブルック:伯爵家令嬢、17歳 ・ウーサー・ノースブルック:連邦下院議員、伯爵家の當主、47歳 ゾンファ共和國 ・フェイ・ツーロン:偵察戦隊司令・重巡ビアン艦長、大佐、42歳 ・リー・シアンヤン:軽巡ティアンオ艦長、中佐、38歳 ・ホアン・ウェンデン:軽巡ヤンズ艦長、中佐、37歳 ・マオ・インチウ:軽巡バイホ艦長、中佐、35歳 ・フー・シャオガン:ジュンツェン方面軍司令長官、上將、55歳 ・チェン・トンシュン:軍事委員、50歳
8 155複垢調査官 飛騨亜禮
某IT企業に勤務する《複垢調査官》飛騨亜禮と、巨大小説投稿サイトの運営スタッフの神楽舞とが繰り広げるドタバタコメディミステリー。 第二章では、新キャラの坂本マリアとメガネ君も活躍します。 第三章ではネット小説投稿サイト三國志的な話になってます。 第四章 僕の彼女はアンドロイド 少年ライトとアンドロイド<エリィ>の物語。ベーシックインカムとかアンドロイドが働いて家族を養ってくれる近未來のお話です。 第五章 複垢調査官 飛騨亜禮2 TOKOYO DRIVE(複垢狩りゲーム) 『刀剣ロボットバトルパラダイス』に実裝された<TOKOYO DRIVE>の謎を巡って展開する異世界バトル。 http://ncode.syosetu.com/n6925dc/ 第六章 《複垢調査官》飛騨亜禮の華麗なる帰還 《複垢調査官》飛騨亜禮が新ネット小説投稿サイトの調査に赴く。彼はそこで想像超えた恐るべき小説たちと出會うことになる。 第七章 AIヒューマン 「複垢調査官 飛騨亜禮」は第四章〜六章が未完になってますが、まあ、人工知能✕VALUの小説を書いてみようと思います。 複垢調査官 飛騨亜禮 https://kakuyomu.jp/works/4852201425154917720 書きたい時が書き時ということで、第四章なども書きながら完結させていきたいですね。 第四、五、六、七章は同時更新中です。 ほのぼのとした作品を目指します。
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