《転生しているヒマはねぇ!》44話 消滅
「きんぴらごぼう‼」
7世界目に早くも出てきたニホン料理に、思わず店の空気にそぐわない大きな聲を上げてしまった。
だが、それも仕方ないだろう。
チョイスが渋い!
やるな料理長!
「このメカダイモとポルコデビルの混ぜもの。
味しい。素樸な味わい」
「ああ、ニホンではじゃがって言います」
「この明の酒も、甘辛くて味しい。ごしが良い」
「いや~、本當に嬉しいな。これ、米から作るんですよ」
「米⁉ マタイラにも米はある。でも、この酒はない。
ダイチが転生出來なかったのは、マタイラの損失!」
どうやら、とても気にいったようだ。
しかし、使ってる食材はニホンのではないとのことだったが、味は大差ない。
凄いな、マーシャ料理學校卒業者。
日本酒を、今朝から夜までの短時間で、どうやって用意したかは知らないが……。
「……ダイチは、やはり現界に転生したいか?
必ずしも、自分のむ転生先でなくても?」
料理と一緒に運ばれてきた箸を置き、料理を見つめながらラヴァーさんは、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
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「……私は400年くらい前に、マタイラに來た。
私自の希は人類への転生だったが、結果は神への転生だった。
旅をしながら商売をする、本當に小さな一族が信仰した神だ。
転生から5年経ったある日、一族は自然災害に巻き込まれ全滅。祈る者がいなくなった私も、その役目を終えた。
でも、わずか5年でもその時間は、とても輝いていた。
直接助けることはかなわなかったが、信仰心の特に強い者に対し、夢という形で助言を與えたり、商売敵の信仰する神とにらみあったり。
前世でもじた、生命の輝きを間近で見ていたよ。
次に生まれ変わる機會があったなら、自分も同じように輝きたいと思った」
ラヴァーさんは言葉を止め、天井を見上げる。
ノックをして、料理を乗せた臺車を押して部屋にってきたウェイターが、5世界分の料理と酒を置いていく。
ウェイターが部屋を出ると、ラヴァーさんは話を再開する。
「でも、冥界に戻って來た私は、活力のない冥界の魂を目の當たりにしてしまった。
……驚いた。現界と冥界の、魂の輝きの差に。
一部の例外を除き、ほとんどの魂は、冥界での生活に希を見出だせないでいる。
冥界を運営する為に、冥主から分魂され、先に分魂された魂の指示に従うだけの日々。
私は目を逸らそうとした。
ヒトへの転生が決まったからだ。
私には関係ないと。
冥界で分魂の魂が消えても、また冥主が分魂するだけ。
分魂した分はすぐに回復するとも聞いた。
そんなものは、命とは言えない。道だ。
壊れたら新しい道を用意する。ただそれだけ。
でも、私が転生する日、私の転生先への注魂係りが、目の前で消滅した。
『やっと終われる』
私と同じAIでありながら、私と同様に魂を得た友の、最後の言葉と同じだった」
ラヴァーさんは大きく息を吐くと、オレを見つめた。
「ダイチ。分岐路に立ったのなら、しでも自分が後悔しないと思う道を選ぶしかない。そして、選んだ道を全力で歩めばそれで良い。
結局、進んでみなければ、どうなるかはわからないのだから。
AIの時に出會ったヒト族の親友は言った。
『魂の全てを賭けなくて、命の何が面白い?』
私の座右の銘だ。
これを支えに、がむしゃらに冥界に刺激を與えていった。
でも、磨耗の度合いは減らせても、結果を変えることはできていない。
千年もつ魂が、千百年もつようになっても、冥界の中ではさして変わりはない。
正直、不安だった。私の選んだ道は不可能の道なのかと。
でも、ダイチが希をくれた」
「オレですか⁉」
すっとんきょうな聲をあげるオレに、しっかりと頷いて見せる。
「アイシスの件。いや、ンボと監視課の課長もそう。
ダイチと関わった魂の仮に若返りの兆候が確認されている」
「いやいや! アイシスは確かに俺が関係してるかも知れないですけど、ンボさんは周囲の評価のおでしょう!」
そう。最近、ンボさんは若々しくなった。
アイシスほど顕著ではないけど、のハリツヤが以前よりかなりよくなっている。
ンボさんの長所はそのままに、活力が増した印象だ。
「直接的にはそう。でもその周囲の評価に、ンボはダイチの存在なくしては、永遠に気づけなかった。ダイチとンボの友が、今回の結果を導いた」
……なんか嬉しいな。オレ、ンボさんの役にたてたんだ。
「課長も同様。ダイチの存在なくしては、チェリーに罵倒されることも、自分の癖に気づくことも、永遠になかった」
うん。こっちは別に嬉しくない。
「ダイチは私に希を見せてくれた。
これまでの私の対策に何が足りなかったのかに、気づかせてくれた。
私の不安はダイチに會えたおで解消されつつある。
次はダイチの番。
魂魄に溜め込んでる気持ちを、吐き出してほしい。
私は表現が下手。聞き役としては落第かもしれない。
ただ。口外しないことは、誰よりも約束できる」
ラヴァーさんは、異世界の料理に箸をばしていたオレの手に、彼の小さな手を、しっかりと重ねた。
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