《転生しているヒマはねぇ!》52話 新たなる襲撃者

オレは明日分の原稿を書き上げると、椅子にもたれかかり天井を見上げる。

二人にああは言ったものの、的な策はなにもない。

どうやったら暴走をさせることなく、自分の思い通りに使用することができるのだろうか?

一度目は、偶然発

二度目は、意識的に発させるも、効果が強すぎ、魂魄を消滅させかけた。

三度目にいたっては、無意識な上に、技の効果がオレ自に向いた。オキョウに指摘されなかったら、しばらくはあのままだったろう。

自分の期待する効果に近い現象を引き起こすだけなら、便利な力なのかもしれないが、今のところ3分の2は暴発だ。

この暴発さえ防げれば、強力である必要はない。オレは武闘派じゃないからな。

そもそも冥界では、喧嘩を見たことがない。口喧嘩すらだ。

オレ自がマーシャに毆られたり、罵倒し返したりしてるくらいじゃなかろうか?

もしも力を抑えられないとなったら、自分との結魂をんでくれたあの3人の気持ちに応えることはできない。

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力の暴発でオレ1人が消滅するならともかく、あの3人を巻き込む訳にはいかないからな。

ふぅと一息吐いて、立ち上がる。電気を消すと、ベッドにはらず、窓から差し込んでくる燈りを頼りにり口に向かい、ドアノブに手をかける。

今朝、ラヴァーさんの仮が変化した。求魂の話も耳にしたろう。

そう! アイツがこない訳がない!

オレは、カウントダウンを開始する。

10、9、8、7、6、5、4、3、2、1。

ゼロッ!

勢いよくドアを押し開ける!

「イタッ!!」

という聲と共に、ドアの前にうずくまるマーシャの姿。

……以上が私の未來予想図でございました。

ですが、押し開いたドアにはなんの手応えもなく、アパートの外廊下には、どなた様のお姿もございませんでした……クソッ! なんでだ

悔しかったのでもう一回ドアを閉めて、10數えてドアを勢いよく押し開ける!

駄目だ! 誰もカワマタ式トラップに引っかかってくれない!

外廊下に出て、手すりにしがみついて、道路の様子を窺う。誰もいない。

……虛しい。

猛烈な寂しさを実しながら部屋に戻りベッドに潛り込むと、まったく購した覚えのない抱き枕を抱きしめる。

「よ・く・やっ・た♪」

抱き枕の甘い聲が、オレの耳元で囁かれた。

「のわっ!」

オレは驚いて抱き枕を手放し、ベッドから転げ落ちる。

「あら。魂前渉かと思いましたのに……殘念♪」

なんだ!? このトラップは!

違う! マーシャではない! マーシャよりも知を! 質の悪さをじる!

オレはすぐさま起き上がり、電気を點ける。

「えー、なにをしてらっしゃるのですか、レイラさん」

「ベッドで橫になってます」

「ええ、そうですね。思わず抱き枕と間違えて、抱きしめてしまうくらい、見事なハニートラップでした。

ですが、できればその橫になっている理由を、聞かせてしいのですが。

まさか、また、マーシャ代理ですか?」

「いえ、確かに姉さんが元気だったら、今頃外廊下でゴロゴロ転がっていたかもしれませんが、特に代わりに行けと言われた訳ではありません」

「元気だったら? え? アイツになにかあったんですか 」

レイラさんが大きくため息をつく。

「仕事中に、ラヴァーさんに纏わりついて離れようとしなかったんですよ。ダイチさんとの話を聞きたがって。

もっとも、あのラヴァーさんですから、とりつく島はないのですが。

今度はダイチさんの所に直接行こうとしたので、ちょっときつめに椅子に縛りつけて仕事をさせたんです。

そうしたら、終業時刻にはかなりやつれてしまいまして。

今は部屋で靜養中です。

つまり! 私をかまってくれる人がいなくなったので、原因を作り出したダイチさんに責任をとってもらおうと思いまして」

「それで、いつからそこに?」

「ダイチさんが、冥界新聞社に原稿を屆けに行っている間ですね」

「どうやって? まさかレイラさんも壊して直してですか?」

「いえ、私は姉さんのような質創造はできませんよ。

あんなゼロから質を産み出すなんて荒業、私の知る限り、マタイラでは3人しかできません。

私は……これです! ジャーン!」

レイラさんは、堂々と針金を掲げた!

って、完全な犯罪者じゃねぇーか

この姉妹の常識どうなってんだ

「事後承諾で、お願いします。

それとも、こんな長い髪のの頼みなんて聞いて頂けませんか?」

クッ! ラヴァーさんの一件を知って、いじってきてやがる。

この人が、仕事と私事で別人みたいになるのは知っていたが、姉より知恵がまわる分厄介だな。

「部屋に無斷でっていたのは、とりあえず不問にしますが、そろそろ本當の用件をお願いします」

「一番の用件は、先程の言葉をお伝えする為ですよ♪」

言葉? どれだ?

「……ジャーン?」

「もっと前です」

「責任とれ?」

「もっと前です」

「?」

「もうダイチさんたら、エッチなんですから♪

もう一度私を抱きしめたいって、意思表示ですか~♪?」

このクソ姉妹め!

譽める為にだけ來たのか。不法侵してまで!

「あくまで、一番の理由ですよ♪ 

ダイチさんにとっては、2番目の用件の方が大事かもしれませんね」

ホント、やりづらいなこの人。こっちの考えを読んでるように言葉を重ねてくる。

オレの中では、レイラさんへの苦手意識が急上昇中だ。

「アイシスから魂魄通話をもらいまして。

ダイチさんが、冥力……ダイチさんがにつけつつある力の総稱ですが……それのコントロールに苦しんでるようだと。

アイシスに聞いた限りでは、私に近い能力のようですから、お力になれるのでは、と思いまして」

「え? レイラさんも似たようなことできるんですか!」

「言ったでしょう。あの無駄にパワフルな姉さんを縛・り・つ・け・て・い・た・と」

オレはレイラさんの笑みに背筋がゾクリとした。

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