《転生しているヒマはねぇ!》57話 流會

「お気になさらずに。これまでの方々に比べたら、はるかに私たちへの気遣いをじますから。

貴方がっていらした時の、私たちの無禮を恥じるばかりです」

魔法神オルター。世界に魔法をもたらしたとされる神だ。魔法自を崇める気持ちなんかも、この神に力として流れ込むらしい。

オルターは私たちの無禮と言ったが、彼と深緑神ハラファの2名は、オレたちに威圧をかけてこなかった。

一概に味方とは言いきれないが、なくとも會話は立しそうだ。

この2神や姉に窘められて意気消沈したカサルティリオを含めたほとんどの神は、すでにオレたちに威圧を向けてきていない。

ただ2神だけ、威圧だけでなく殺意が込められているとしか思えない視線を送ってきている神たちがいる。

部屋の一番奧の左右の二名。

北神カソドス

南神コントラクトゥス

二人の歴史は長い。現界に文化らしきものが発生したのと、ほぼ同時くらいに仲良く誕生している。

二人とも中央大陸生まれ。大陸を二つに分斷する中央運河を境に、北が北神、南が南神の勢力で、その後、北神教は北側の2つの大陸に、南神教は南側の2つの大陸に広まった。

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南側の大陸の方が、特殊な地理條件が多いため、他の宗教にも信者が割れ、北神教の方が信者數は多い。

互いに立場が絶対神の為、共存意識はなく、非常に仲が悪かった。多くの國々を巻き込んだ宗教戦爭も起きている。

そんな二人をわざわざ向かい合わせに座らせているのだから、

冥界側がこの流會をいかにテキトーに考えているかがわかる。

とりあえず、席替えは來月に回そう。

席を近くにしている以外にも、冥界側に対して、々と強い不満を抱えていることだろうからな。いまはそれを知る方が先決だ。

神々の不満を聞いて、解消できるものは解消する。ただしびてはいけない。あくまで、対等の立場を貫くのが大事だ。

この流會を良好運転に切り替えることができれば、魂すり替え関連への神族の味方を得ることに繋がるはずだ。

なにせ風神ウェントスには協力の確約はもらっていないからな。

神様というのが、現界でどれだけの影響力を持っているかは知らないが、味方は多いにこしたことはない。信頼のおけるという言葉付きなら言うことはないが、あまり贅沢も言ってられないしな。

「いや、そちらこそ、気にしないでもらいたい。

オレはほとんど知らないけど、冥界の魂になら相手を問わず怒りをぶつけたくなるようなことを、冥界側がしてきたんだろ?」

數神は頷いている。否定的なものでも、反応を返してくれるのはありがたい。

「とにかく、先に話した通り、オレは・流・會・をしたいんだ。

だから、まず、誤解を解いておく」

「ああ、そう言えば、先程もそう仰ってたわね。わたくしに誤解があると」

神サラーの言葉に、オレは頷く。

「そうだ、サラー殿。

まず、はっきりさせておくが、オレは大じゃない。どちらかと言えば小だ。

資料で見たが、オレの魂の存在年數は、そこのうちの職員を含めて、この中で一番短い。あんたらに比べたら小僧もいいところだ。

権力も持っていないからな。貴方がたからの要で、葉えられそうなものはオレの最善を盡くすが、最終的な決定権はオレにはないんだ。

あと、ちょっと前から魂魄が強くなっている気はするが、力を上手く使いこなせていない。寶の持ち腐れだよ」

「つまり、お前は何もできないと?

わざわざそんなことを言うために來たのか?」

神モージザ。鍛治職を含めた、作りを営む職人全般に、信奉されている神だ。格は冥界建築の匠カルジャーノによく似ている。背は低いが筋骨隆々である。

「なにもじゃない。聞くことと話すことはできる。

相互理解を深める上で、対話は不可欠だ。

それにオレ自は大きな権限を持っていないけれど、流會の影響で起きている、魂魄の磨耗と消滅をなんとかする為に、今回抜擢されたから、それなりに意見は通してもらえるはずだ」

オレの言葉に12神全員が不思議そうな顔をした。

北神と南神の2神でさえ、怒りよりも戸いが勝っている表だ。

「ダイチ殿だったな。俺は海神ゲハイムニス。

聞かせてもらいたい。

魂魄の磨耗と消滅とは何だ?

魂魄とは冥界の魂のことか?」

「ん? いや魂魄てのは、魂の中心みたいなもんだな。

人間でいうと心臓みたいなものだ。もちろん、みんなの中にもあるぞ。

とにかく、魂魄が疲弊すると、薄くなったり、小さくなったりして、最終的に消滅する」

「そうか。冥界の魂も消滅するのか……」

なんか會話がしっくりこないな。

「ゲハイムニス殿。『冥界の魂も』とはどういう意味だろうか?」

「我らと同様にという意味に決まっておろうが!」

答えたのは北神カソドスだ。

向かい側の南神コントラクトゥスが言葉を引き継ぐ。

「これまでの対応係という者たちに、どれだけ脅されてきたことか。

ヒトどもの転生をいくらでも作できると。

死んだ者たちから、我らを嫌う者を選び、我らの教団に送り込むことなど容易い。

信仰を崩し、我らを消滅させるなど雑作もないとな」

うわー、職権濫用のうえに、歪曲した報流してるよ。

つーか、神族との流會で、魂魄の磨耗と消滅起き始めたのは結構前からなんだよな?

ブチブチブッチ部長は、対策をずっと練ってきたと言っていたが、考えてみれば彼は人事部部長だ。現場には疎いに違いない。

流會の問題に、かつての冥界側の態度が起因していると理解はできても、その容までは把握していなかったのだろう。

ただ、流課の課長がまったく認識していないというのはどうだろうか。

いや、1ヶ月前の異組だとしたら、それもあるか。

まだ、1ヶ月だもんな。

「だが、我らの耳にある噂話がってきた。」

また、北神が語り出す。

「冥界の最高責任者が、現界不干渉の指示をだしているとな」

「我々が、強気の態度を示しても、我らを消滅させるきはなかった」

「噂は真であると確信した」

「しかし! 冥界は流會の態度を改めぬ」

「そうだ! だから我らも改めぬ!」

「これは、流會という名の、冥界と現界の戦爭である!」

互に語ってるぞ、この2神。実は、仲が良いんじゃないか?

どちらにしろ、よくわかった。

冥界のシステムが、不明すぎるんだ。

オレの生前いたニホンだって、不明な政治は批判を浴びる。

冥界の存在をわかっていない人類や、野生生系の魔獣や植はそれで問題ないが、冥界の存在を知っている者たちにとって、なにをやっているかわからない連中なんか、恐怖の対象でしかない。

うん。決めた。

「やめた!

今日の流會は中止だ」

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