《転生しているヒマはねぇ!》61話 責任

「アホか、お前は!

出來るわけないだろうが!」

「アホとはなんじゃ!

やってみんことには出來るかどうかわからんじゃろうが!」

オレたちの大聲にわれ、船の上にギャラリーが集まってきた。

ギャラリーの中には、ラヴァーさんやアイシスの姿も見える。

ソレイユは……いた。アイシスの後ろに隠れるようにしているが、ちゃんといる。

「そういうことじゃねぇよ!

出來るかもしれないんだったらヤバいだろうが!

 消滅ができたって、復活が出來る保証はないんだぞ!」

「だから、儂で試してみろと言ってるんじゃ! ドアホ!

儂が耐えられん力なら、お祖父様と母様を除けば、誰も耐えられん。

だからダイチ。もし、儂が耐えきれなかったその時は、レイラはすでに了解しておるから、レイラと結魂せい」

「は お前を消滅させたら結魂て、なんだよ

テメェはレイラさんの父親か! オレのを越えて行けか!」

オレの罵倒には答えず、マーシャは真剣な眼差しをオレに向ける。

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「結魂して、今も魂が現存しているのは2例しかないのは知っておるか?」

「ああ。お前の母ちゃんとノラだろ?」

「うむ。それはなぜか? 答えは簡単じゃ。

お互いの魂が惹かれあったうえで結魂したのは、その2例だけだからじゃ」

「なんだよ、それ? 殘りはお見合い結魂か?」

「違う。結魂した後の狀態は、ラヴァーから聞いておるな。

思い出せ。さすれば、答えは明らかじゃ」

結魂後の狀態?

えっと、まず、主は従から、永遠の忠誠と能力の補完をける。その代わり、魂魄の負荷が増して……!

「まさか……自殺か?」

マーシャが、悲しそうな目でオレを見る。

こんなマーシャは初めて見る。

ああ、ヤだな。

どんなに困らされても、コイツにはふてぶてしくいてもらいたい。

「魂魄の磨耗からの消滅を待ちきれず、今すぐ、このいつ出られるかわからない魂の牢獄から、抜け出したい。

いつ頃だったかの?

 もうずいぶんと昔のことで、正確にいつかは思い出せんな

……7、8千年前だったかのう?

結魂によって自殺する魂たちが、次から次へと現れおってのう」

そうか。ラヴァーさんが、ここで働く前だから、消滅した魂たちが結魂した理由までは知らなかったんだな。

結果しか知らなかったから、結魂=危険だと考えた訳だ。

アイシスが言っていた通り、のある結魂なら何も危険は無いのだろう。

「お前とて、アイシスやソレイユたちを消滅に巻き込みたくはあるまい。

儂を消すほどの力であれば、誰にも止められん。

儂を失ったレイラのなら、お前を崩壊させるのは容易いであろう。

だから萬が一の時は、潔く消えてくれ!」

「……けるな」

「ん? なんじゃ?」

「ふざけるなっ

レイラさんだって、巻き込める訳ないだろうがーっ!」

絶対言わないけど!

お前にも、消えてほしくないんだよ!

我儘で、行無茶苦茶で、おバカだけど

熱くって、優しくて、面白い。気の合う友達なんだよ!

「儂やレイラには、責任がある。

神類部の流課の魂消滅の件。お前の見立てでは、流會開始當初から続く、冥界側の現界を軽んじる心が本の原因なんじゃろ?」

オレの気持ちも知らず、俺を納得させるために言葉を紡ぐマーシャ。

「ならば、間違いなく原因は儂じゃ!

儂は現界の始まりのために、母様に指示され、様々な質を産みだしたが、現界に思いれがある訳ではない。

むしろ冥界の魂が助かるなら、現界なんぞ、どうなってもいいとさえ思っている。

転生役所のトップがそんな考えを持っておれば、下の者が現界を軽んじるのは當たり前じゃな。

馬鹿な考えよ。そもそも現界の魂も、ほとんどがお祖父様の分魂で生まれた、言わば家族であるというのに。

儂のその考えがなければ、お前が力を暴走させることはなかったのだ。

レイラも安易にお前を推薦した。お前が力を発揮しやすい環境を整えもせずにな。

だから儂らがお前の力のコントロールに協力するのは當然なんじゃ。

そんな顔をするでない。

安心せい! このマーシャ、58ある冥界の中でもトップクラスの強さを誇る、古いにしえの魂よ!

ぽっと出の、ひよっこ魂の力で消されるような、な魂ではないわ!

ほれ。を借りてやるから、ドーンと力をぶつけてこい!」

本當にバカだよ、お前は。

確かにお前には貸せるだけのはないけど、借りちゃ駄目だろ。

そもそも、お前が耐えられるかどうかの問題じゃない!

自分の長のために、友達の命を懸けるのが問題だってんだよ!

自分の長のためなら、自分の命を懸けるもんだろう!

あ。そうか。なんですぐに気づかなかったのだろう。

オレの力に、魂を消す力があるかどうかなんて、誰かに頼む必要なんてなかったんだ。

オレは、すんなりと覚悟が決まる。

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