《転生しているヒマはねぇ!》63話 二次會

居住界へと帰路につく船上は、大宴會の真っ最中だ。

先程まで、ンボさんを含めた、役所の職員たちが、順番に並んで一人一人オレに祝いの言葉を述べていきは、酒をついでいった。

いつまでも減らない行列に辟易し、行列を3人の嫁に振り分け、一息つこうと宴席から逃げる。

先頭のマストまで來たオレは、マストに張られた帆を見上げる。

3本のマストにそれぞれ張られた四角帆には、大きく文字が書かれていた。オレとショート3連星の可らしいデフォルメキャラ付きでだ。

前帆『カワマタ ダイチ君』

中帆『アイシスさん・ラヴァーさん・ソレイユさん』

後帆『結魂、オメデトー♪』

……えっと、昨日オレの魂魄消滅未遂事件の時までは、間違いなく純白だったよね?

いつ用意したの? コレ?

「驚いたか?」

いつの間にかオレの背後で、マーシャがドヤ顔で立っていた。

な、なんだ、その顔は

「フッフッフッフッフ」

……おい、おい、おい、おい

まさかコイツ! 

そういや、昨日もオレが勝手な行をとったことを怒らずに、すぐに祝福の言葉をかけてきやがった!

オレが、ああいう行をとることも、三人と結魂することも、全て読み通して、事前にこれを用意したんじゃ……。

「儂も驚いておる」

「テメェもかよ!」

「何を聲を張り上げておるんじゃ?

昨日の今日で、ここまで用意した手際を見れば、誰だって驚くであろう?」

「そ、そうですね。仰る通り」

チッ! オレとしたことが、コイツを過大評価してしまった。

新鮮でもマーシャはマーシャだ。

先々を見通すなど高レベルなことを、期待してはいけない。

「元々パーティーはするつもりだったから、料理の準備はしておったのだ。

だから、パーティーをする名目がひとつ増えただけじゃ。

しかし、あれは違うぞ。お前らが船室で休んでおるうちに、ンボドロゴの奴めが音頭をとって、大勢で書いておったわ」

な、なんと! 

「ンボさん。そんなこと一言も……」

「フッ。友とはそういうものであろう。

アヤツめ。すっかり逞しくなりおって。指揮をとっておる姿は、なかなか様になっておったわ!」

そっかー。確かにンボさん、最近『い~と魔鬼魔鬼』で一緒に飲んでいても、すっげぇー活き活きしてるもんな。

もう、ことなかれ主義のンボさんはいないのかもしれない。

嬉しくもあり、誇らしくもあり、ほんのちょっぴり寂しくもある。

「どうした? あまり嬉しそうではないのう。

お前、まさか三人と結魂したこと、後悔している訳ではあるまいな」

だとしたら許さんぞと、鋭い目付きが、無言で訴えてくる。

まぁ、ソレイユはともかく、アイシスとラヴァーさんは、長いこと書課のメンバーとして、マーシャを支えてきたんだものな。マーシャにとって妹が結魂するのと、大差ないのかもしれない。

「そんな訳ないだろ。

たださ、今回、勢いみたいなじで結魂しちゃったからさ~。

オレ、どうしても生きてた時の結婚と比較しちゃうから、何て言うか、もうちょっとこう……きちんと自分の気持ちを伝えてから、そのー、結魂したかったかなーと……」

「フハハハハハッ! 何を言い出すかと思えば」

「なんだよ?  レは真面目に!」

を尖らせるオレを見て、マーシャは益々笑う。

「怒るな、怒るな。だが、考えてみろ。冥界で裁を整えることの無意味さを。

言ったであろう。冥界での付き合いは、魂と魂のぶつかり合い。

お前の気持ちなんぞ、すでにあいつらには伝わっておるわ。

なにせ、そのうちの1人は、お前好みの仮に変化したくらいじゃからな」

「うっ!」

すでに、オレのショートヘア好きは、萬人の目に曬されているのか……。

「だが、その逆に、お前もまた、あの三人娘の気持ちをしっかりとじておるだろ?」

「お、おう。無茶苦茶伝わってくる」

「そういうことじゃ。考えるな。じろ。それが冥界流じゃ」

お前はもうし考えろよ。

「それにしても、お前。意外に気を使う奴じゃったんじゃな」

「失禮な! オレは常に気を使って冥活しているぞ! お前以外にはな!」

「そうであったか。すまんって、なんじゃとーっ!」

マーシャの右フックが、オレの左頬に刺さった。

だが、オレはマーシャの拳が顔にめり込んだ狀態のまま踏み留まり、ニヤリと笑ってみせる。

「な、なんじゃ! この手応えの無さは!」

「クックック♪ レイラさんから、お前の拳の手済みよ。

3人の嫁を得て進化したオレには、お前の魂魄の衝撃波が屆かない位置にまで、魂魄を仮の中で移させることなど、造作もない!」

「なんじゃとーっ! 

ん? つまりはこういうことか?」

マーシャがとても自然な作でオレの足を踏んだ。

「ウッギャァァァァ!!!」

オレの魂からのびが、船上に木霊した。

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