《転生しているヒマはねぇ!》65話 第一子

目が覚めたオレは、オレに腕枕をしてご満悅の表で眠るアイシスの頬を突っついてみる。

「ん……ダイチ……」

寢言で名前を呼ばれる!

し・あ・わ・せ♪

……いつまでも馬鹿なことを考えてないで、朝食でももらって來よう。

そう思い、上を起こしたオレの目に、あり得ない景が飛び込んできた。

ベッドで橫になるオレたちの足元辺りに、仮を持たない小さな魂がちょこんと佇んでいたのだ。

雀くらいの大きさで、ルビーのように赤くキラキラした魂だった。

「お前、どこからったんだ?」

聞いときながら、り口に決まっているかと思い直した。

昨日、アイシスがって來た時に鍵をかけた記憶はないものな。

しかし、小さい。植っていた魂の中には、これぐらいの大きさの魂はいた。ただかなり數だ。魔獣にいたっては、こんな小さな魂をいれるはないだろう。

小さな魂がいた。

とても懸命な様子で、オレの膝の上によじ登り、しずつ、しずつ、オレの上半へと進んでくる。

なんか可いな。

オレは、小さな魂の前に手を差し出してみた。

小さな魂は、ほっとした様子を見せ、オレの手のひらにピョンと飛び乗った。

カワイイ! まるで手乗り文鳥みたいだ♪

試しに顔に近づけて見ると、小さな魂は嬉しそうにオレの顔に、スリスリしてくる。

「おお! お前ずいぶん人懐っこいな!」

あまりのじゃれつきっぷりに、思わず喜びの聲をあげてしまう。

「……ん? 朝……か? 」

オレの聲に反応し、アイシスがまだ眠そうに目をりながら、起き上がってくる。

「……キャッ!」

であったのに気づき、タオルケットを手繰り寄せ、から下を覆い隠す。

なんて初々しいんでしょうか! 

昨夜、牝ドラゴンだった方と同一人とは思えないほどです。

「お、お、お、お早うダイチ! き、き、昨日はその……たいへんお見苦しいところをお見せしまして……」

「いえ、眼福でした」

お互いに頭を下げあう。

ふと顔を上げたアイシスの目が、オレの手のひらの上の小さな魂に釘付けになる。

「あー、生まれていたんだなぁ」

アイシスが不思議なことを仰る。

「うま……れた?」

オレが不思議そうな顔で、首をかしげると、アイシスも首を傾げて返してくる。

「あれ? マーシャ様から聞いてないか、魂のこと」

「え~と、互いの魂を混ぜ合わせて、ポンと出す?」

「あー、うん。マーシャ様らしい、ざっくりとした説明だな。

その……だな。昨日ダイチは、私の中に……出してくれただろ?」

アイシスの顔が真っ赤だ。

まぁ、きっと言われているオレの顔も赤いだろうから、おあいこだ。

「アレって、現界のとは違って、魂なんだよ。

それが私の魂の一部と混ざりあって、混ざり合った部分が分離されるんだけど、それがこの子」

「……現界と違って妊娠期間がないと?」

「混ざり合った箇所が馴染むのにかかる時間だけだから、2、3時間かな~。

あと魂は同じ魂同士の間では、一度しか発生しない。詳しい理由はわからないんだけど、免疫ができちゃうみたいな?

あっ! で、でもダイチさえ良ければ、また可がってくれると嬉しい!

アレは、また出來るから……」

タオルケットで顔まで隠して、そんなことを仰る。

本當に可すぎるぞ、オレの嫁さん!

もちろん、オレに嫌はない。

今度こそ、オ・レ・が・可がる!

「でも、そっかお前オレとアイシスの子供なのか。

どうりで可い訳だ」

オレが気づいたのが嬉しいのか、我が子はオレの手の上で跳び跳ねる。

どうやら、生まれたばかりでは流石に會話は出來ないようだ。

「ほら、アイシス。いつまでも隠れてないで、お前もれてやれよ」

オレにそう言われ、アイシスはタオルケットから手を放す。

がはだけるが、今度は隠そうとせず、オレに向かっておずおずと手を差し出してくる。

その手に子供の魂を乗せてやる。

アイシスが優しい手つきで、オレたちのの結晶をに抱き寄せる。

「お前がダイチと私の……」

我が子を抱いて微笑むアイシスの姿は、まさしく母親だった。

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