《転生しているヒマはねぇ!》66話 パパ大好き

「とりあえずは、神類部に登録されている全ての神が參加してくれる仮定で、資料を用意しましょう!」

「ええ。一応失くすような奴もいるかもしれないので、多めに用意してもらえますか?」

「お安いご用ですよ」 

月日が経つのは早いもので、人の嫁さんを3人まとめて娶った連休から、2週間が経過していた。

オレは流課企畫係シャンセ係長と、1週間後に迫った『現界神族向け冥界運営説明會』に向けての最終的な打ち合わせを小會議室で行っていた。

シャンセ係長は、頭の頂點と両耳の上の3本角のナイスガイだ。

なかなか熱的な男で、外見も30代半ば位をキープしている。 

ただ、その格のせいで、神類部部長からは疎ましく思われていたようだ。

文字通りの流會としての企畫はことごとく卻下され、魂魄消滅対策メンバーからも外されていた。

「それでは、基本はこの最終計畫書を基盤に。

問題が発生したら、その都度対応ということで。

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室長には私から提出しておきますが、構いませんか?」

立ち上がったオレの問いに、シャンセ係長も立ち上がって頷く。

「ええ、もちろん!

いやー、それにしても、室長とダイチ係長には、謝してもしきれません。

うちの連中も腐りかけてましたから。

『企畫係がある意味があるのか』ってね。」

「以前にも言いましたが、今度の説明會はあくまでも、これからの神族と冥界の真の流を計るための準備でしかありません。

シャンセ係長を含め、企畫係に本當に活躍してもらわなければならないのは、説明會の後です」

「ええ。わかっていますとも。今回は私たちも同席させてもらって、現界と冥界の間に橫たわる問題を直視したいと思っています。

それさえはっきりさせてしまえば、今後の企畫の方向が決まります。

時間はかかっても、必ず問題解決に直結する企畫をたててみせますよ!」

頼もしいな。こういう前向きな人が同僚にいてくれるのは、本當に心強い。

オレとシャンセ係長は、固い握手をわす。

手を放すと、シャンセ係長の顔が綻んだ。

「いや、それにしても本當に可らしいですな♪

見てるだけで癒される。」

「でしょーっ! あ、いや、すいません!

仕事に連れてくるべきじゃないのはわかっているのですが、離れてくれなくて」

「ハハハ。良いじゃないですか。邪魔をしているわけでもなし」

まぁ、おとなしくしていることが、母親たちから出されたオレと一緒にいる條件だからな。

実は、今オレには小さな魂が3つ乗っかっている。

頭の上には、アイシスとのの結晶、長子ルビーの魂、名前はリューリ。

左肩に、ラヴァーさん……失禮  ラヴァーとのの結晶次子白銀の魂チーノ。

右肩に、ソレイユとのの結晶三子エメラルドの魂ルトル。

3魂共に別はまだわからない。

魂で生まれた大先輩マーシャの話によれば、意思を言葉に変えられるくらいにまで長しないと、仮を形出來ないので別もわからんとのことだ。

ちなみに、マーシャがそこまでにかかった期間は3ヶ月。レイラさんは半年とのことだった。

「それじゃ、私はオフィスに戻りますよ。

資料の総仕上げに取りかかります。

ソレイユさんが手伝ってくれているんで、たいした時間はかからんでしょう」

廊下でシャンセ係長と別れ、神類部転生予定魂第2待機部屋に向かう。

シャンセ係長と別れると、子供達が我慢の限界を迎えたのか、オレの上ではしゃぎ始める。跳び跳ねたり、お互いの魂をぶつけ合ったり、なかなかのやんちゃぶりだ。

正直、微笑ましかったが、嫁たちからは、くれぐれもやりたい放題にさせないようにと注意されている。

現界でも冥界でも、躾は大事なようだ。

確かに、マーシャみたいになったら困るもんな!

「コラ。シャンセさんといる時だけが、お仕事じゃないぞ。

役所にいる間は、パパもママたちもお仕事中。

ママたちの言いつけを守れないなら、お家でお留守番だぞ」

オレがそう言うと、3魂は途端に大人しくなり、それぞれの定位置に戻ると、しがみつくようにオレのに張りつき、離れたくないことをアピールしてくる。

……カワイイ! オレの子供たち可すぎる!

オレ、絶対親バカになれる!

だって、お嫁にもお婿にもいかせたくないもん!

「あんた! あたしのテリトリーで、あたしのスネークダンスを真似るとは! 良い度じゃないか 」

我が子らのあまりの可さに、悶えていたオレのを一瞬で固める、石化の呪いが背中にかけられた。

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