これまで多くの知らない魂たちに囲まれて張気味だった三子魂は、遊ぶ許可をもらったと、喜び勇んでマーシャに踴りかかる。

くっ。いったいどう書けば、あの三文字に三時間を費やせるというんだ！

「こ、こら。お前たちやめんか。食事中じゃ」

まだ仮をもてない三子魂にとって、食事など関係ない。容赦なくぬいぐるみので突撃する。さすがのマーシャも三子魂相手に魂魄での打撃はせんからな。安心だ。

おまけに丁度良いタイミングで、レイラさんがやってくる。

「姉さんズルい。私も三魂と遊びたい。混ざるーっ！」

額と両耳の上の計三本のツノをたてて、四魂に突撃する。

うん。プライベートでは本當に子供だな、レイラさん。

甘やかされるのを好む魂だから、三子魂の相手は嫌がるのではと思っていたが、こちらも神年齢が近いためか、仲良くやっているようだ。

俺は芝生の上でゴロゴロ転がり始めたガキンチョどもをそのままに、途中すれ違う來客たちに挨拶をしながら、嫁さんたちの元へ行く。

嫁さんたちは、チェリーと會話をしていたところで、その容が耳に屆いて來る。

「というわけで、申し訳ないんだけど、今度のお休みにダイちゃんをお借りするのさ」

宙にプカプカと浮きながら、チェリーは嫁たちに深々と頭を下げた。

「ようやくか。お前にしては行が遅かったな」

「頑張ってくださいね、チェリーさん」

「部屋準備済。ドンと來い」

「か、寛容すぎてなんとも言えないのさ」

よくわからんが、あのチェリーが顔を引き攣らせている。珍しいな。

「おう。どうかしたのか？」

繋がっている嫁たちのはとても明るいものだったので、りこんでも問題ないと判斷したオレは気軽に聲をかける。

「ああ。ダイちゃん。ほらこの前頼んどいた地獄めぐりの了解をさ、みんなにもらってたところなのさ。

次のお休みなんだけど、かまわないかい？」

「おお。アレな。嫁さんたちが問題ないなら、オレはいつでもいいぞ」

「もちろん大丈夫だ。しっかりとヤ・ッてこいよ、ダイチ」

「でもあの薬は駄目ですよ！　初めてには激し過ぎます！」

「ポッ　」

「いや、オレなにすんの 地獄巡りだよね ホテル巡りじゃないよね　」

嫁さんたちが家族が増えることを大歓迎しているのが、すんごく伝わってくる。

相手が信頼のできるチェリーというのもあるのだろうが、そのあまりの寛容さに俺もチェリーもタジタジである。

「なんじゃ、楽しそうじゃのう」

じゃれ合いが終わったらしい五魂がこちらにやってくる。

三子魂は遊び疲れたのか、レイラさんのふくよかなの上に大人しく座っている。……羨ましい。

オレが思わずそう思うと、なぜかアイシスからは勝ち誇るようなが、ソレイユとラヴァーからはねたむようなが流れてくる。

うん。気づかなかったことにしよう。

「まあ仲良きことはよいことじゃ。

それはまあともかくとして、こやつら、もしかしたら思っていたよりも早く仮を與えてやれるかもしれんぞ」

「へぇー、マジか。そりゃまたなんで」

レイラさんのでくつろいでいる三子魂にあらためて目をやる。

「うむ。こやつら、魔力の扱いにとても長けておる。仮を扱うのに必要なのは魔力じゃからな。その量とコントロールが安定した頃が與え時となるんじゃ。

冥界の質も限界の質も元々儂が冥力で創りだしたモノというのは話したな」

「ああ、聞いてる」

「うむ。冥力で創る時に魔力で調整しての、儂ら魂だけの存在では普通にさわれぬモノを限界に、魂だけの存在でもさわれる質を冥界で使用している訳じゃ」

「あれ？　そうするとこのぬいぐるみの素材も、お前が作っているんだよな

こいつらが中にりこめないってことにならねえ？」

「そう。まさにそこじゃ」

我が意を得たりと頷く。

「こやつら、自分の周囲の魔力を上手くコントロールして、質をコーティングしておる儂の魔力と同質にし、質をすり抜けておる。

中にり込み、自の魂魄をぬいぐるみの形狀に広げたところでソレを解除しておる。まだ絶対的な量が足りておらんから、こういうチッ濃いモノしかかせんが、あともうし魔力が増えれば子供用の仮を與えてやれるだろうて」

なにそれ。よくわかんないけど無茶苦茶用なことしてんじゃない、俺たちの子供たち。ひょっとしてとても優秀だったりする？

「ウフフ。本當に將來がとても楽しみな子たちです。

上手くいけば、私もっと楽ができちゃいます～」

レイラさんがうっとりとした表で三子魂を抱きしめ、とても殘念なことを仰った。