《俺の小説家人生がこんなラブコメ展開だと予想できるはずがない。》011.その表は止めてしいのですが……?
小學、中學と何事もなく過ぎていく時間にただぼーーっと眺めていた俺は、貴重な青春というものを池に投げ捨てたかと言えばそうかもしれないが、それを知ったうえで人生の大半を損しているなどと言われる筋合いはないときっぱり斷言できる。
純に純粋に生きてきたお前たちにとっては常識と呼べるものでも、それはマイノリティを斡旋するために生み出された固定観念である。
まあ、そんな気難しい言葉を並べても意味が伝わりづらいので簡単に言えば、俺が捨てている場所はドブのような汚染された池ではなく、清らかに浄化された銭洗弁財天の水で満たされた池ということだ。
自の青春を洗い流し新しい出會いを求める、なんてことは一欠けらも思っちゃいないが(中學のあの苦い思い出を俺の底に突き付けてくるのだ)。
とにかく良・い・意・味・で過ごしていたのは確かだ。
ドラマや小説、アニメで見るような風明な(ヒロイン?)が現れては學校で問題を解決、とかいった一種のラブコメ展開やハーレム展開はこのリアルすぎる現実に存在しないという當たり前な事実に勘づき始めた俺は、より的な想像で駄々をこねることにしたのだ。
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火災で學校が壊されるとか異常気象によって校舎が浸水するとか、全て挙げていては切りがないほど。
俺は獨りでいることではなく(これは斷じて言えることだ)、過ぎていく日々に諦めではないが飽きるというを抱いたのだろう。つまり「つまらなかった」のだ。
だからといって、無理もしてまで人生を謳歌しようなどと雑食になったつもりではないのだが、俺が高校生活初日に抱いていた微細なスパイスがブーメランのように戻ってきたのか。
「ではではーこれから部活會始めるよーー」
なんと生溫いというか緩い聲掛けによって會議が始まったのである。
「文蕓部さんは次回、遅刻しないようにねーー」
注意喚起とは到底呼べないほどのらかさを持たせた口調で俺はしばかり貓背になりながら挨拶をする。
部活會ーー司會兼監察部擔當、掛依真珠。すなわち俺の擔任である。
「まずは教師かん……これは何かなあ」
いやいや漢字読めなきゃまずいですよ先生。というかどうやって教師になったんでしょうかね。
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掛依の後方から囁きが聞こえた後に「ああっ」という何とも腑抜けた聲を発しながら「管轄」と言い直した。
だがそうあるべきはずの空気に戻す様に、厳粛な部屋にり果てた。彼の鶴の一聲のような自己紹介で。
「私が本校理事長、水無月雅だ」
あとで訊いた話になるが理事長と擔任のこの関係は切っても切れないようなものらしい。腰らかで何でもけれるような態勢をとる者と法と理念に基づいて冷ややかに事を執り行う者。
相反する人同士というのにこの部活會という會議において何年も同じ擔當のようだ。
「それ以上において私の自己紹介は蛇足になるので、早速本題に取り掛かる」
いやいや掛依先生要りますか?すでに役割司會剝奪されているんですけど。
當の本人は空中に浮いている埃を眺めているようだ、虛空をポカンと見つめている。
「まずは予算報告……と言いたいところなのだがどうやら一年生も混ざりこんでいるようだ。今回は保留としよう」
冷や汗がから一気に噴き出したような覚だった。遅刻した挙句、仕事も未達など生意気にもほどがある。
「なら今回は今後の會議容と計畫を伝えるとしよう」
年齢は40後半だろうか、なくとも擔任よりも若くないのは分かるのだがそれでもスレンダーな型としっかりした腰だ。THE 理事長である。
「會議は主に各部の進捗狀況を報告してもらうことにある。予算やらのい數値の報告は要らないが何をしたかだけは教えてくれ。この報告は文化祭が始まるまで行ってもらう、その後は要検討だ」
単調に他人事のような聲音だったのは察していたこのの格からそう驚くことはなかった。
「では、本日は早いがここで解散とする」
本當に事が進むのが早くて隣に座る人と比べてしまうのは不可抗力です、すみません。
それはさておき、部長というカテゴリに紛れるかのように俺は會議室の出口付近に佇んでいたのでようやく固定されたグループから解放されるという喜びで舞い上がった。
おそらく、それこそが俺の今日一の失敗だったのだろう。自分の行ないを振り返るということの素晴らしさ、大切さを棘を刺すように思い知らされた。
「文蕓部と新聞部は殘りなさい」
俺はムンクのびを模倣した顔のまま、帰ろうとする他の部を恨めしく思うほかなかった。
長い憂鬱な時間が終わったと雲の隙間から懐かしの日差しを味わうような心に至っていたのは不思議ではないのだろう。
獨りでいることこそが俺が掲げるモットーであるはずなのにそれすら裏切って大群に群れた俺はきっと間違っていないとそう宣言しびたいほどだ。
だってそうではないか、嫌々來てやって「もう君はク・ビ」なんて上司に言われたら俺は何をしていたのだろうかと再考するのと同じだ。
だからそう、これは阿吽の呼吸というやつだと信じたい。
「は?」
俺は初めて面會してそうな人、その人に無禮極まりない不躾な返事を繰り出した。
「すいません、突然のことであまり理解が進んでいないので詳細を……」
というわけで付け足すように俺は社會がするものの模倣をした。しかし、
「いきなりで分からないのは仕方のないことだ」
當たり前でしょーが。
「まず、これには條件がある。つまりは廃部になるかならないのかはその條件クリア次第だってこと」
その條件とは。
「何でしょうか?」
俺はすでにこのの思に乗せられていたのだろう、半強制的に恣意的に作するようにして俺は導されたのだ。
「その隣の新聞部員と共同で記事を作することだ。記事の容は……過去の掲載を確認すればいい。事をまとめ自分で本質となる文を生み出すという力をに著けるいい機會になると思うのだ」
さらりと冒頭でマストな要件を伝えるだけ伝え、あとは実行者本人が得られるように見えるメリットでそれを補う。勿論それはそう見えるだけであって実際にそれがにつくとは誰も保証しないのである。
「どうして記事を作らなければならないのでしょうか?」
デスクに肘を乗せ頬杖をつきながら俺に説き伏せるように、これを聞けば承諾するだろうというある意味予知夢を見たような面持ちで言い放った。
「嫌ならやめてもいい」
それって脅迫と取って良いのでしょうか、などとくだらない冗談を吐きたいのは山々なのだが、
「どうする?」
そんな目で見つめられては思春期真っ盛りの男子高校生には反論すら出來やしませんよ。上目づかいで俺を説得してきた神無月に再び目線を合わせてから、
「分かりましたよ。出來る限りの範囲でやってみます」
整っていない髪のをさらにぐしゃっと潰すように手をれるのは、俺のペースをされた証拠である。
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