《俺の小説家人生がこんなラブコメ展開だと予想できるはずがない。》017.どっかで見たような気がするのですが……?

よくフランケンシュタインというとなんだか四角い頭に釘が刺さってい目ばかりの顔を思い出すだろう。なんてことはないただの化だ、怪だなんて容姿で判斷するのだが、全くの見當違いで鼻で笑いたくなる。

フランケンシュタインは実のところ怪などではなく単なる研究者で、しかも人・間・であり、彼が生み出した怪が自と間違われるなんて話だ。

ところで何故この話をしたかというとかの怪について語るためだ。彼、フランケンシュタインが生み出した「怪」は外見だけを見ればそれ相応の姿をしていたらしいのだが、人間の心や知も持っていたのだ。

だが、何より外・側・しか見ないフランケンシュタイン博士を始め人間たちに忌み嫌われ迫害され、挙句の果てには殺されかけてしまう、そんな悲劇の語。

自分が生まれたこと、それ自に罪があるという世界の殘酷について語ったその小説は俺ののどこかに突き刺さった。だから今の俺の冤罪だなんて全く軽い話なんだと俺は思い返したのである。

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冤罪というのは恐ろしいものである。

いきなり矛盾論展開!なんて都合のいいような話の流れでさぞかし戸っているのかもしれないが、今は現在、昔は過去、パラダイムシフトとともに問題の焦點も変化する。

つまりは今の俺にとって問題であることと過去の問題を比べても意味が無いのだ。今はこの問いに集中しよう。

この言葉を聞いた時、一般人はどうしてか自分には直接的に、あるいは間接的にさえも関わらないと誤解してしまう。誰でも起こりうる可能であるはずなのに無関係であると主張しているのだ。

だが、まるで他人事のような語り口調でそんなことを言われても誰も信じないと、そう思ってしまった自分を毆りたいという衝に駆られているのが今の俺。

現に味わされている俺は予測していなかった境地に立たされ……なんて冗談を吐いても結局現狀は変わるわけないので今ひとたび訊く。

「何の用ですか?」

「しらばっくれないでよーー^^分かってるんじゃないのーー?^^」

「その裏の顔満載な笑みやめてくれませんか」などと直接投げようかと思ったが、それも蛇足のようだ。

「いや、分からないです、どうして俺だけが?」

「『何笑ってんだよ』って思った?」

「どうして?」

「ううん、直だけどねーーそうじたんだーー」

怖すぎかよ。

俺にもその分けてしいのだが……

「じゃあもう知ってそうだからこの話し方はやめるよ」

ふっと綿あめが溶け去るように消えたのだが、代わりに殘ったのはどうやら栗のようだ。栗、剝き栗ではなく毬栗いがぐり、まさにウニのように棘を無數に包する生

「で俺の話し方だが、そのじ方からするとやっぱ『知ってた』ってわけだな」

「まあ……そうですね」

俺はし上の空を眺めるように答えると、いきなり握りこぶしを作りながらパキパキと指を鳴らし始めた。

「そうか、なら毆っても構わねえな」

いやいやいやいや、変わりすぎじゃないですか?まるでハムスターから下手したらトラぐらいまで危険度増してるんですけど。

「っいいですけど、そしたら教師としての立場が無くなりますよ」と両手を上げて防態勢を取る俺。

「そんなのその前に証拠を潰せばいい話だ」

この人は本當に先生なのかと、もう一度検討し直そうとしたが。どうやらその必要はないようだ。

「つーーのは冗談さ。俺はそこまで兇暴じゃねえよ。共謀はしてるけどなっ」

けたけた笑いながら語りだした掛依の仕草にはわりと違和が無かった。見た目でわされるなという俺の教訓なのだろうか、いや恐らくそれはないな。

「それで何の用なんですか?先生?」

わざわざ時間を置いてまでして(というのも神無月に背後から名前を呼ばれた時に掛依が俺の耳元で「また一時間後ここで、ね?」なんて恐怖を孕んだ聲で話しかけられたのだ)、

この場所つまりは人通りが無い図書室脇の臨時通路に呼び出すにはその訳があるのだろう。まあ、ある程度予想は出來るがな。

「ここまで來て、しかも人気が無い場所なんだから何を話すのかぐらいは分かるだろ」

別に対話を楽しむためにこの場に來たわけではないので俺はすみやかに話を進める。

「あれですよね、知られたくないを知られてどうしようか迷った時に真っ先に口封じをするやつですよね」

「分かってんじゃんーー!!」

隣からういういと肘で寄せてくるあたり、「うわ、メンドクセエ」と俺の脳がそう判斷した。

「そうだよそうだよ。俺のこの面を知ってる奴はお前を含めて二人ぐらいしかこの學校にいないからな、あんまり言いふらされると俺も、君も困ると思うんだけどなあーー」

脅しですか?脅しですよね?

「最後に付け加えたのが気になるんですか、もし告げ口したら……どうなるんです?」

にんまりと下から覗かれるこの笑顔を見る限り相當面倒なことになる、そう俺は直した。

「ああ分かってますよ、分かってますよ。言わなきゃいいんでしょ言わなきゃ」

「そうだともお!分かってんじゃんココロの友よ~~」

橫から肘を突いてきたと思ったら、今度は腕を組んでくる。やけに他人との距離が近いこの人は、やはり関わりづらい人間なのだと悟った。つーかその友人構造どっかで見たぞ。あ、あいつ神無月だ。

この通路から見える景は四階であって絶景だ。見渡す限り田園風景が広がるこの土地はガヤガヤ騒がしい都市風景よりも俺のに合っている。

だが、だがだ、この隣でむふふといかにも悪だくみを企んでいる悪代に化けたのせいで俺の風までもが壊されるような余韻。

橫で田を眺めるこの悪代様は思い出したように俺に訊いた。

「そういえばお前は俺の本に気付いたとき、それほど驚いてなかったな」

背後から冷ややかな聲音が聞こえた時。驚嘆する以前の問題だ。俺は驚きというもあったがまた、心合點がいって喜びもあったような。

「なんというかやっぱりな……ってのがあったんで」

「予想していたってのか」

半分頷き、半分沈黙を取るとまたまた橫暴に背中を叩きつけてきて、

「お前面白いやつだなあ」

もう何度目か、俺はもうすでに懲りたその言葉を聞くことになったので嫌気がさした俺は先に退出することにした。

「では、俺も部活があるんでお暇させていただきます」

図書室の橫を過ぎ廊下を渡る、まさに來た道をまた戻るというじだ。すると目の前を通り過ぎる俺の半明な影數時間前の俺がそこにあった。

「結局、部活の事を聞き忘れたじゃねーーかア」

ほんの數時間前の俺の姿を思い出すと誰もいない廊下で俺はそうんでいた。

そうして俺の高校生活第三日目は華なのか、はたまた不遇なのかよく分からない曖昧な結末となって終わりを迎えたのである。

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