《俺の小説家人生がこんなラブコメ展開だと予想できるはずがない。》018.面倒なめ事01

高校生活四日目。

俺は裏表激しい人間のことをあからさまに否定したり、まさかそいつの言い分を聞かずにきっぱり拒絶するようなの小さい人間ではない。

オセロのように千姿萬態に格をころころと変える奴はむしろ面白い。

好みの異が近づいてきたら尖った棘を丸く収めて球のように変化したり、嫌な人間が近づけばそれ以上近づくなと言わんばかりのオーラを出す。

そんな緩急自在な人はこの世にいくらほどいて何かと嫌われがちだが、俺は逆だ。

は裏表ある方が可いとか言われるが、異として見るのではなく単に人生経験富ですげえなと、後輩のような目線だ。

だから、「あ、この人と付き合いたいとか」、「一緒にいたい」なんてロマンチックで幻想的でなくていい、何というか見ていて面白いなどと観客席にいるだけで良いのだ。

そう、サッカーチームを無所屬で応援するように攻撃している方もされている方も愉快だと、それだけで済ますのが俺、曲谷孔だ。

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なんてこれまたどうでもいい教訓やらモットーやらを語りだすとどうやらあの人も勘づいたらしい。

「曲谷君、いやマガトクン~~。今日の放課後また來てねーー」

帰りのSHRで俺に直接伝えてきたのには嫌気が差した、また面倒だなと。

だからおそらく魔も差したのだろう、思っていることを口にして楽になるということを。俺は何か愚癡を溢すように小さな言葉で「オセロ」と囁いてしまった。

「なーーにーーかーーなーーあ??」

教卓付近から俺が座る教室後側、ロッカー付近まで數秒足らずで間合いを詰めてきやがった。速移してきたのかとじるほどのスピードだ……

俺はあと數センチ前に屈めば額が當たりそうな掛依に再び小さく呟いた。とにかく俺とこの人以外に聞かれないように。

「すんませんすんません、もう言いません口にしません。許してくださいお代様」

まるで棒読み、草芝居の大役者を演じるオレ、いやむしろ名俳優じゃないか?

「その最後の一言要らないねーー?まあ曲谷君はマブダチだから許してア・ゲ・ル」

「それ…………古くないですか?」

「んーーーーーー?」

「何歳いくつなんですか?」と聞いてしまうところだった。危ない、危ない。この一言がもし俺の口から出てきてしまえば、危うく俺の華の高校生活は消されるところだっただろう。

つーかもう明にりかけているがね。

「了解です、まこっち先生」

「おっけーーーー!!」

ここで珍しくも、というか初めて彼のいわゆる渾名を口にしたのには理由がある。そう、理由がないまま行を起こすことなどありはしないのだ。

とあるラブコメでヒロインが主人公に落ちる瞬間だって、ときめく何・か・があるからだ。現象には必ず理由があるなんてよく言ったものだ。

「っおい!どういうことだよマガト!」

「お前ってそんな関係だったのかよ!!」

中學からの縁がある同級生、坂本卓也を始め、見知らぬクラスメイトまでもが俺の周りを囲んでいく。これがその理由だ。

つまり、こんな人の群れの中で裏の掛依と話す口調になってしまえばどんな関係かと疑の目をかけられるかもしれない、さらに言えばあのの正を曬してしまうかもしれないという予防策なのだ。

なんて俺は心優しいんだ……ってもすでに掛依の姿は見當たらないが……

「ずりーぞ、マガト……一人だけ獨壇場で歩みやがって……」

「お前、曲谷って名前か?」

「こんなキャラがあの先生と……」

四方八方から浴びされる聲、まるでマスコミだな……というか予防策の効力が全然無いんですけどお。

「マガトォォォ」

「ふざけんなよ!俺の方が俺の方が……」

「いいや掛依先生とは僕の方が似合ってるはずだ!」

徐々に熱を帯びていく流れ、俺はただを任せるだけだ。どうせ何を言っても信じないだろう。

ただ、俺にはそれよりも考慮すべき事案があった。事案、まさに無実潔白であるはずの罪のり付けである。

「……………………………………………ふっ……」

俺の橫を無言で立ち去ろうとした時、一つの微笑が俺の顔面を突き刺した。その微笑はドライアイスを尖らした槍か何かのような、といえば一番合っているじだ。

しかし、しかしだ、その槍はどうやら俺だけに伝わったわけではないらしい。

「どんな関係だよ!!!」

「お前あのと付き合ってるにも関わらず……二しやがってぇ!!」

イヤァァァ、というの心のびは當たり前に聞きれるはずがなく、

「これはもう事件だな」

「ああ、こりゃ逮捕案件だ」

どんどんヒートアップしていく取り調べのような何か。俺は疲れきったに鞭をれて終止符を打とうと一聲挙げた。

「これがオレの力だ」

キリッとした風貌で立ち盡くし、まるで見せつけるように、誇示するように…………間違いを犯した。

周りの男共をさらに逆上させる結果。

心底思う、と関わると面倒なのだと。

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