《俺の小説家人生がこんなラブコメ展開だと予想できるはずがない。》096.違和しかないデート 2回目

平日の最中、太が真上に昇る真晝間。休暇中でなければ晝飯時といった頃だろうか、俺は正午のチャイムが鳴り響く前にとある駅の改札付近に突っ立っていた。

何も訳なく突っ立っているのではなく、というかそもそも理由がなかったら、本當に暇人としか見えないというわけで、とどのつまり俺はとある人を待っていた。

神無月茜である。

休日に何処かへ出かけるという、他人からしてみればデートにしか見えないこ・れ・をするのは本日で二回目となる。あの時は何か思いつめていた顔でいて、植園に行っても、星を観察しても、あまり素で楽しんでいるように見えなかったがーーと言っても俺も男二人で出けることの張があって素で楽しめたとは言えないが、今日はどうだろうか。

一度あることは二度ある、なんて話もあるが今日も思い悩むことがあるのだろうか。だが二度あることは三度ある、なんて話もあるわけで何度も同じ間違いを起こすなという意味としても捉えられる。

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だから前に起きた出來事が再び起きるかもしれないといって今日も思いつめるのはいささか考えすぎというやつで。本人から話してこない限り、悩みはな・い・のだと思い込むことにした。

「やっほーーい!!おっはようっ。ひさしぃねぇマガト!!」

午後12:30分、晝を知らせるチャイムが流れてからおよそ30分経過したのちに、俺が待ちんでいた、期待の人がようやく現れた。日に引けを取らない気さとどこか抜けている箇所が見え見えな言葉を話す人はあいつしかいない。

「おはようじゃない、そして久しくもない。お前の言うことはいっつも突っ込みどころ満載だな」

「ぶーー、いいでしょそれぐらいーー、久しぶりなのは私から見て久しぶりってことなんだしさ」

ピースサインを突きつけて突然挨拶を押し付けてきたと思いきや、次は腰に手を當てて背を屈む。よく見ると頬が膨れてさぞかしフグのように見える。

なんて表かなんだ、この人は。

「ったく、分かった。俺とお前とは考え方の違いがあるということで片を付けよう。価値観なんて人それぞれ一概に一つだとは言えないしな」

「ふっふーーん。でしょーー?」

考え方に差異はあるのは當然だ、何も間違っては無い、むしろ違いがある方が新しい考えに繋がるかもしれないしメリット、有意があると言える。だがしかし、一つだけ未だに解決されていない問題が殘っていないだろうか、會って早々さらりと流されたもんで口に出す機會を失いかけたが今ここで言おう。

「だが、だからといって30分の遅刻は看過できないな。10分だったらまだしも20分オーバーの30分となると……ちょっと遅れすぎやしないか?」

俺は細かいことに気を使いすぎないわゆる神経質な人間であるのだろうか、否。そうではないと信じたい。

「あーーそれはごめんね……ちょっとさ」

「もし遅れるなら……その、連絡すればいい話だ、せっかく換したんだから使わなきゃ意味無いだろ」

単純に連絡先と言えなかったのはきっと俺が知らないうちにを固くなっていたせいだろう、じゃなきゃ説明がつかないにも程がある。経験がなかったことから生まれた失策なのだから。

しは罪悪を持ちつつも、神無月は俺から見ると真面目に考えているようには全く見えなかった。なぜなら、

「へぇ……それって私の事を心配してくれたってことでいいんだよねぇ」

とあまりにも微笑混じりに聞いてきたからである。

やはり神無月だ。俺はひとまず安心した。

がしかし、またもや別ベクトルというか、方向の全く違うに包まれた。安心どころかに全てが押しつぶされるかのように変化をさせてその言葉とは。

「あのさ……もしよかったら私のことはあだ名で呼んでいいよ?」

絶句、ではなく唖然だ。本當に驚きすぎて言葉を間違えてしまったが、三度考えても神無月の話すことなすこと、かの編集者を連想させて肝を冷やされる。

というか男二人きりで出かけることが前提條件である以上、あだ名を呼び合うのは避けられないのだろうか。いやさすがにそれはないか。

だからといって水無月を「桜」と呼んだのと同じように、神無月のことを「茜」と呼ぶのか。

取材としてもしなくても、どちらにしても恥ずかしいことこの上ない。

水無月の時はあいつから「取材」と言われ、いうならばそれを納得した上での行だったのでそこまで気恥ずかしい雰囲気にはならなかった。

が、今この狀況は俺が水無月の立場となれ、といっているようなもんだ。二人で行するということが特に裏心があるわけではないということを、この神無月に伝えなくてはならないのだろうか。

いやしかし、その場合、俺がわなくてはならないのではないか?

俺が二人で行こうってって、今日は取材のために來させたんだ、としなくては話の筋というか流れが合わないのではないか?つまり、今日俺が神無月にわれたことでそれはすでに潰えているのではないか?

度重なる疑問が絶え間なく飛びう中、俺が選んだ選択肢は。

「分かった……出雲でいいか?」

「は…………?」

口をポカンとあっけらかんに開きながら、まさに茫然さながら俺を眺めていた。何を言っているのだろうかこの人は、と聞こえそうなくらいに。

「だから出雲だ」

だから再度言った、何度も言っても理解出來ない事を繰り返しても無意味であるとは思ったが念のためだ、聞こえなかった時の為に……

「何言ってんの?」

聞こえていたらしい。

「いや、だって私の名前と一欠けらも被ってないじゃん」

うん、まぁ俺だってそれは知っていたうえで言ったが。俺が神無月のあだ名を考えるうちにおかしくなったわけじゃない、もう考えるのが面倒だからといってテキトーに思いついた名前にしたわけでもない。

「神無月ってさ、神無し月って言葉の略稱で、それって神がいないってことだよな?」

「まぁそうだけど……」とさぞかし納得というよりは不満足気に語る神無月。なるほどそれならこっちも語りがいがあるというものだ。

「ならその神はどこに行くんだ?まさか神様がそのままドロンするわけないよな」

そこで彼は気付いたようだ。「ああーー!!」と甲高い聲を高々と上げると俺は一瞬にして両肩を摑まれた。

「なっるほどね、さっすがマガトだ!!」

そこまで苦労して謎を解き明かしたかのように興されると嫌でもないがそこまで嬉しいとも言えない。確かに誰かが閃く瞬間を目の當たりにするというのは問答無用で喜ぶが。

いなくなった神様がどこに行くのか、なんて誰でも思い付く話だろう。

それと、こう……両肩から両腕をその手で束縛して満足されてもこちらとしては戸うしかないではないだろうか。

「なぁ、それはいいんだが……その放してくれないだろうか……手を」

「あ」と同じ言葉でも発音が全く違う、今回のはあからさまにやってしまった、と言わんばかりの聲音だった。思わず、神無月は俺の両腕を摑んでいた手を放した。

「……ごめんごめん、ちょっと熱くなっちゃってさ」

どこに熱くなる要素があるのか、とあったとしても熱教師まんまではないかと突っ込みをれたくなるのを抑えつつ、俺は、

「いや、それよりも早く行かないか?」

と目的地を指差してから、

「出雲」

と再び念を押すように言った。

あだ名として使う分には思いれがあるわけでもない名前なので特段目立ったが浮かばなくて良かったが、

「う……うん」

どうやら、それは使・わ・れ・る・本人には効果は無いようだ。

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