《俺の小説家人生がこんなラブコメ展開だと予想できるはずがない。》105.ある意味落ち著かない水無月桜の部屋

玄関へと向かいドアを三回ノックしても何の反応も返ってこなかったのでドアノブを捻った。どうやら鍵がかかっていないらしく、ゆっくりと屋敷を確認しようとしたとき。

「いきなりるなんて不審者極まりないわね、やっぱり通報しようかしら」

目の前で立っていた。というか俺がってくるのを待ち構えていた、準備をしていたというようなじか。俺が靴をいでいると水無月は「行くわよ」と二階に繋がる階段を登り始めたのでそのまま俺は後をついていくことになった。

そういえば、待ち構えているというのなら俺が水無月雅とすれ違ったことだって予想できるのだろうが、桜は一言たりともれることが無かった。

だがしかし。

なんだ?俺への仕返しか?俺が自分の家に、部屋に連れ込んで自分から張してしまったというあの恥辱を再び味わわせたいというのか?

前回の時、夏休み第一日目に來た時はそのまま二階へと登った先にあったアウトドアリビングで話し合った。だが今はそのリビングに向かって右側に繋がっている廊下を歩き、屋敷のもっとも東側に位置する小部屋へ向かっている。

小部屋といっても10畳はあるだろう長方形の部屋で、閑靜な無地白のベッドが部屋に合わせるように設置されている。ベッドの傍には俺が使用しているものと似た黒デスクが、その上には整理された書類が重なり、閉じられたノートパソコンが置かれていた。

デスクの隣には二つの巨大な本棚が並んでおり、バリエーションかな本がしまわれていた。……特に気になった背表紙は「俺の妹は○○ではない」だったが……うん。まぁ……小説のネタやらプロットを形する中で多くの報を、別の見方で得ていくのは確かに重要だ。たぶん。

「ここってあんたの部屋じゃないのか?」

「そうよ」

「正直に言ったよ、この人。で、なんで俺のような男を自分の部屋に連れ込むなんてことをしでかしたのか聞きたい。まさか俺が自室に呼んだからその返しをしようって魂膽か?」

やはり仕返しか?俺が自分の家に呼んで、しかも自室に二人で籠る狀況になったことを未だにに思っているのか?

「いえ、別段仕返しとか報復とかそういうネガティブなものではないわ。そもそも私が被ったものが何一つないし。これは等価換よ。私があなたの部屋に邪魔したのだから、私もあなたに邪魔されなくてはならないの」

「わけがわからない理論だこと。って、俺が結構危ない狀況に立たされているのは変わらないんだけどな」

俺がせわしなく落ち著かない様子でそう言うと「あら、どうかしたのかしら?」と悪魔のような笑みで返してきた。

やっぱり仕返しじゃないかよ。

まさに悪魔的所業。嫌がらせの真骨頂……といってもこの裝を見ると、別の意味で気が落ち著かないがな。

「っそれは……言わないことにして。なんで部屋の裝が和風なんだよ。まったく、廊下やリビングの壁や飾りとの印象が違いすぎて頭が追いつかない」

「まず、なぜ床が畳なんだ?なら寢はベッドじゃなく、普通は布団だろう?」

「私って期から地べたに寢っ転がって寢ることはあまりなれないのよ」と水無月。

では、次に。

「なら、なぜ障子があるんだ?カーテンが余るように端に寄せられているし、こりゃ必要なのか?」

「そのカーテンって遮があまりよろしくないのよ」

「いや障子の方が良いとは思えないんだが……だったら新しいカーテンでも買えよ」

「私、そんなにお金ないもの」と下を上げてさも虛言を言うような口ぶりで水無月は言った。

「なんだかエキゾチックな裝だな、よくこんな部屋で落ち著いて執筆できるよ。むしろ尊敬する」

頭を捻らせて、俺を怪訝そうな目で見つめる水無月は、

「しないわよ、ここでは」

と、不思議そうな口調で呟いたのだった。

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