《俺の小説家人生がこんなラブコメ展開だと予想できるはずがない。》115.仲睦まじい達は俺にとって恐怖の対象である

「いいんじゃないのかしら?」

放課後でも、授業中でもなく、ただ単に授業が無い日に、響き渡るOKサイン。何の躊躇もなく発せられたサインに俺は驚きをひた隠しにしつつも、再度聞き返す。

「いいって、まさか俺の提案が通ったってことか……?」

「じゃなかったら私はいったい誰に対して答えてるのかって話よ」

まあ、常識の範囲で考えればそうなる。まさか俺の提案がこんなにも容易く通るなんて思いもしなかった。実際、俺ではなく坂本のアイデアを借りただけだなのだが、後で恩を返さなくてはならないな。

現在、山が丘高校文蕓部、部室

坂本と遭遇し彼のSFとをミックスさせたイマジネーションについて水無月に話したところ、水無月は考せずにそのアイデアを承諾したのだ。

「いえ……『』と『SF』なら高校生というニーズに対して有効的だし、作品に沒頭しやすいでしょう?」

「まあそうなんだが……この前言った同じ設定にして作品のテーマは作者自ら決める。それを二作品創るってのはやめるのか?」

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「うんうん」と頷く神無月。俺と水無月が話す中、橫で狀況を眺めている仲介者のようだ。たしか予め設定を作っておくというのは彼のアイデアだったような気がするが……

「ああ。そういえばそんな話もあったわね」

ここでひとたび創案者の神無月の心にグサリ。

 

「その話なんだけど、作品を書き上げるのならば自分で設定を組み込んだ方が楽なのよ」

そして二度、神無月の心にグサリ。

「それに、いちいち二作品書き上げる必要があるかしら?二作品作るとなると必ずどちらが上か下かって批評されるのがオチよ。部活で競い合うのは……面倒よ」

そして三度、とどめの一撃を一突き。

神無月は頭から煙を噴き出し、起率0%となった。

一発KO。いや三発か。

「そこまでにしといてやってくれ……それを考えたのは言うまでもない神無月だ、あいつだって考えられること脳を絞りつくして出した答えなんだ」

「ううう……なんだか嬉しいような嬉しくないような。でも気を使ってくれたことには謝……」

「謝謝」と呟きながらお辭儀をする神無月を橫目に見ながら俺は再び聞く。

「んで、さっき二作品を書くってのは面倒って言ってたが、的にどうやって進めるんだ?」

「プロットを二人で創るのよ。あ、ここでは三人ね」

「神無月さんれてね」と小聲でいうと「ぐえっ」と神無月は悲痛なびを洩らす。不気味な微笑を溢す水無月を傍で眺めると、なるほどこいつは絶対にわ・ざ・と・だ。

「骨組みは全員で創っておいて、細かいところは私とあなたで書き上げる。そんなところかしら?」

「いやまて、そうしたら語の進み方というか、登場人の印象とかが作者によって変わってくるんじゃないか?だってそうだろ?ある程度設定は決めるとはいえ、主人公が、ヒロインが何を言ったのか、言っていないのか、それは書いた作者しか分からないだろ?」

神無月は首をかしげる。「はて、何がおかしいのか?」と言いたげに。

「だから、プロットを創り上げて語がどう進むのかは分かる。だが例えばこんな話だ。『主人公がAと言ったからヒロインは行を起こした』ってなった時、作者が二人なら中の『A』は同じじゃなくなるだろ?『している』なのか『大嫌い』なのか、會話中の表現ならなおさらじゃないか?」

ぽっと頬を赤く染め上げる水無月桜。桜のように染まったピンクの頬は可いらしくのあるげなのように見える。

W・H・Y?

「いきなり……そんな単語を使うなんて……卑猥よ」

W・H・A・T?

一瞬思考が停止する。

いやいやいや俺はただ例示として、そう、例え話として使ったわけであって特段これといって意味深な表現じゃないんですけど。しかもあなたに対して言ったわけじゃあるまいし、何なら「卑猥」ってなんで「している」が「卑猥」になるんだって話だし。しかも、この文脈でいくと「大嫌い」はどうなるんだ。

何だ、これは俺を試しているのか?まるで神無月が俺に対してちょっかいを出してくるのと同じように水無月もまた彼の意外な反応を逆手にとって俺の反応を見ているというのか、そうなのか。なんて巧妙なテクニックというか、から出た錆と言うか。水無月自の巧拙というか。

いかん。取りしてしまった。一つここで深呼吸をしよう。

「水無月……一度顔を洗った方が良いんじゃないのか?」

俺がそう提案した剎那、一気に冷気が流れ込んできたような気がした。無論、部屋の中ではなく俺の全の中に刷り込んでいくように。

「…………つまらない」

「…………つまんないのーー」

「どういうことだ!!『つまらない』ってなんだよ。人がせっかく真剣な話をしているってのに、話逸らして冗談れ込んでくるっておかしいだろ」

それに何故か二人同時に言葉が発せられたぞ。これは見覚え仕・組・ま・れ・た・というやつだ。

「ねえ、神無月さん。あなたの言う通りに行を移したのだけれど、あまり上手くはいかなかったわ」

水無月はくるりと神無月の方に視線を移すと言葉を洩らした。対して神無月も、

「ねーー。マガトったらこれだから樸念仁だーーって言われるんだね。まあマガトだから仕方ないかーーマ・ガ・っ・て・る・から……」

ぼそりと囁く。

「樸念仁ってそこまで言われる筋合いはないだろ?それに神無月も俺の名前について弄るのかよ……」

「まあまあそう落ち込みなさんな。マガトさん。これもただの戯れ、文蕓部としての活ってことだよ」

「いえーーい」と躊躇いなく喜びをわにする気さ溢れる太と、愉悅を洩らさないよう必死にこらえる策士のような月。

「なんだかんだ言って、あんたら仲いいよな」

俺は「はあ」と溜め息を溢しながら、高揚する彼らを眺めるのだった。

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