《俺の小説家人生がこんなラブコメ展開だと予想できるはずがない。》119.災難しかない休日はとことんツイてない
夏休みの終盤、平日の商店街。真夏とは言わず熱日がコンクリートに蓄積されたためか、この辺り一帯蒸し暑さが漂う。たしか……ヒートアイランド現象だったか、太から注がれた熱流が都會から流れ込んできてしまうため気溫が上昇してしまうのである。だから、たとえるならこの暑さは……サウナだ。
そんな地獄のような環境の中、何故こうして商店街を歩いているのか。それはとある敬する作家のラノベを購する為だったが、こうして振り返っている口調をしているというのならば皆さん、ご察しの通り買えなかったのである。
突然、俺の擔當編集者でありクラスメイト、同部員でもある、水無月桜が來店し、とある理由で手できなかったのだ。
そしてあの水無月と手を握りながら商店街を歩く、そんな結末に至ったのである。
ん、話さなければならない重要な過程がすっぽり抜かれているって?
それは今になってはどうでもいいことだろうーーもし気になるのなら前回のお話を読んでしい。
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「ったく、後引く痛さだな……」
トボトボと歩きつつ自分の右手を眺める。一度握りそこから力を抜く。その行程を二度繰り返す。開かれた掌には中央に三日月形の跡、後引く痛さの源が未だ殘っていた。
『っなんddえいってくrnあいのよ‼‼‼』
異同士で手を繋ぐということがどんなことを意味するのか、その事実を知った時の水無月の表。泣いているのかと思ったが、あれほどまでを顕わにしたことはあっただろうか(いやないだろう)。
知らないことを知るという行為を面白いと思ってしまうのは人間のであって避けられないのかもしれないが……
いやしかし、あの水無月の必死さは申し訳ないが傑作だった。
何といっても涙目になりながら俺の両腕にしがみ付こうとしたのは、さ殘る子供が「あれ買ってほしいーー」なんて親に懇願している姿そのものだったし。それに……いやこれ以上は止めておこう。
これでは他人の不幸はの味。俺はただ知らなかった水無月の一面を知れて嬉しいだけなのだ。決してそれを悪用したり利用したり……なんてことは考えていない。というかそんなことしたらこれ以上高校に通えなくなってしまうだろうし……
そういうわけで俺は一人商店街を戻るように歩き、そのまま帰宅しようと考えたわけである。
平日であるためか周囲には人の姿もあまり見られない、通り過ぎるのは車ばかりだが、その車さえ數分に數臺しか通らない。
人の気配があまりない街中にただ一人歩く俺。これはつまり何かが起こる予なのではないだろうか。語だって周囲に人気が無い時にキャラが襲われるというのはお決まりだ。
天気とかは不穏な空気を醸し出すために曇天とかが使われるが……今回は外れだ、主張しているのではないかというほどの晴天ぶり。
念のため辺りに不審人がいないか確認する。商店が連なる左側から道路がある右側へと視界を移すと、
「いや」
歩行者と車両が通る道路を分斷する白いガードレール。街路樹の狹間に設置されたそれに腰をかけるように、
「いやいやいや」
黒服の男がいた。
「なんでこんな都合よくいるんだよ。あーーなんか怪しい人が登場する雰囲気だななんてそりゃあ思ったけどさ。これじゃ現実と創作の區別が出來なくなるだろ」
俺と男の間には10mほどの距離がある。だがここは歩行者専用に加えて次の曲がり角へはまだ50m先にある。今からUターンし、來た道をまた戻ると言うのはまた不自然。ゆえに、俺はこの男の橫を通過しなければならない。
黒いサングラスをにつけて顔がはっきりと見えない、喪服みたいに全を黒一にしている、この前、部活帰りに出くわした奴の他ならない。水無月はそこまで警戒している風ではなかったが。このていでは警戒しない方が変だ。
一般市民しか通らないこんな商店街にどうして現れたのか。
そう疑心暗鬼になりつつ真橫を通過しようとした時。
「すみません。曲谷さんですか?」
やはり聲をかけてきた。警戒しながら橫を振りむくと彼は元に自分の右手を突っ込んでいる、さながら拳銃を取り出そうとするかのように。これはやはりまずい狀況か。
だが、まだ俺は返事をしていない。ならば俺が曲谷孔だということをこの男は知らないはずだ。まさか、この男はそんな無差別に誰かを手にかけるということをするのだろうか。
悪役だって自分で決めた信念に基づいて行するはず。誰彼構わず手にかける人間はそれこそサイコパスだ、そんな人間、この世界にそうはいない。
だが、考えるまでもなく行していたらしく俺の左手は黒服の男の右手を摑んでいた。ただ無言で。
そうしてのきを制限された男はふと笑みを一瞬見せると俺の左手を振り払われた。そして男は自らの右手と脇腹で作ったに俺の左手を通し完全にロックされた。俺は束縛されが思うようにかない。
「すみません。もう一度聞きます、あなたは曲谷孔さんですか?」
無言で聞き流していると再び二度押すように問われた。
「失敬、こう言わなければなりませんかね。あなたは早苗月亮さんですか?」
その名を口にされたとき俺は逸らしていた目線を男に戻した。すると男はやはり不気味に嗤っていた。何故だ。どうして俺のペンネームを知っている?それに俺は何かめ事にでも巻き込まれることが一度でもあっただろうか。おかしい、どこかおかしい。
仕方なく俺は頷くと男は「そうですか」と淡々とした口調で流した。すると遠方から聞き覚えのある聲音が耳にってきた。
「おーーい!!何してんのーー何してんのー?」
その聲は山彥のように反芻して、二度同じ質問しているように聞こえるわけではない。必然的に、二・回・口にしているのだ。
遠くから足音が近づいてくるとともに「うわっ!!」とだらしのない聲を洩らした。
「マガト君ってばそんなところで何してるの?してるの?」
「こっちが聞きたいぐらいなんですけど。こうなったのもあなたの仕業じゃないんですか……」
そう聞くと「えへへ……」としも悪びれる様子もない。淑らしからぬ淑であり、水無月の現擔當編集者。
「そうじゃないんですか?明嵜さん」
明嵜和音だった。
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