《俺の小説家人生がこんなラブコメ展開だと予想できるはずがない。》132.小説を書き始めた理由

これは俺が小説を書き始めたきっかけの話である。高校に學する前、中學生の頃の話だ。

「は?何言ってんのか分かんねえんだよバーカ」

教室の中央で放たれた言葉に驚きを隠せえなかった。その時の俺はたった一つだけしか頭に浮かばなかった。罵倒されて悲しいとか、信じてもらえなくて寂しいとかじゃない、ただ単に「呆れた」の一言だけだった。それきり俺は二度と學校へは通うことは、通おうとはしなかった。

***

當時、俺は學校に行けずにいた。いわゆる不登校児ってやつだ。理由は……思春期真っ只中の中學男児だ、それなりに々とあった。考え方の違いってやつだったり、コミュ力不足、リアクションの不自然な取り方、それこそ原因を挙げようとすればきりがないほどだろう。その中で一番はがもっとも尾を引いているのだろうが、ここでは置いておこう。

要するに俺は自宅の部屋に引き籠もり、一日中ノートパソコンやら漫畫、ゲームのような娯楽に埋もれていた。何をするのも億劫でやる気が出ない喪失。「総理自ら弁解しようと試みるが野黨は聴く耳を持たず。」「學校で発生するめの約7割が誰にも言えないまま」スマホを開いてもそんなネット記事を見るたびに嫌気が差していた。

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坂本はどうしているだろうか。ふと頭を過るたった一人の中學校でできた友人。チャットアプリーーコンタクトを開くと通知數99を超えている坂本卓也の欄。既読すらつかなくなった俺に今でも連絡をとってくる彼はから正直な人間なんだろう。

俺は99と記されている欄をタップする。

『この前のゲーム、あれ神ゲーじゃね!?グラフィックとか、とかラグねーしちょーーいいぜ‼‼』

『マガトはやったんか?いや、やらないといってもやらせるぞ、覚悟しとけよ!!』

『昨日、學校に來なかったけど、なんだ、寢坊か?明日はちゃんと起きろよ??』

『何があったのか俺は詳しく知らないが、どうしたんだ?』

『大丈夫か?』

最新の送信履歴は『今日は●●があったぞー』と學校で起きたようなくだらない出來事の報告だった。必ず一日に一回は送信していることを知った俺はし彼に申し訳なく思う。

「こんなに毎日気にかけてくるとか、いい迷だっての……」

スマホをベッドに投げ、天井を仰ぐ。もう見飽きた景だ。天井はどんよりと俺の心に影を下ろすかのように暗く淀んでいた。

気分を変えるためにパソコンを開くことにした。このまま同じ天井を見たって何も変わらない。変わろうとも思わないが、ずっと眺めていると神病を起こしそうだった。

今季のアニメ、ネット配信される予定の特撮の報を得ようとネットニュースを調べようとした。

その時だった。

ニュース記事トップに掲載されたわけではなく、サイトの端に書かれていた「天才小説家衝撃のデビュー」という文字に目が止まった。

クリックすると別サイトに飛んだ。どうやら俺とあまり年が変わらない中學生が小説を書いているとのことだった。

一応言っておくが當時の俺はアニメは観るが、その原作小説を読むことはほとんどなかった。字を追うことが苦手だったし、そもそも興味が無かった。興味がないものを長い時間、取り組むのは嫌いだった。

そんな俺だったが、衝撃デビューした中學作家の作品を読むことになったのだ。いきなり小説が読みたくなったとか、容が面白そうとかそういった機じゃなかった。俺は同年代で同じように中學校に通っているやつが、どんな作品を書いているのか、ただ気になっただけだった。

ちょうどネットにも投稿されている小説だったらしく、誰でも読むことが出來るフリーのサイトに掲載されていた。

「シスター・コンプレックス・ファンタズム」

タイトルを見た限り、魅力的にはじなかった。うわ、ひどいタイトルだと正直思った。

しかし、冒頭一話だけ目を通した時にはのあまり手が震えていた。

一話目から大切な人を失ってしまうという急な展開で頭が追いつかないはずなのに、その後の回想で余裕に追いつけるような話の流れ。目を引くような文章の倒置法で描かれた小説に一気に虜になってしまった。

一度、語に沒頭することをやめ、想欄に飛んだ。すると、「この小説のおで今があります」、「しました、ずっと書き続けてください」といった応援メッセージ書かれていた。俺と同じようなことを考えているのだと実しながら、スクロールしていくと一つの想文に目が止まった。

『自分の描いた絵や文が誰にも認められず、意味が分からないと蔑まれる日々でした。しかし、この話を読んでもう一度頑張ろうと思います。ありがとうございました皐月先生!!』

今の自分と同じ境遇に立っている人間がいるのだと、初めて知った瞬間だった。何を言っても、表現しようとしてもれてくれない非な現実。立たされている場所は皆等しく同じなのだと。

そうして俺はノートパソコンに搭載されているメモ機能を立ち上げ、一目散に文字を打ち始めた。

ーー彼のよう自分が想像していることを、イメージしていることを誰かほかの人に伝えたいーー

自分だけの世界を、他人へと広げるように。まるで領土を拡大させるように、獨占が俺の頭を埋め盡くしていった。

それこそ他人にどうすれば気持ちを伝えられるのか、自分の想いを表現することの楽しさを――小説を書く楽しさを知った瞬間だった。

そして、高校生になるまで小説を書き続け、「俺の異世界転生先は妹だらけのワンダーワールドだった」が生まれたのだった。

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