《の黒鉄》第14話 海の王の舞
「ちっ! 逃がしたか!」
アリゾナは舌打ちをして逃げていく日本海軍の駆逐隊を睨み付けた。
哨戒の任務をしていた駆逐隊から日本海軍と戦との一報がったとき、アリゾナは戦艦部隊の中でも一番先頭に位置しており、最も現場に急行しやすい艦であった。
しかし、敵の部隊はアリゾナを見るなり、尾を巻いてさっさと逃げ出した。夜戦が得意と聞いていたアリゾナとしては拍子抜けするほどあっけないものであった。
「何だ、言うほどのことでもないな!」
アリゾナは逃げ帰る駆逐隊に嘲笑を浴びせる。
日本の駆逐隊は、煙幕を張りつつ遠ざかっていく。敵はそこら辺を走り回っているのか、敵が去って數十分ほど立っても煙幕の張れることはない。レーダーは先ほどの砲撃戦の影響かノイズがりっぱなしで壊れたと思われる。だが、敵には逃げるしかがないのは明白だろう。おそらくはこのまま本隊に合流するか、どこかの基地にでも逃げ込むと思われる。
「姉貴、敵の撃滅は終わったぞ」
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アリゾナは煙幕を見つめなが連絡を取る。ペンシルバニアは被弾しているものの日本艦隊の襲撃を喰らったために期間を変更している暇が無かったのだ。
「そう。分かったご苦労様。敵はもしかしたらまた來るかもしれないから油斷はしないで」
ペンシルバニアから念話で返答が來る。
「了解」
そう言って、アリゾナは念話を切った。
(しかし、やたらと立ちこめ続けている煙幕だな。奴等、一何をしているんだ?)
考えるもなかなか、答えは出ない。
先ほどの戦闘のせいか、どこかで羽蟲の飛んでるような音があり思考が妨害される。
「うるさいな! 何度この音は!」
そう怒鳴った直後、それに返答するかのように大口徑弾特有の飛翔音が聞こえる。
「え……」
アリゾナは固まった。本來ならば聞こえるはずのない音が戦場に轟いている。
その音が耐えがたいまで大きくなったとき、不意に音が止んだ。そしてアリゾナの右舷側に巨大な水柱を吹き上げた。
それは駆逐艦のような小口徑弾が上げる水柱の高さではない。どう考えても戦艦の主砲ほどはある。
「敵は何だ!」
そう言って周りを見渡すと煙幕が晴れ始めている。
その奧で何か巨大なものがいている。それはこちらに艦首を向け真っ直ぐ突っ込んできている。
艦首には日本海軍特有のの紋が金に輝き、その後ろにある巨大な連裝の主砲がこちらに向いている。艦橋は特有の仏塔のような形をしており、トップには測距儀が座っている。
その後方には全く同じ形の艦がもう一隻追従しており、同じようにこちらに主砲を向けている。
「あれは長門、陸奧!」
その聲は恐怖に震えていた。アリゾナが持つ主砲は四五口徑三五.六センチ砲だ。これに対し、長門型が持つ主砲は四五口徑四一センチ砲。明らかにアリゾナは分が悪い。
そんな日本海軍が持つ強力な戦艦二隻がアリゾナに砲火をえんと挑戦を挑んできたのだ。
「よかろう! その勝負、けて立とう!」
恐怖は既に無い。あるのは敵に打ち勝とうとする必勝の信念のみ。
こうしてアリゾナと長門、陸奧と言う名の海の三人の王が今、月の中で死の舞を繰り広げようとしていた。
「アリゾナ、敵艦隊と戦を始めた模様!」
艦橋に配備された通信兵から急連絡がった。その瞬間、艦橋職員がどよめく。日本海軍が來ることは分かっていたが、このような夜分に來るのは予想外であった。
日本海軍が予選の訓練をしているのは周知ではあるが、夜戦では魚雷や撃が極めて命中しづらくあまり良い時間帯ではない。ゆえに日本海軍が攻撃してくるのは日中と予測していたのだ。
しかし、日本海軍はその予想を裏切り、夜襲を仕掛けてきた。しかも、いきなり長門と陸奧という切り札にも近い戦艦を投じてきており、その用意がうかがえる。
「ふむ。長門型戦艦二隻とも為るとアリゾナ単艦では太刀打ちできまい。呼び戻せんか?」
キンメルがニミッツに尋ねる。
「戦闘が始まったばかりのこのタイミングで呼び戻しますと、アリゾナで混が起きる可能があります。もし呼び戻せたにしても、アリゾナは最高速力が二一ノット。それに対し長門型は二五ノット出せるとの報があり、逃げ切るのは困難です」
ニミッツの返答を聞き、すぐにキンメルは決斷をした。
「分かった。ならばこちらから増援を送ろう。メリーランドとウェストバージニア、それから重巡、軽巡、駆逐艦を護衛につけて至急送ってくれ」
「はっ!」
ニミッツら幕僚が直ちに救援の艦艇の選抜を行い、各艦に伝える。
この時、艦橋で話を聞いていたペンシルバニアは何とも歯がゆい思いで見ていた。
(自分が被弾していなければ、すぐにでも応援に行きたいのに……)
自分の妹がたった一人でビッグセブンの二隻と戦っていると思うとすぐにでも応援に駆けつけたかった。
しかし、自分が駆けつけたところで不利なのは変わらない上、魚雷で損傷しているために到著までに時間が掛かり、艦隊機もろくにこなせないであろう。そのような艦が救援に向かったところでお荷にしか為らない。
大事なときに限ってけない、その不幸な己を呪った。しかし、いくら願えどペンシルバニアに戦闘の機會はないのは明白であった。
そう、今の段階では。
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