《の黒鉄》第30話 輸送船団の初會敵
「Starboard 10!」
「Starboard 10,sir!」
タンカーの永洋丸の船長は指示を出した。
今、永洋丸は他の輸送船など共にフィリピンと臺灣の中央付近にあるルソン海峽をを通過している。これらの船団を護衛しているのは第一護衛艦隊だ。この船団はタンカー二〇、貨船三〇からなり英領シンガポール港の積み荷をけ取ることが目的だ。
第一護衛艦隊は軽空母二、駆逐艦五、駆潛艇五、海防艦一〇からなる水上部隊の他、途中に點在する基地から護衛の航空機が上空の護衛を行う。
ここにある駆逐艦は一等駆逐艦ではなく、船団護衛専用に建造された護衛駆逐艦で、一型駆逐艦と言われている。
これらは主に対潛裝備が充実しており、艦首と艦尾から曳航するタイプのソナーを二基。雷投六臺(艦首一臺、艦尾五臺)投下軌條三條(艦尾)で雷は一〇〇個積んである。これらはその時代の最新鋭のモノで、現在は九三式水中探針機(聴音機)、九四式雷投を積んでいる。なお、この駆逐艦は量産や整備を高めるために一隻當たりが一〇〇〇トンとかなり小型で、速力も二〇ノットと抑えられてある。
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この型の駆逐艦は四〇隻建造されており、艦名は一から四〇と通し番號がつけられていた。
日米の関係悪化に伴い、船団護衛用の艦艇の必要を考えていた日本海軍は、第一次大戦以來続けられていた対潛への研究をここに集結させ、特別に予算を組んだのだ。
この結果、「マル四計畫」での航空母艦の予算を削り、この計畫を変更することとなった。
実はこれと準同型艦で一〇〇型駆逐艦がいるがこれは後々語っていきたいと思う。
海防艦は占守型海防艦である。
対潛裝備と防空裝備のどちらも搭載した海防艦。元々はソ連の北洋警備艦艇として建造された。その能力はバランスが良く、量産にも優れている。速力は二〇ノットと輸送船に會わせてある。日本のシーレーンの防衛を擔う重要な艦の一種である。計畫では六〇隻が建造される予定だ。
そして駆潛艇は第四號型駆潛艇だ。
これは多なりとも走波を失ったが量産を維持することを目標に建造された駆潛艇で、レーダーやソナーを専門に積んであり、武裝はほぼない。
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そこで余ったスペースに護衛艦隊人員用の娯楽設備を設けてあり、別名が「探りの客船」となっている。
現在は九三式水中探針機(聴音機)を計四基積んであり、艦尾、艦首、艦腹の両舷に積んである。
計三〇隻が建造されている。
護衛の空母は大鷹型航空母艦である。
これらはいずれも客船を改造した軽空母であり搭載數や速力の問題から戦力になりづらいと判斷され、海上護衛用の空母として生まれ変わった。
主に載せられているのは零式艦上撃機である。これは六〇㎏対潛雷を三個搭載可能で、急降下が可能なようにダイブブレーキが付いている。これは空から敵潛発見時に無線で各艦に連絡。すぐに急降下を開始し、敵潛に神的なダメージを與えることが目的で、牽制である。
これらは偵察機としても使用が可能で、航続距離は極めて長く、防弾能も日本機の中ではかなり優れている。これは日本海軍の本的な理念として潛水艦へ対策は萬全を期する必要があるために優秀な対潛搭乗員を失わないためのものである。
この機を二七機搭載可能である。
同型艦に大鷹、雲鷹、沖鷹の三隻がいる。
なお、これらの艦艇全てには十三號電探が積まれている。
こうした重厚な護衛艦隊から護衛をけているため、船団にいる船の船長達は大船に乗ったつもりで航行をしていた。
「それにしてもキャプテン、海軍さんの護衛は流石ですね! 凄い數の護衛ですよ!」
舵員の若者が見張りを行う船長に言った。
「そうだな。これだけの護衛が付いているなら、敵潛もそう簡単には攻撃はできまい」
船長もいかにもと言った合で返答はしたが、彼の中には一抹の不安があった。
(とはいえ、大西洋においてはドイツの潛水艦に対してイギリス軍はかなり苦戦を強いられていると聞く。果して潛水艦をそれほど軽視して良いものだろうか……)
そう思った直後のことだ。
先頭を走る駆逐艦から急を告げる赤の信號弾が挙がった。これは左舷に敵潛來襲の知らせである。
は敵潛の位置を知らせていた。
「Hard a starboard!」
船長はすぐに面舵一杯を知らせる指示を舵員に出す。
「Hard a starboard,sir!」
舵員もすぐに了承の旨を言っ舵を右へ右へと回していく。
「見張り員、雷跡見え次第、知らせ!」
船長は左舷側にいた見張り員に怒鳴った。
「手空き要員は左舷の見張りを行い、雷跡の発見に努めよ!」
船員全に指示を出し、後は舵がきくのを待つ。
この時、護衛艦隊の艦艇は現場へ急行。敵潛を祭りに上げていた。
「キャプテン、撃沈したようですよ!」
そう言って見張り員が指さす先には高い水柱が立っており、黒い塊が散見できる。
しかし、船長はそれが全く違うモノだと判斷した。それは余りにもその水柱が前にあるのだ。報告では左舷と言っているのに水柱は十一時方向。これでは余りにもおかしい。
「違う! あれは別の潛水艦が我が方の輸送船を撃沈したんだ!」
その聲に船橋いた人員は心臓をわしづかみにされた気分になった。
「敵は一、何隻いるんだ……」
誰となくそう呟く。
その場に重い沈黙が漂っていた。
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