《Umbrella》あさきゆめみし
夢を見た。
それは、3年前の大雨の日。
私は、傘も持たずに立ち盡くしていた。
雨の滴が制服を濡らす。
もう、息もできない。
苦しくて苦しくてーーーーー
3年前の大雨の日、
それは私が初めて泣いた日。
崩れおちて、うずくまって、
雨でぐしゃぐしゃになりながら、泣いた。
街行く人々はその非日常な出來事に一瞥を
くれて、また前を向く。
誰一人だって足を止めはしなかった。
希も絶も何にも無い。
流れおちるのが、雨か涙かも分からずに
私は、ただただ。
私は、私はーーーーー
不意に、雨音が遠ざかった。
なぜか、コーヒーの香りが鼻をかすめた。
私は、顔を上げた。
「君、大丈夫?」
背の高いその人は、真っ直ぐな目で私を見た。
あざやかなブルーの傘をさしだして。
「夢...」
朝のが、眩しいくらいに私を照らす。
久しぶりに夢を見た。
「大丈夫、大丈夫」
私はつぶやく。
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