《Umbrella》ドロップ 【1】

はじまりは些細なことだ。

憧れや羨というのは嫉妬と紙一重で、

それが、ふとした瞬間に悪意に変わる。

くだらなくて、悲しいことだけど、

人間とはそういうものだ。

私はそれだった。

原因は、関係だった。

中1の頃、ひそかに人気だった野球部の先輩、

彼に告白されたことが発端だ。

1度も喋ったことはなかったし、特に興味も

無くて、斷った。

それが、クラスの子グループを怒らせた。

つまらない日常に刺激をもとめるように、

いじめは、始まった。

終わりのないいじめに毎日泣いてばかりいた

私に父は言った。

「これから、辛くて苦しくてどうしようもない

 時が來る。そんなとき、噓だっていいから」

父は私のことを信じるような真っ直ぐな目で

言った。

「とりあえず笑っとけ」

父は私に魔法をかけた。

それは、一生消えない、強力な魔法だった。

それからいじめがエスカレートして、

制服の下に傷ができた。

教科書がプールの中に消えた。

長い髪を雑にハサミで切られた。

怖くて、怖くて、怖くて、

それなのに泣けないのは、魔法の効果だった。

どれだけ傷つけられても笑わなきゃ。

笑っていれば

きっといいことがあるから。

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