《Umbrella》あがったりさがったり

朝日よりもはやく目が覚めた。

なんてすがすがしい。

にすごい勢いでがまわっていく。

どきどきしてる。

弾む。弾む。

うわーーー!

なんてびだしたい衝にかられる。

今日はーーーーー。

予定時間よりも2時間も早く家を出た。

なに調子のってんだ。

だけど跳ねる鼓が止まらない。

思ってもみないくらい早くに店に著いて、

私はゆっくり扉を押した。

「わあぁーーーー雫ちゃん!」

驚いた顔のエマさんが口をとおせんぼした。

「早いね!!」

エマさんは私を外に押しやるようにしてから

に向かって祇園さんを呼んだ。

いつもの何倍も不機嫌な祇園さんは、

きっと朝が弱いのだろう。

目を細めながら出てきた彼を見て、思わず

「うわあっ」と聲が出てしまった。

「何」

し怖いくらいの剣幕で、祇園さんが尋ねる。

私は恐る恐る、一杯の気を使って言う。

「あの、個的な髪型ですね…」

ぷっ、とエマさんが吹き出した。

「祇園、あんたすごい寢癖!」

エマさんはひとしきり1人で笑って、ようやく

「雫ちゃん、ちょっと祇園と買い出し行って

 きてくれる?」

とメモ書きを渡した。

「それくらい俺1人で行くけど」

祇園さんは明らかに不服そうだ。

最終的に私と祇園さんは、エマさんに半ば

追い出される形で店を出た。

歩くのが早い祇園さんの後ろを一杯

ついて行く。

「くそ、エマの野郎」

祇園さんは、パーカーのポケットに                  手をれたまま、すたすたと歩いて行く。

今日祇園さんは、いつもよりずっと機嫌が悪い。

ちょっと怖いなと思いつつ、ただついて行く。

「西野さん、何か面白いこと言ってよ」

沈黙を破って、突然の無茶振りだ。

え、え、とうろたえる私に

「バーカ、冗談だよ」

とふてくされるように吐き捨てた。

前の難しい祇園さんに戻ったみたいだ。

ひどく、話しにくい。

さっきまで大きく膨らんでいた期待や幸せが

急速にしぼんで行くのが分かった。

あんなにわくわくしてたのに。

祇園さんのすることはいつも予想ができない。

彼の一言ひとことにどきっとして、何を言うのか怖くなる。

摑みどころのない不思議さはさくらんぼさん

によく似ているのに、2人は全然違う。

祇園さんの明なバリアに遠ざけられる。

ただ下を向いて歩いた。

祇園さんとの差は開くばかりだ。

うつむいて、うつむいて、ろくに前を見ずに

歩いていた私は人にぶつかってしまった。

勢いよく肩がぶつかって、思わずよろける。

「あ、ごめんなさいっ...」

見上げたさきには、

「青くん...」

間違いなく、青くん

「青柳あおやぎ 直なお」がそこにいた。

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