《After-eve》ferment 第1章
青空に白い雲がゆっくり流れる夏の景。緑の山々に挾まれた真っ直ぐな高速道路を走っていた。いくつものトンネルを抜け、次第に長閑な風景から町並みが続く風景に変わっていった。
車で4時間、遠い道のり。
改めて自分が今、遠い地に住んでいるのだと実した。
つい何ヶ月前迄は、ここで暮らしていたのにその時の事が遠い昔にじられハンドルを握る手が、し張していた。
今、住んでいる所とは比較にならないくらいの大きな街。
久々に高い建やビル、大きな商業施設を見て圧倒される。ここで育って長年住んでいた自分なのに…。
地方勤務が決まってから初めて実家に戻ってきた。とはいえ明日には戻る。実家に帰って來たのは法事の為。とても可がってるくれた祖母だったので帰って來る事に煩わしさは、全くなかった。
し街を歩いてみた。んなお店、沢山の飲食店。何でもある所だが今の自分には、あの小さな街での生活に優るような高揚は無かった。すっかり田舎の暮らしに馴染んだのか、あの街にいる人たちに心を奪われてしまったのか。
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奪われたと言うより自分が憧れているだけ。楽しい時間をずっと続けたいだけだった。
無事 法事も済み、久々に家族と団欒。親は歳をとったせいか、自分の今の環境、生活に興味があり自然に囲まれた生活を羨ましがっていた。
お土産を買い4時間かけ、あの小さな街へ戻った。
帰って來た頃には、もう夜になっていた。
流石に長距離の運転に疲れ、早々と休む事にした。
いつもの靜かで長閑な朝。
遮る高い建が無いので朝日を眩しい位、浴びこの小さな街に戻って來た事をじる。いつもの様に會社に行き、あちこち飛び回り、行く先々で気軽に聲をかけて貰いこの地の人達の優しさをじる。
「こんちわ〜お疲れサマです〜調子はどうですか〜?」
暑い中スーツをガッチリ著た、信金さん。
うわっ!戻って來て早々、信金さんに會うとは…。
「あっ、どうもですー。」
無難に返しとく。
信金さんも、いきなりやっちゃってから割と靜かになったような?
うーむ。
戻って來てもっと會いたい人がいるのに、
何で信金さんかなー?ついてない?
苦手な信金さんを厄病神扱い。
自分もんな人達に接してきたせいか、苦手な人も上手く対応出來る様になっていた。
休み開けの仕事で、々あったけれど何とか終わらし出掛ける。
まずはアキさんの店[After-eve]へ。
今日は休みの日だからお店のり口じゃ無く自宅の方のり口へ。
あれっ!そういえばアキさんの自宅った事、無い!いつも店の方でアキさんに會ってる。お店の二階が自宅らしいが…れてくれるかな?とりあえず電話してみるか。
玄関前で電話しようとしたらブ〜ンと車が迫って來た。赤い車…あうっ!カオリさんだ!
実家に帰る前カオリさんに
「おみや、よろしく〜。お壽司おごってあげたんだから〜」
と、言われてた。
1番初めにカオリさんの所に行けば良かったかな?
何か嫌味を言われそうで、覚悟した。
「ん?今から行くとこ?帰るとこ〜?」
カオリさんが訊いてきた。
意外だ。
「行くとこっす。でもアキさんの自宅初めてだから電話してからにしようかと…」
「ぷっ。家の玄関前で訊くなよ〜今更。ピンポン押せばイイじゃん。ホレ押して!」
気楽なカオリさん。
「だから…初めてだから…気を遣って…大人ですから私は…カオリさん、アッ!」
人の指を強引に摑みピンポンを押す!
カオリさんが自分の指で押せばイイものを…
やっぱりお土産を最初に持って行かなかった怨みかー?
アキさんが出て來て
「あらあら、お二人揃って。」
「マコちゃんがアキさんの家の前でストーキングしてたよ!」
カオリさん!あなたが言うなよ!あなた自分で『私ストーカーだよね』って前、言ってたよね!やっぱり初めにお土産渡さなかったの怨んでる?
「マコちゃん、どうだった?里帰りは。」
アキさ〜ん、やっぱり大人で優しいっす。
「お土産⁈お土産持って來たんじゃ無いの?」
カオリさん…今、自分はしてるんだから邪魔しないで下さい。やっぱりお土産、気にしてたかー。
「とりあえずさーどうぞ。」
アキさんが自宅に招いてくれた。
「お邪魔しまーす。初めてった。」
ちょっと張する自分。
階段を上がりお部屋に。
うぉー。凄くキレイにしている。家の中のすべてカッコいい!というか高そうなばかり。ソファー、ダイニングテーブル、チェスト。
お店のじと似たコンセプトでシックでアンティークっぽく…アキさんだから似合うんだろうなーと羨ましかった。
カオリさんは慣れたじで、革の深めのソファーに座り両手を出しお土産の催促する仕草。
その仕草を見て見ぬふりしながらアキさんの家を見回す。
「こっちに來てから初めて帰ったんでしょ?     どう?   久々にあっちに行ったら、もう田舎に戻るの嫌になったんじゃ?」
アキさんがそう言って、冷たいお茶を出してくれた。
「それは無いっす。むしろ早く帰りたい位。なんか違和みたいな、もうこの街の人間になったんすかね?(笑)」
自分がそう言った後、殺気に近い冷たい[氣]をじた…
「マコちゃ〜ん⁈ この街の人があなたを認めてもね〜私は、ねぇ〜」
カオリさんが…ソッポを向きながら…
やべっ!
「これつまらないものですが…良かったらどうぞ。カオリ様。」
「え〜つまらないもの〜?つまらないのか〜。」完全にヘソを曲げたカオリさん。
アキさんが、そっとカオリさんの背後に立ち、こめかみを拳でグリグリ。両手でグリグリ。
「俺は、そんな格悪い娘は嫌いだなぁ」
と言い、また両手でグリグリ。
「うう〜ごめんなさい、ゴメンナサイ!」
「俺じゃなく、マコちゃんにでしょ?」
「あうっ ごめんなさい。マコ様許して〜」
やっぱりカオリさんはアキさんには、まるで敵わない。
カオリさんに『マコ様』と言わせたことに大満足し、改めてアキさんとカオリさんにお土産を渡した。
(カオリさんの分も一応持ち歩いて良かった)と心の底から、そう思った。
勿論その後3人で、ユウさんの店[Pig pen]へ行き、いつものじで楽しい時間を過ごした。
ただ…アキさんの家から出る時、トイレを借りようとしたら寢室っぽい部屋のドアがし開いていた。意味も無く興味本位でしだけ覗いた。ドアがししか開いてなかったので部屋の一部しか見えなかった。
その、一部分…自分が見てはいけないが…あった気がする。
小さな…
仏壇の様なもの。
お花との寫真が…置かれていた。
…ような気がした。
(なんか…ごめんなさい。アキさん。)
第1章     終
          
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