《After-eve》bench time 第1章
盆が過ぎ、朝晩の空気が冷たくじてきたこの頃。しかし殘暑のせいか晝間はまだ暑い日が続いた。これから秋にかけ、また仕事が忙しくなる。ただこの小さな街は、そんな晝の暑さも仕事の忙しさも関係ない様に靜かで、落ち著いていて何時もの風景だった。
そんな中、ただ漠然と日々を過ごすだけ。
気分が高揚する事も無く、ただ時間が過ぎるだけ。それは自分だけでは無く…。
あの日。
アキさんが倒れた日。
もうあの日から4日程経つ。
何事も無かった様にアキさんは、今日から店を開けた。ユウさんも割と普通に過ごしている。
自分とカオリさんだけが、あの夜から時間が止まった覚。
あの夜、アキさんとユウさんが居ない店[After-eve]の中で自分とカオリさんは、ただただ待っていた。
ユウさんからの連絡を。
カオリさんは俯きその場で、しゃがみ込んでいた。
自分も訳が分からない狀態で、呆然と立ち盡くすだけ。
お互い會話も無かった。
パンの香りもアキさんの好きなコーヒーの香りも無い店は、革の匂いだけが漂っていた。
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2時間後位にユウさんから連絡が來た。
正直、そんなに時間が過ぎていたのかと…
カオリさんと居た店での、時間の覚がまるで無かった。
車で1時間程の街の病院へ。自分は場所が分からないし、カオリさんも行くと譲らなかったので一緒に行く事に。
車の中でも何も語らず病院へ急いだ。
小高い丘の上にある大きめの病院。夜中近い時間なので、當然の様に暗い。救急搬送用の口だけが明るくなってた。
夜間用の口からる。
すぐユウさんが居た。
「悪いね、遅い時間に此処まで。」
「アキさんは?」カオリさんが、いの一番に訊いた。
「大丈夫。もう遅いから會えないけど大丈夫だから帰るぞ。」
ユウさんがカオリさんの腕を引っ張りながら…。
それでもカオリさんは何とか奧に行こうとし、自分と二人掛かりでカオリさんを止め病院を出た。
真っ暗な街燈も疎らな國道を進む。
その景と同じ様に車も暗く沈んだ雰囲気だった。
しばらくして、小さな聲で後ろの席に座っていたカオリさんが言った。
「ユウさん何か知ってるの?」
ユウさんは黙って外を見ていたが、重い口を開いた。
「別に…命に関わることでは無いのは確かだから…そんなに心配する事じゃないよ」
「だって…あんなアキさん…。どう見ても何かあるでしょ!心配するに決まってるでしょ!」
気持ちが抑えられなくなったカオリさん。
また、沈黙が続いた。
「前にもあったんですか?…ユウさん何か、落ち著いていたじがしたんで…。」
前を見ながら、小さな聲でユウさんに訊いてみた。
「はぁ〜。さすがに駄目か。バッチリ見ちゃったもんねー、二人共。
…アキがね、コッチに戻って來て直ぐにね、一度あった。そん時は俺もビビったけど、まだアキの意識があったから何をすればいいかアキが言ってくれたから良かったけど」
「一応ね、それ以來アキに何かあったらあの病院に連れて行く事を言われていてね。
ただ、その後は大丈夫だったし元気になったから俺も安心してたんだけど。」
ユウさんが結構話してくれた。
「何の病気なの?」カオリさんが訊いた。
「うーん詳しい事は分からん。ただ病気っていうのかな?いわゆる自律神経の方?的よりかは神的な?だから貧みたいじかな、違うか。分からんけど呼吸を整えてあげて安靜にすれば割と直ぐに落ち著くらしいぞ、アキに言わせれば。だから大丈夫なの!わかった?カオリ!」
カオリさんは、それでもツラそうな顔で涙を堪えたじだった。
その後は、何も言えず、何も聞けず靜かに夜の道を走った。
次の日
カオリさんは朝イチで病院へ行ったらしい。自分も気になったがあえてそっとしておく事にした。カオリさんが行った事だし、任せようと思った。
カオリさんは帰って來てからも靜かだった。アキさんの様子が知りたかったが、とても聞けるじではなかった。ユウさんも普通にしてたので前日に言っていた通り、大丈夫なんだと思い込むようにした。
その次の日にはアキさんからメールが來た。
(ゴメンね。心配かけちゃって。驚かしちゃったね。でも大した事から気にしないでね。)
大した容の返事も、する事が出來なかった。
その次の日には店を開けたので、本當に大丈夫かな?ユウさんの言う通りそんなに心配する事では無いのかな?と、複雑な思いだった。
仕事も忙しく中々、アキさんの所に行けなかった。行けない事もないのだが、面と向かってアキさんに會ったら何て言ったらいいのか分からないと言うのが本音だった。
靜かな日々。晝間の暑さが噓の様な夜の冷たさ。秋に季節が変わり始めている事を実する。ただ自分自は相変わらず時が止まっている様。周りだけがゆっくりと季節を進めていた。
何日かした頃。夜に、アキさんが訪ねてきた。「迷掛けたお禮」と言って小袋を渡された。ちょっと照れくさそうなアキさんは他に何も言わず帰ってしまった。
小袋の中にはパンの様なと包み紙に包まれた小さな何かだった。
包み紙を開けると、革で作られたキーホルダーだった。フクロウが彫られたアキさん手製のレザークラフト。裏には、自分の名前 [makoto] と刻印されてた。
パンの様なは[プレッツェル]だった。
アキさん大丈夫なんだ、と改めて思った。
革のキーホルダーを眺めながら早速、プレッツェルを一口。
薄い表面がパリッとして、中がふわっと。
塩味が効いた味しいパン。
はぁ〜アキさんだ。アキさんの味しいパンだ。
そのプレッツェルを食べたと同時に、止まっていた時間がきだした気がした。
ホッとした。思わずカオリさんにメールで教えた。
「コラッ!マコ!アンタの所にアキさんが行ってたら、とっくにコッチにも來てるの!當ったり前でしょ!        …でも ……
良かった…ね」
メールしたのに電話で返して來たカオリさん。
カオリさんも嬉しいんだな。良かった。
夏の季節が終わりを告げる様に、満月の月明かりが、靜かな街を照らしていた。
第1章      終
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