《高欄に佇む、千載を距てた染で》宿縁
 、染めて     〜最終話〜
染橋の事を調べに行き、僅か數行の文獻を見つけしだけ歴史を知る事が出來た。僅か數行の、それも事実かどうかもはっきりしない昔の言い伝え。
ただそれ以上は、知るが無かった。
自分とには、それ以上の細かな事は必要無く、寧ろその言い伝えと自分達がどう関係しているのかの方が気になっていた。
染橋のある地域とは、縁も所縁もない…… はず。
しかし夢に出て來た、お互いに似ていた男。皐月橋から染橋に名前が変わるきっかけとなったとされる、その男の実らなかった。
その事も含めて、気になっていた。
お互いに……
勿論、過去の事、夢の事も気になっていたがあの言い伝えを知ってから…… しの事も気になってしまった。
ただでさえ不思議な験を共にし、他のとは違う存在だったのにあの共に見た夢と皐月橋で報われなかった男の事で、を意識をする様になっていた。
Advertisement
も自分の過去、先祖の事を含めて 気になったのか自分で調べてみると言い、資料館で別れた後はまだ會っていない。
日に日にを意識するようになっていた自分。
正直、過去の事など関係無い程、普通ににをしていた。
そんなある日、実家で祖父の法要があった。二十七回忌。自分がまだ子供の時亡くなった祖父。祖母は早くに亡くなっていたので昔を知る人はいない。あまり親戚付き合いもしていなかった祖父。
元々祖父は何処にいたのかも父親さえ、はっきり知らされていなかったらしい。
それなのに先祖の事など、分かるはず無かった。
無事、法要も終わり両親が何気なく仏壇の整理を始めた。
仏壇は、祖父が大事にしていた。
普通の仏壇とは違って、白木のままで作られたとても簡素なだった。祖父が大事にしていた為、新しく買い替える訳でも無く。
その仏壇の下にある引き出しを開け、両親が片付けを始めた。古い貨や古い寫真がっていた。その下にお札の様ながあった。そこには見覚えのある神社の名前がったお札とお守りがあった。
確か…… その神社の名前って……
お札とお守りは祖父ので、父親が昔の記憶を何とか思いだし……
祖父が子供の頃から大事にしているお守りだと……
その神社には、何か所縁があるのかと父親に訊いたが父親は、全く知らないと。
父親曰く、祖父は貧しい家の出で兄弟も多かった為、子供の頃 知り合いの家に預けられたそうだ。
そのまま両親に會う事も無く。
そのお守りが唯一の親の形見の様なだったんだろうと、父親も想像をえ語った。
時代や理由は、詳しく分からないが……
…… 繋がった。
なくとも祖父が子供の頃、染橋の近くの神社に関係していた。
近くに住んでいたのか、どうかは斷言出來ないが。
慌てて実家を出て、あのに連絡を取った。
「あ、あの。もしかしたら自分の先祖…… 
あの場所に関係あるかも…… しれない。
はっきりした事は、分からなかったけど」
「……  あの…… 會えませんか?  私も…… 」
「あ、はい。大丈夫です。何処で? 」
「出來れば…… 染橋で。駄目ですか? 」
「……染橋。わかりました。今から出ます」
んな事が頭の中を駆け巡っていたが、は冷靜に染橋に向かって行った。
春が近づいて來たとは言え、日が暮れるのが早かった。みるみる日が暮れ薄っすら夕焼けが殘る時、橋に著いた。
既に、は來ていた。
は、橋には行かず橋に通じる道で立ち止まっていた。
[この先、立ちり止]
の目の前にそう書かれたバリケードがあった。
哀しげな目で自分を見る。
バリケードの橫には
[老朽化の為、橋の撤去作業をする為 
     立ちり止です。]
そう書かれた看板が……
絶句してしまう自分。
でも何故か橋に行きたくなり夕闇が迫る中、の手を取りバリケードを乗り越えた。
橋の真ん中に行き、改めて自分の先祖がここに関係してたかも知れないとに伝えた。
は、靜かに一度だけ頷いた。
そして……
「私も々調べてみました。やはり関係がありました。先祖は…… 雅楽の演奏をしていた家系でした。かなり昔の事だけど。
私の曾祖父 が、その家系が嫌だったらしく家を飛び出しこの地とも関係無くなったらしいです」
「だとすると…… あの言い伝えは…… 」
「本當かもしれませんね」
それ以上、と言葉はわすことは無かった。
染橋の欄干に手を付き、
『お疲れ様…… 』
心の中で……
そしての方を向き、染橋の真ん中でを抱きしめた。
夕日が落ち、白い薄っすらとした月が出ている空の下で。
その時からと付き合った。遙か昔、結ばれる事が出來なかった夢に出て來た男の想いもじながら。
そして五月。
二人で染橋へ。
ただもう橋は無かった。跡形も無く。
かつて「皐月橋」と呼ばれた橋が皐月の季節に役目を終え、んな想いと共に消えた。
その想いが今、自分と彼に幸せをもたらしてくれて、を與えてくれた。
、染める…… 染橋で出逢った二人が。
……
一年後の五月。
子供が生まれた…… 子供の名は「皐月」
                            ー完ー
      「高欄に佇む、千載を距てた染で」
                                         本宮    秋
平和の守護者(書籍版タイトル:創世のエブリオット・シード)
時は2010年。 第二次世界大戦末期に現れた『ES能力者』により、“本來”の歴史から大きく道を外れた世界。“本來”の世界から、異なる世界に変わってしまった世界。 人でありながら、人ならざる者とも呼ばれる『ES能力者』は、徐々にその數を増やしつつあった。世界各國で『ES能力者』の発掘、育成、保有が行われ、軍事バランスを大きく変動させていく。 そんな中、『空を飛びたい』と願う以外は普通の、一人の少年がいた。 だが、中學校生活も終わりに差し掛かった頃、國民の義務である『ES適性検査』を受けたことで“普通”の道から外れることとなる。 夢を追いかけ、様々な人々と出會い、時には笑い、時には爭う。 これは、“本來”は普通の世界で普通の人生を歩むはずだった少年――河原崎博孝の、普通ではなくなってしまった世界での道を歩む物語。 ※現実の歴史を辿っていたら、途中で現実とは異なる世界観へと変貌した現代ファンタジーです。ギャグとシリアスを半々ぐらいで描いていければと思います。 ※2015/5/30 訓練校編終了 2015/5/31 正規部隊編開始 2016/11/21 本編完結 ※「創世のエブリオット・シード 平和の守護者」というタイトルで書籍化いたしました。2015年2月28日より1巻が発売中です。 本編完結いたしました。 ご感想やご指摘、レビューや評価をいただきましてありがとうございました。
8 158ラブホから始まるラブストーリー
ラブホテルに、デリヘリで呼んだ女の子に、戀に落ちた。 僕の前に現れた美少女は、天使か悪魔か? そこから、始まったラブストーリー 僕は、彼女に、振り回される。 待ち受けるは、天國か地獄か? 彼女は、本當に借金に悩まされているのか? 僕から、吸い上げたお金は、戻るのか? 僕に対して、本當に愛はあるのか? 彼女の真実は、どこに!?
8 123Astral Beat
ある梅雨明けの頃、家路を急いでいた少年は、巷を騒がせていた殺人鬼に遭遇し、殺されてしまう。 気が付いた時には、異能力が発現し、しかも、美少女になっていた!? 異能力によって日常が砕かれた彼(彼女)は、異能力による數々の事件に巻き込まれていく。偽りの平和と日常の瓦礫の中で何を見るのか。 そんな、現代風シリアス異能バトルコメディ、ここに爆誕。
8 97自殺を繰り返した俺は異世界転生をした〜最強の俺は異世界で無雙する〜
【祝・PV30000突破!】 自殺を繰り返した俺は神に呆れられとうとう異世界へ転生することとなった。 そこでの俺のステータスおかしいほど高い數値へとなっていく。 その後、主人公リューイはとある事情より殺されかけたり、お嬢様達に追いかけ回されたり......。 主人公最強の異世界転生物語。 最近頑張って更新しております...。 どうかよろしくお願いしますm(_ _)m
8 70私は綺麗じゃありません。
身に覚えのない罪で國外追放された元伯爵令嬢アザレアは敵國との境の森で行き倒れになったところを敵國の魔法騎士、別名『魔王様(天使)』に拾われる。 獻身的に看病してくれる彼は婚約者や家族に醜いと評されたアザレアを「綺麗」と言ってくれる。 そんな彼に心を引かれつつ獨り立ちして恩返しをするために彼女は魔法騎士を目指す。 そんな中で各國はアザレアを手に入れるため動き出す。 リメイク作成中。なろうに上げ次第差し替えていきます
8 73しろいへや
ぼく
8 177