《コンビニの重課金者になってコンビニ無雙する》24話 買いのちサバイバル

場合によっては帰りが遅くなると判斷して、宿を出る際、將に旅館の電話番號を教えて貰った。將は最初、『まあ、私の番號ですかぁ』と何やら盛り上がっていた。

そんな將に、『何方でも構いませんが、掛かる番號でお願いします』と言った。すると、『あらぁ、てっきりナンパされたのかと……』と、ふざけているのか、そうじゃないのかよく分からない反応をされた。

途中、ヒトミの視線が怖かったので、報サイトから番號を拾おうかとも思ったが、その絶妙なタイミングで『私の名刺ですので、よろしければ』と差し出して來た。

……最初からこうしてしい。

――こんなじで、宿を出る前にちょっとした出來事が有った。

これが理由な事に間違いは無いのだが、何故かヒトミの機嫌が悪い。

「今日はし遠出になるかもな」

「……そうですね」

先程から、話しかけても座なりな返事しかしない。

「にゃん太は寢てるのか?」

「……そうですね」

にゃん太、俺の肘引っ張ってるけどな。

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「昨日通り過ぎたショッピングモール、最初に寄るけど良いかな?」

「……はい」

どうやら、一応話は聞いているらしいが、出発する時目的地を力したスマフォの案はしてくれないらしい。一応、経路は覚えているので問題無いのだが……

その後、車を走らせながら向かっていた正巳だったが、ふと車に付いているボタン類が気になった。車屋の店主が々説明してくれた気がするが、走れば良いと思って聞いていた為、いまいち覚えていない。

ハンドルにも幾つかのボタンが付いているが、気になるのは冷暖房機の下についている"カバー付きのボタン"だ。何となく気になって、カバーを開けてみた。

カバーは『"カチッ"』っと音を立てて開いた。

カバーの中、そこに有ったのはボタンでは無かった。

「……センサーか?」

見たじ、指紋認証や靜脈認証等の"生認証"の機械に見える。

何となく気になって、そのセンサーの上に指を置いてみた。

すると――

「"オーナーとしてトウロクしますか?"」

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スピーカーから聲がしたので、驚いて咄嗟に『はいっ!』と返事してしまった。

すると、『"オーナートウロクをカンリョウしました――ハンイにアンナイ中のツウシンデータ有マス。アンナイをカイシしますカ?"』と反応があった。

「……にゃ、正巳さん、これなんですか?」

「いや、俺も知らない……いや、聞いてない筈だ」

と答えながらも、興味が湧いて來た。

「兎も角、これが想像通りの機能だとは限らないからな。それじゃあ――案を開始してくれ」

正巳がそう口にすると、直ぐに『"ジッコウします――ダウンロードカンリョウ。アンナイカイシします"』と返事があった。

その直後、正面のウィンドウに薄っすらと矢印の様な者が現れた。その矢印は、丁度道路の中央に重なるように表示されており、邪魔にじる様な事は無かった。

「……凄いな、これ」

「ですね……」

いつの間にか、ヒトミも普段の調子に戻っていた。

それにしても……この車には、ナビをしてくれる機械――所謂"カーナビ"が付いていなかった。これだけ高能なのに、カーナビの晶が付いていない事を若干不思議に思っていた。が、どうやら正面のガラス前面が晶の役割もしていたらしい。

その後、目的地まで車のナビが機能してくれた。

「"モクテキチにトウチャクしました。他にヨウジハアリマスか?"」

何が出來るのか分からないので、取り合えず終了する事にした。

「いや、大丈夫だ」

「"リョウカイしました――アンナイをシュウリョウします"」

普通に答えて通じるか分からなかったが、どうやら問題無かったらしい。

「凄いですね、この車……」

そう言って心しているヒトミに、『高かっただけあるよな』と言った。

すると、『確か200萬円とかでしたっけ?』と言っていたので『もうしだけ高いけど、まあワンオフであの店主が作った車らしいからな……し変わってたりもするんだろう』と答えておいた。

その後、車を駐車場に停めて店って行った。にゃん太は、専用のカートが有ったのでそちらにれて中にる事が出來た。

――

最初に向かったのは、洋服コーナーだ。

正巳も自分用の服を適當に選んでカートにれていたが、途中でヒトミが來た。

「あの、正巳さん……」

「どうした?」

何やら手に持ってモジモジとしている。

「その、し値段が……」

「ああ、幾らでもだい――いや、幾らだ?」

何も考えずに『幾らでも大丈夫だ』と答えそうになったが、の服は常識の外……時々信じられない位に高額の事があるので、一応確認しておく事にした。

今使える手持ちのお金は、12萬円としだ。

「あの、このズボンなんですけど……」

そう言いながら見せて來た値札には"4,980円"と書いてあった。

「そっちの上著は?」

「これは……」

し厚手の上著は、"7,300円"とある。

……確かに安くは無いが、一著數萬円するようなモノを想像していたので、拍子抜けした気分だ。どうやら今のヒトミにとっては、思わず上目遣いになってしまうような金額らしい。

そんなヒトミに笑いながら、言った。

「ほら、問題無いからそっちに持ってるのもれてくれ」

そう言うと、ヒトミは反対の手に持っていた下著類も、恥ずかしそうにしてれていた。流石に下著の値段は聞けなかったので、見なかった振りをした。

その後、會計にはヒトミも付き合わせた。

「はーい、お洋服ですね。いってーン、にてーン、さんてーン。えっと……はい、これはお嬢さんのね~、にてーン……」

レジのおばちゃんは、モノの服や下著を見て一瞬正巳の顔を見たが、直ぐに隣のヒトミに気が付いて笑顔になった。

「はーい、全部で3萬と2千620円ね!」

「はい、現金でお願いします」

おばちゃんの表を見ながら、もしヒトミがいなかった場合に自分がどんな視線を向けられたのか想像して、一人安堵していた。

會計を終えた正巳は、カートに荷れながらヒトミに聞いた。

「次はどうする?」

「そうですねぇ~どうしましょうか!」

……テンションが上がっている。

やはりは買いが好きらしい。

何にせよ、宿を出発した時の不機嫌な狀態から、立ち直ってくれてよかった。

「それじゃあ、にゃん太のモノを買ってからカフェに行くか」

そう言うと、ヒトミが『そうしましょう!』と答えたので、先にペットショップに寄る事にした。ペットショップには、様々なおもちゃが置いてあった。

試しに、にゃん太が反応するかサンプルを使わせて貰ったのだが、反応するおもちゃは殆どなかった。唯一、"貓の好きなタオル"と云う名前の商品に反応したので、そのタオルだけ買った。

ペットショップで店員さんに、『貓ちゃん可いですね~珍しい貓ちゃんですが、親貓は統付きのネコちゃんですか?』と聞かれたが、誤魔化しても仕方が無いので"保護貓"だと答えると、不思議そうにしていた。

どうやら、普通の子貓に比べても手足が短く、特徴がある種の貓に似ているという事だった。し気にはなったが、にゃん太がどんな種類の貓であっても大切な事に変わりは無いので、お禮だけ言って出て來た。

「さて、それじゃあカフェに行くか!」

「はい、そうしましょう!」

車に戻った一同だったが、ヒトミが『あの、著替えても良いですか?』と言ったので、『後ろならスペースも広いから……』と答えた。店のトイレで著替えれば良かっただろうに、とも思ったが今更なので、目を伏せて著替えが終わるのを待つ事にした。

その後、ゴソゴソと聞こえる音に意識しないようにしながら、にゃん太とタオルで戯れた。

「お待たせしました~」

著替え終えたヒトミを見て、一言『良いじゃないか』と言うと、來る時と同じようにカバーを外して指を置いた。

直後、『"モクテキチの設定されたツウシンはアリマセンデシタ――ドチラにムカイマスカ?"』と音聲案が有ったので、『近くの"お灑落なカフェ"を頼む』と言った。

しかし、『"――コユウメイ"オシャレナカフェ"はミツカリマセンでした"』と回答が有った。流石に、そこまで応用が利かないらしい。

そこで、一先ず普段通りスマフォで検索してから試してみた。

「"ハンイにアンナイ中のツウシンデータ有マス。アンナイをカイシしますカ?"」

今度は大丈夫らしい。

「ああ、頼む」

「"ソレデハアンナイをカイシします"」

フロントに矢印が表示されたのを見て、ヒトミが呟いた。

「便利ですけど、不便ですね……」

ヒトミの言葉に、苦笑しながら頷いた。

「ほんとだな」

――その後、30分程車を走らせた所にお店があった。

一軒家のログハウス風のお店だった。

中にると、ゆったりとした空気と心地よい音楽が流れていた。店員にペットも一緒にって大丈夫かと聞くと一瞬難しい顔をしていたが、にゃん太を見て許可してくれた。

どうやら、近くに住む農家の方が子ヤギを『ペットだから』と言って連れて來た事があったらしい。流石に遠慮願ったたらしいが、それ以來ペットに敏になっていると言う話だった。

そのままそこで晝を食べた正巳達だったが、ヒトミは始終満面の笑みを浮かべて、幸せそうだった。にゃん太には、車に積んでいた貓缶をあげた。

暫くのんびりとしていた為、出る頃にはすっかり日が傾き始めていた。

「それじゃあ、帰るか」

「はい、明日はどうしましょうか!」

そう言ってニコニコ顔のヒトミに『そうだなぁ……』と返すと、言った。

「明日は、ヒトミに地元を案して貰おうか」

すると、ヒトミは『任せて下さい!』と答えていた。

――この時の正巳は、まさか過酷な旅になるとは思っても居なかった。

宿に帰った正巳達はその日も味しい夕食を食べ、早めに寢た。

次の日の朝早くヒトミに起こされた正巳は、何やら気合いのった様子のヒトミに『さあ、出発ですよ! 將さんには、朝ご飯は持っていける形で頼んでいるので大丈夫です!』と言われた。

そのまま車に乗って出発した正巳達は、ヒトミの家の近くの駐車場に車を止め、そのままハイキングに出かけた。しかし、このハイキングは想像していたよりも過酷なモノで、山を散策した後力の盡きた正巳達は、途中で夜を迎える事になった。

ギリギリスマフォの充電が殘っていたので、宿の將に帰りは朝になると伝えておいた。食料は、にゃん太用の貓缶が沢山あったので、それを分けて夕食にした。

……貓缶、思ったよりも味しかった。

どうにか早朝車まで戻った正巳達は、疲れ切った狀態で宿に戻ると、風呂にる余裕などなく畳の上で夢の中に落ちて行った。

夢の中で正巳は、ヒトミが何故運神経があれほど良いのか、視力が良いのかについての講義をしていた。教師として教えていた正巳だったが、そこに座っている生徒が全員、自分自だと気が付いた所で夢から覚めた。

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