《コンビニの重課金者になってコンビニ無雙する》26話 サポーター

――翌朝。

起きると、すっかり筋痛が引いている事に驚いた。

布を外した正巳は、隣に目を向けた。

……昨日はベットに行く事も出來ない痛みだったので、そのまま畳の部屋で寢たのだ。その為、自的にヒトミが隣に寢ていたのだが……何故か浴で寢ていた。

それも、初日と同じで帯が行方不明な狀態で……

目を逸らしながら浴の前を閉じると、布を掛け直しておいた。

その後、昨日使っていたバッグからスマフォを取り出したのだが、充電していなかった為、電源が落ちた狀態になっていた。

「そう言えば切れてたな……」

充電を取り出すと、充電を始めたのだが……

「これは……カードの……」

通知を知らせる畫面には、何度スクロールしても著信の履歴で埋まっていた。

どうやら、昨日から今朝にかけて電話が掛かって來ていたらしい。

「一応折り返すか……」

これだけ電話が來ていたのだ、余程急ぎの事なのだろう。

――そう考えた正巳は、履歴からダイヤルした。すると――

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「"プル――"」

「もしもし!?」

ワンコールする前に出た。

男の聲……この聲は、最初にコンビニの件で連絡した男のものだ。

「あ、もしもし――」

「無事ですか? 手足は付いていますか? 相手側の要求は何でしょうか!?」

口早に畳みかけて來た事に驚いた正巳は、言った。

「……人間違いですか?」

しかし、興した様子の男は続ける。

「もしそこに犯人がいるなら、告ぐ! 我々には応じる備えがある。即時解放するならば"50億円"まで支払おう、それ以上にを掻くと言うならば――死を以って償う事になる!」

この人は何を言っているのだろうか。

「……あの、別に犯人は居ませんし、捕えられても居ません。それに、近くに寢ている子達が居るので靜かにして貰えますか?」

正巳がそう言うと、一瞬『何と! その様に言えと言われへぼぐぁ――』と聲がして、この間電話した時のが出た。

「変わりました"デスク"です。どうやら旅館にお泊りの様ですが、周囲の異変も見られないので……我々の早とちりの様でした。申し訳ございません」

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そう言ったに、『ああ、そうなのか……』と答えつつ、居場所がばれている事に若干驚いた。

々聞きたい事はありますけど、取り敢えず何でそんな間違えをしたんですか?」

そもそも、あの慌てようは普通では無かった。

それこそ、まるで俺が拉致られたかのような……

「まさか……」

「……ええ、恐らく正巳様の考えている通りだと思います。正巳様の資産はちょっとやそっとのモノではございません。その為、そのに危険が及ぶ可能も高いのです」

「それじゃあ、俺が危険な目に會ったと思って? ……なんで?」

「なぜ、我々が対処に當たろうかとしたか、という事でしたら、予め正巳様からその為の費用を頂いているからです」

そう言うと、続けて教えてくれた。

「我々は、今回の寶くじで當選された方を全面的にサポートする仕事を注しております。その費用は、予め正巳様から頂いております」

「……俺の資産から引いているって事か?」

「いえ、そうではなくそうですね……今回の寶くじは元々、1,000憶円の配當金でした。しかし、データから『大金を手にした一般人は、を滅ぼすばかりではなく、犯罪組織の資金源となる』という結果が出ていました。そこで、今回の――史上最高金額の配當金のくじを開催するに當たって、サポーターとなる企業へと予め依頼がされていたのです」

「……それが君たちだったと」

「はい。私達は元々コンシェルジュ――世界の富裕層を相手にサービスを提供して來たプロの集団です。今回の依頼は『費用を前払いで頂きその費用で生涯に渡ってサポートをする』と云うものでした」

なるほど、筋が通る。確かに、急に大金を手にしてを滅ぼす者は數知れず、そのの落とし方で資金源が犯罪組織に流れる事もあるだろう。

反社會勢力の手に渡らない様に、寶くじの運営側が工夫する事も良く分かる。しかし、そうなると気になる事が幾つかある。

「……雇い主は誰になるんだ?」

そう、先程『予め依頼され――』と言ったが、誰が雇い主なのかが重要だ。場合によっては、最終的にに危険が及ぶ可能すらある。そんな風に警戒していたのだが――

「それは、正巳様です。我々は正巳様から既に100億円頂いていますので……正確には、"予め100億円が900億円と別に用途として決まっていて、900億円は配當金として正巳様に、100億円はサポート費用として我々に支払われた"と言うのが適當でしょうか」

……つまり、俺が知らない所で、知らない人間が俺の為に雇っていたと。

でも、その場合――

「もし、俺が依頼しなかったらどうなってたんだ?」

そう、俺が契約をしようと思わなかったら、この人達はどうしたのだろうか……

若干嫌な予がしたが、その言葉を聞いて『やっぱりか』と思った。

「我々は、その契約に従って――犯罪に手を染めないか、生涯にわたって監視する事になっていました。これは、正巳様と契約が行われなかった場合の予備契約ですが……」

どうやら、あの時コンビニをやりたいと思わなければ、ヒトミに出會わなければ、監視生活の始まりだったらしい。

……ん?

「そう言えば、俺が契約をしていなかった期間はどうしていたんだ?」

そう、俺はこの人達と契約をしていなかった期間が何か月か有る。

「……調査していました」

「何を?」

「……正巳様の事全てです」

「全て?」

「はい、起きる時間から朝食、排泄、著る服とそのパターン。友関係と仕事、神狀態といつも通勤で乗る車両と席……――」

その後の話も聞いていたが、開いた口が塞がらなかった。

「……つまり、"全て"か」

辛うじて聞くと、肯定があった。

……どうやら、知らないに監視の中の生活を送っていたらしい。

「それで、契約した後はどうなる?」

「正巳様は契約主オーナーとなるので、擔當の者が付き正巳様の指示に従う事になります」

……それで、コンシェルジュだったのか。

その後、しの間悩んでいた。

最初のまとまらなかった思考も、時間を掛けて整理して行く事でまとまって來た。

……取り敢えずは今、目の前の事だ。

「そこら辺の事は後で話し合いたいが、取り敢えず頼んでいた事――札の件はどうなった? 今の俺にとっては、これが一番重要な事だからな」

正巳が言うと、『はい』と返事があったが、その様子が気になって何となく聞いてみた。

「もしかして、俺が話をする前から、俺――いや、ヒトミの置かれている狀況を知って居たんじゃないのか?」

すると、『それは……』と前置きがあってから、諦めたように言って來た。

「確かに、報として知っていました」

「それじゃあ、あの時の反応は"噓"か……」

別に、嫌みを言ったわけではない。何方かというと、あれほど迫真の――こちらまで心がきそうになる演技が出來るのだ。そのスペックの高さに心したと云うのが近い。

正巳の言葉を聞いたの反応は早かった。

「いいえ! あれは、正巳様が他人の事なのに、あれ程心を割いて居られると知ってしたのです! ……我々は様々なサービスや支援を提供する會社なので、この世界がどれほど汚い世界であるかは十分すぎるほど認識しています。しかし、そんな中正巳様は自分の命とも言える様なお金を割いて、そのを示されました! 最初當社のエースであるファーストが『この男の擔當をする!』と言った時は可笑しくなったと思いました。でも今ならはっきりと……――」

その後、暫く『デスク』と名乗ったの若干宗教的とさえじる様な"演説"を聞いていたが、ヒトミが起きそうな気配をじて言った。

「分かった、分かったから……取り敢えず、今はヒトミの実家を取り戻せたか、だけ教えてくれ」

「……承知しました。結果から申しますと、ヒトミ様の実家は無事落札出來ました」

どうやら、無事に家は取り戻せたみたいだった。

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