《コンビニの重課金者になってコンビニ無雙する》41話 和解の條件
コンビニの基本コンセプトとその設計方向について決めた後、正巳はヒノキに土地についての報を渡していた。一応ヒトミの手前もあって、後ほど詳しい報は送る事にして"本店場所"のみ先に伝えておく事になった。
「場所は、近くにある"公民館"の跡地だ。當時は使ってたんだけど、運営していく費用が無くて閉館。今では、もうし小さい場所を公民館として使ってるんだ……そんな場所だよ」
話していて若干寂しくなって來たが、取り敢えずの候補地は伝えておいた。後々『他の場所で……』となったら、その時はその時考えれば良いだろう。
正巳の言葉を聞いたヒノキが言った。
「途中に通った建でそれらしいモノを見ました。あの建は隨分と大きな建でしたが、何処まで所有権を持っていますか?」
どうやら、"全て"が対象だとは思わなかったらしい。
……まあ、普通そうだろう。
何となく、自分が"お金持ち"になったんだなぁと実しながら言った。
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「一応、駐車場含め全ての所有権を買ったから、あそこ等辺一帯・・は好きに使ってくれて構わないよ。詳しくは書類をスキャンして送るから、確認してしい」
正巳の言葉に『は……あ、はい! 了解です。えっと、それじゃあ取り扱う商品の"品目數"が決まったらご連絡ください。私は帰りに"公民館"を確認して帰りますので!』と言って立ち上がった。
その後、直ぐに出て行ってしまったヒノキを見送りながら(変な事を言ったかな)と心配になった正巳だったが、そんな正巳の様子を見ていたファスが言った。
「アレは、やりがいのありそうな仕事に喜んでいるだけですので、ご心配ありません。それと、土地の資料の管理をお任せいただれば、私の方で連絡の方もしておきますが……」
ファスが『如何致しましょうか?』と聞いて來たので、ファスに管理を任せる事にした。どうやら、ヒノキがやけに急いで出て行ったのも、単に土地を確認したかったから、だったみたいだ。
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し待っている様に言って、土地の権利書関連の書類を持って來るとファスに渡した。
「それじゃあ頼むな」
「はい。こちらはすべて把握の上で厳重に"保管"致します」
そう言って、何処から取り出したのか、片面が厚手になっているファイルを取り出すと、書類を仕舞った。そして、改めて正巳の方へと向くと話し始めた。
「ヒトミ様の住宅は、どうやらヒトミ様が上京された直後に売卻手続きがされた様です。その機は『未回収分費用の補填の為』と言う事でしたが、実際は國への用地売卻によって多額の利益を得るのが目的だった様です」
「なるほど、確実に自分がヒトミの土地を手にれる為に、か……。そう言えば、協力していたであろう浩平と言う男はどうなったんだ?」
"浩平"この男は、恐らく不産屋の指示をけ、ヒトミの家を買う協力者だった筈だ。本人も多の利益の分配をける約束だったのだろうが、何となくあの"浩平"という男はそれ以外の目的が強そうだった。
ヒトミの家で、男が下著を頭からかぶっていた事を思い出しながら聞いた。すると、ファスが苦笑しながら言った。
「その節、お気持ちお察しいたします。浩平と言う男は、執行猶予中だった様で直ぐに実刑になる事が決まりました。不産屋の男も裁判に掛けられる事になりますが、この男は々と余罪が多い様なので、判決が出るのはし先になりそうです」
「そうか、それは良かったと言えばよいのか……」
ファスに答えながらヒトミの表を伺うと、ほっとした顔をしていた。
「……続きになりますが、関連して複數名の逮捕者が出る事になりそうです」
言葉を止めたファスに確認する。
「ああ、俺達を襲って來た男達の事か?」
不産屋が俺とヒトミに"売卻契約"を迫って來た時、一緒にガタイの良い男達複數名が居た。普通に考えれば、あの男達も軽い重いは有れど罪に定められるはずだ。
そう思って聞き返したのだが――
「いえ、男達に関しては正巳様次第という狀況です」
……どういう事か分からないが、恐らく何らかの理由があっての事だろう。説明をしてくれるらしかったので、取り敢えずは黙っている事にした。
「今回逮捕される事となったのは、部報をらした公的機関の職員二人です。他に、現在審問中の者、部調査中の者が居りますので、そちらも結果が出次第ご報告いたします」
「なるほど、部報……ヒトミの実家周りの報か」
確かに、部から報を流す者が居なければ今回の"區畫整理計畫"なる報を、不産屋が得る事は出來なかっただろう。
恐らく、何らかの賄賂を渡して得た報だろうが、余り心地よいモノではない。
若干糞悪くなりながら、聞いていなかった事を促した。
「それで、俺達を襲撃した男達はどうなるんだ?」
先程『男達の処遇は正巳次第』と言っていたが、それがどういう事なのか聞いた。
……ファスの表を見ながら言った正巳だったが、そんな正巳の言葉を聞いたファスが『失禮します』と言って、正巳の耳元に口を近づけて言った。
「ヒトミ様の耳にれる前に、正巳様にご確認をと思いまして」
そう言ったファスに小さく『分かった』と頷くと、ファスが続けた。
「実は、今回の件で問題となるのは不産屋の男でして、他の者達は只の數合わせでしかないのです。そこで、相手方と渉をしまして、勝手ながら"和解"の條件を提示させて參りました」
……どうやら、この二日足らずの期間で手を、足をかしていたらしい。
ファスが最初に言ってしまわなかった理由は、ヒトミが"和解"という手段を冷靜に判斷できるか分からないから、先に正巳に報告して判斷を仰いだのだろう。
どうしようか考えようと思った処で、し心配そうなヒトミの顔が見えた。恐らく、何か良くない事があったのでは無いかと心配をしているのだろう。
そんなヒトミの顔を見たら、特に考える必要が無いと気が付いた。
ファスに『心配ない』と言うと、心配そうなヒトミに言った。
「不産屋と襲って來た男達だがな、和解するか裁判に掛けるかって話になってるみたいなんだ。それで、どうするかなんだが……」
予想していたのは、ヒトミによる『裁判です!』という半ば短絡的な発言だった。しかし、実際にヒトミが言った言葉はし違った。
「私は、罪を償うのが良いと思います。でも、どうせ直ぐに出てきたり、あの男みたいに実際に罪を償う事もしないで外を歩き回ったりするんですよね?」
……正直、し心した。
恐らく『あの男』というのは、ヒトミの家に侵して家の中でモノを漁っていた"浩平"の事だろう。執行猶予が付いて罪を犯したにも拘らず、自由にしていたという事が、ヒトミにどう影響を與えたかは分からなかったが、し現実的なモノの見方になったらしい。
「それじゃあ、"和解"するのか?」
正巳としては、元兇である不産屋の男――黒渕が裁かれれば、他の"道"でしかなかった者などはどうでもよい。それこそ、形だけ"処分された"となって終わるよりは、けた被害を金銭での補填としてけた方が都合が良いし、納得が出來る。
正巳の"和解"という言葉に反応していたヒトミだったが、しして言った。
「心からの和解は出來ませんが、その條件が聞きたいです」
……強したたかになって來た様だ。
ヒトミの言葉をけ、視線を向けて來たファスに頷いた。正巳の反応を見たファスは『それでは、和解の條件ですが……』と話し始めた。
ファスの話す様子を見ていた正巳は、その予め準備したような違和のない流れを見て(ひょっとして、ファスはこうなる事を予め予測していたのか?)と思ったが、何にしても頼もしい仲間が出來た事を頼もしくじていた。
「――……という事で、和解條件は"示談金1,000萬円"と"今後の不干渉"、それと向こうの申しれた"不干渉"をけれる事で、車両の修理費などの諸経費は請求してくれて良いという事でした」
ファスの言葉を聞いて疑問に思った。
「その"不干渉"というのは、向こうから?」
「はい。どうやら向こうにも"助言"をする者が居るようです」
……ファスの言っている意味が良く分からないが、何にせよ車両の修理費用が浮くのはありがたい。今回は、"修理"というよりも"改造"という方が近いだろうが、この際だから掛かった金額全て請求してしまおう。
それこそ、後で車屋の店主に連絡してハイグレードに改造して貰っても良いかも知れない。何せ、掛かった費用は全て、和解先に請求してしまえば良いのだから。
しばかり悪だくみしていた正巳だったが、不意に手を引かれた。
「正巳さん、"1,000萬円"ですって! 分け前は半分で良いですか?!」
「おい、分かった、分かったから腕を振るのは止めてくれ」
正巳の腕を摑み、ブンブンと振っているヒトミを落ち著かせながら、一先ずヒトミも和解する事に同意したという事を知って安心していた。
「――と言う事で、和解の方向で頼みたいんだが……向こうは、そんなに気前よくお金を出すような者達なのか?」
何となく、金払いが悪くそのくせ、執拗に取り立てて來るような者達を想像していた。しかし、想像に反してやけに金払いが良い気がする。
不思議に思っていた正巳に、ファスが言った。
「ええ、今回は"そうせざるを得ない"と思います。それに、恐らく掛かった費用は利子付きで不産屋から回収するでしょうし……」
「そ、そうか……」
聞かない方が良かった気がしたが、何にせよ自分で蒔いた種だ、不産屋にはきっちりと利子付きで刈り取って貰おうじゃないか。
その後、『やったー! 臨時収、り・ん・じ・収です~』とはしゃぎ回るヒトミに落ち著くように言いながら、晝ごはんにする事にした。
テンションの高いヒトミの橫では、一生懸命ジャンプしようとして失敗するにゃん太の姿があった。今はまだ早いが、今後長するにゃん太に合わせて、家にキャットウォーク(ネコ用の高い場所にある道)を作るのも良いかも知れないな、と思った。
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