《月輝く夜に、あなたと》6話
堂君と話すのは何日ぶりだろうか。
今まで私から連絡したことなんてあまりないから、し張する。
「あ、急にごめんね」
「ううん、大丈夫。
どうかした?」
前と変わらない優しい口調に気持ちが楽になる。
「ちょっと聞きたいことがあって……。
堂君の用事に合わせるから、空いてる時間ないかな?」
「空いてる時間か……。
ちょっとスケジュールを確認しておくよ。
俺も話したいことあったから」
「本當?
ありがとう、忙しいのに……」
「神崎は、俺を過大評価しすぎ。
そんなすごいやつじゃないよ」
「そうかな?」
「俺よりもすごい人は、いっぱいいるから」
その時、電話越しに
『堂、ちょっといいか』
という聲が聞こえた。
「ごめん、ちょっと呼ばれたから。
また今度」
「うん、ありがとう」
「それじゃ、また」
そう言って、電話を切った。
その様子を見ながら、桐谷漸はどうだった?と言いたげな顔をした。
「スケジュール確認しとくって」
「よし、じゃ彼から話は聞けそうだね。
それじゃ、準備しようか」
「準備?」
「行ってあげないと。
彼のお通夜」
「……うん」
桐谷漸から『お通夜』なんて話題が出るとは思っていなかったから、し驚いた。
本人は當たり前かのような態度。
その日は、そこで桐谷漸と別れ私は家に帰った。
そして、和人の家へ向かった。
和人は一人暮らしをしているから、実家に行ったことはほとんどない。
久しぶりに見た和人の両親は、前よりもシワが増え顔が悪かった。
病院でも會ったけど、家族の時間を邪魔しないために私はすぐにその場を離れたからこうして向き合ったのは久々だった。
「神崎さん……」
涙を流しながら言う和人のお母さんは、辛そうで私は何もいうことが出來なかった。
和人のお父さんは、寄り添い涙を堪えているように見えた。
「今まで、和人と……一緒にいてくれて……本當にありがとう……」
そして2人は私に頭を下げた。
「か、顔をあげてください!
お禮を言うべきなのは私の方で……」
「この間、久々に和人が実家に帰ってきたの」
「え?」
「そのときに言ってたわ。
『共に生きていきたい人がいるから、今度改めて紹介したい』って」
「和人が……?」
「自慢げに言っていたわ。
『大事な人なんだ。
楽しみにしててよ』って」
その瞬間、糸が切れたように堪えていた涙が溢れた。
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