《殺しの學》消えた被害者
午後一時。澤とジョニーは、渋谷花蓮が院している橫浜明桜病院へと向かう。
その病院の駐車場に車を停車させたジョニーは違和を覚えた。駐車場の至る所にパトカーが停車している。
その異変を助手席から降りた澤もじ取る。同時に自車から降りたジョニーは、三階建ての病棟を見上げ、そのまま病院の出り口に向かう。
一方で橫に並び歩く二人の男に気が付いた病院の駐車場近辺にいる制服警は、彼らに正面から歩み寄った。
「すみません。警察です。この周辺でこのを見ませんでしたか?」
そう言いながら制服警は一枚の寫真を澤達に見せた。すると澤は驚愕によって目を見開く。その寫真に映っていたのは渋谷花蓮だった。
「渋谷花蓮さんですね。僕の記憶が正しかったら、彼は第三の通り魔事件の被害者のはずです」
「隨分と詳しいですね」
「その彼が襲われた現場に居合わせたので。ところで、どうして彼を探しているのですか? 彼はこの病院に院中だと聞きましたよ」
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「はい。実は彼、三十分くらい前から病室から姿を消しているんです。それで彼を探しているわけで」
「正直ですね。僕達は病院に向かう道中、渋谷花蓮さんを見ていませんよ」
澤が正直に証言すると、制服警は頭を下げ、二人の元から離れた。そうして遠ざかる警察を見ながら、ジョニーは澤の耳元で囁く。
「どうする? 渋谷花蓮が病室から姿を消したっていうことは、彼は一連の通り魔事件に関與しているということになる」
「勘違いしていますね。僕達がこの病院に來た理由は、第三の被害者と接するためではなく、安田友関連の事実を調べること」
ヒソヒソ話を続ける二人を、一人のが通り過ぎる。長い黒髪に二重瞼が特徴的なの姿を橫眼で捉えた澤は、咄嗟に通り過ぎるに聲を掛けた。
「すみません。サービスエリアで出會いましたよね?」
その聲を聞き、は立ち止まり、聲を発した男の顔を見た。
「もしかして、通り魔事件の現場に居合わせた人ですか?」
「そうですよ。この病院に被害者の渋谷花蓮さんが院していることを知って、お見舞いに來たのですが、警察の話では彼が病室から姿を消したようですね。ところであなたは、なぜこの病院を訪れたのですか?」
「この病院に勤務していますから」
の答えを聞き、澤は両手を叩く。
「なるほど。現場で適格な応急処置を施していましたから、醫療関係者だとは思っていましたが、看護師だったとは」
「違いますよ。醫の大倉春香です。偶然當直の帰りに訪れたサービスエリアで、あんなことが起きるなんて思いませんでしたよ。まさか被害者のが私の勤務する病院に搬送されるとは」
「スゴイ偶然ですね。そういえば第二の被害者の安田友さんは、通り魔に襲われる前にこの病院に院していたと風の噂で聞きました。もしかして通り魔は病院に院していた人を襲っているのかもしれません」
その男の推理を聞き、大倉春香はクスっと笑った。
「殘念でした。第一の被害者の萩原聡子さんにこの病院への通院履歴がなかったことは、分かっていますから。ところで、あなたの名前を教えてくれませんか?」
「澤春樹。熱狂的な野次馬です」
「そう。澤さん。それでは、またどこかで會いましょう」
大倉春香は微笑みながら頭を下げ、二人の男から離れる。その後で澤の隣に立つジョニーは彼の肩を強く叩いた。
「どうして偽名を使わなかった?」
「警戒心を弱めるためですよ。彼とはまた會うことになると思いますから」
「これからどうする?」
「気になるが三人います。橫浜明桜病院から姿を消した第三の被害者、渋谷花蓮。都合よく第三の事件現場にいた橫浜明桜病院の醫、大倉春香。イタリアンレストランディーノの常連客の大學生、宮本栞。この三人の中辺調査を始めます」
捜査方針を決めたタイミングと合わせたように、澤の所持する攜帯電話に一本の電話がかかってくる。畫面には非通知という文字が表示されていて、澤は張の面持ちで電話を耳に當てた。そこから、ボイスチェンジャーの不気味な聲が流れる。
『ウリエルです。ザドキエルから電話番號を聞きました。初めて會ったけれど、中々やりますね』
「ウリエル。変聲の使用を止めてください」
『嫌ですよ。あなたほどの推理力があれば、私が誰なのかすぐに分かるはず』
「いいえ。分かりません」
『そう。ところで、聞きたいことがあります。最近の政治家って不正が暴かれると、決まって書がやったって言うじゃない? ああやってトカゲのしっぽを切って罪を逃れる人ってどう思う?』
「許せませんね」
ウリエルはその答えを待っていたように、話越しに頬を緩めた。
『やっぱり私と同じ。それが聞きたいだけだから、電話を切ります。それでは、またどこかで會いましょう』
電話が一方的に切れてから三十分後、新たな事件が起きる。そのことを澤達は知らず、再び捜査のために、街へと車を走らせた。
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