《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》閑話 はじめての嫉妬!

私はニケ。勝利を司る神です

アテナ様を主として、アテナ様の付き神お世話をさせて頂いております

[あ~ひゃひゃひゃひゃ!ひぃ~お腹痛い~!]

〔......ぷっ〕

今私の目の前では二人の神様が笑い転げています

どうしてこんな狀況になっているのか......

それはし前に遡ります

□□□□

[アテナっち。お邪魔するよ~]

〔.....アテナさん。お邪魔します〕

お二人がアテナ様を訪ねてこられたのは、アテナ様と歩様を異世界に送り出してすぐのことでした。

アテナ様は生來自由奔放にて裏表のない格の為か、多くの神々にされています

ですので、こうしてアテナ様の元を訪れる神様はなくありません

[あれ?ニケちゃん一人?アテナっちは?]

こちらの快活な格の方が狩猟の神であるアルテミス様

〔......〕

こちらのもの靜かな格の方が穣の神であるデメテル様

お二人ともオリンポス12神の1柱に數えられる神様です

つまり私の主であるアテナ様と同格の神様ということになります

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《アテナ様は有給休暇を利用して異世界旅行に行かれました》

[ニケちゃんは一緒に行かなかったの?]

《いえ、私は仕事がありますので......》

そう、私の仕事はアテナ様の付き神だけではありません

アテナ様のお仕事である世界管理の補佐も擔っています

《ニケちゃんは相変わらずまじめだね~。肩の力を抜きなよ~。勇者は送り込んだんでしょ?だったら100年や200年放っておいても大丈夫だよ。ね~?デメテル》

〔......アルテミスはテキトーすぎ。でも有給休暇の50年ぐらいなら問題ない〕

(まじめ......やはりそうなのでしょうか)

確かにお二人が言われた通り、今のところ私の仕事は特にありません

基本的に、その世界の事はその世界の人間に任せることが決められています

私達の仕事は、今回の魔王のようなイレギュラーな場合にのみ勇者を送り込んだりするな、ちょっとしたお手伝いだけです

だからこそアテナ様も有給休暇を取得することができたわけで......

[でもニケちゃんがここにいるってことは、アテナっちのお世話はどうなってんの?]

《異世界の方にお任せしました》

[......大丈夫?]

《多分大丈夫かと思います。と言っても、アテナ様がテキトーに決められたんですが......》

そして私はお二人に先程まで、ここであった出來事を詳しく話しました。

[アテナっちらしいね~。楽しそう!見てみようよ!]

〔......気になる〕

こうして、私とアルテミス様、デメテル様はアテナ様の異世界旅行を眺めることになったのです。

□□□□

[お、出た出た]

〔......うろうろしてる〕

水晶に映し出された映像は、アテナ様達が異世界に到著したばかりのものでしょうか

アテナ様は手持ち無沙汰でうろうろしていて、歩様はまだ目覚めていませんでした

そしてアテナ様は何をする訳でもなく、そのまま歩様のの上ですやすやと眠ってしまわれました

〔......寢ちゃった〕

《そう言えば、昨夜は興しすぎてあまり寢れなかったって言ってましたね》

[子供かっ!?]

その後私達がしばらく眺めていたら、歩様が目覚めたようです

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「涎垂らしていつまでも寢てんじゃねぇ!汚ねぇえな!」

『ぎゃふ!?』

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[〔《ええええ!?》〕]

これには私だけでなく、アルテミス様や普段寡黙なデメテル様も驚いていました。

普通、寢ているの子を払いのけるでしょうか

[え?うそ?今アテナっちを払いのけた?あれってご褒じゃないの!?]

〔......ご褒なはず〕

ご褒とやらがなんなのかは知りませんが驚きました

歩様はお優しい方だと思っていたので、ちょっとショックです

また別の場面では、

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『それにー私抱き枕ないと寢れないんだよねー』

「誰が抱き枕だ!ふざけんな!」

『ふえ~~~ん。痛いってば~!』

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この場面でも、

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『よかったじゃーん!楽して強くなれるとか歩にピッタリだねー( ´∀` )』

「おい、どういう意味だ?人をナマケモノみたいに言うな!」

『ふえ~~~ん。ごめんなさいー』

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たびたびアテナ様が、歩様に頬をつねられていました

[へぇ~。やるね~彼。神相手でも容赦ないっていうか]

〔......こわい〕

アルテミス様とデメテル様はまるで映畫でも見るかのように楽しんでおられました

ただ、確かに歩様は容赦ないですが、よく見るとアテナ様が原因なような......

更に別のシーンでは、

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『やだよー。もうラビちゃんって名前つけ.....げべっ!?』

「お前って究極のバカだろ」

『ひどい!?の子が痛がってるのにその言い草!?』

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うさぎに突撃され、地面に突っ伏すアテナ様

そして、そんなアテナ様を呆れたように見下す歩様

[いや~本當容赦ないわ~。これ、アテナっち大丈夫?]

〔......心配〕

正直、私も不安になってきました

下界では男の人はの人に優しくすると聞いたはずなんですが

しかし、そんな私達の不安を拭い去るような一面もありました

アテナ様のワンピースについた埃を払ってあげたり。

地べたに座らせることなく、自分の膝の上に座らせたり。

落ち込んでいるアテナ様に自然と手を差しべたり。

それらをしている時の歩様の眼差しはとても溫かいものでした

[ふ~ん。冷徹な男かと思ったけど意外と紳士な面もあるじゃん]

〔......やさしい〕

(よかった。やっぱり歩様はお優しい方でした)

私の心の中で安堵とともに何か溫かい気持ちが芽生えました

しかし次の映像を見た瞬間、

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『歩~!顔、真っ赤~!』

「う、うるせぇな!の子と手を繋ぐの初めてなんだよ!」

『そうなのー?じゃあ私が歩の初めてなんだねー?やったー!』

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(歩様のはじめて......)

───ずきっ!

私の心に得の知れない痛みが襲いました

《・・・ッ》

[どうかした?]

〔......大丈夫?〕

《い、いえ。なんでもありません》

(この得の知れない痛みはなんでしょうか)

私はひそかに不安と恐怖を抱くようになりました

私は異変をじながらも、その後も私とアルテミス様、デメテル様の鑑賞會は続いていきました

そして冒頭に戻ります

□□□□

[あ~ひゃひゃひゃひゃ!ひぃ~お腹痛い~!]

〔......ぷっ〕

《ア、アルテミス様、わ、笑っちゃ、ア、アテナ様に悪いですよ》

今私達は笑いを必死に堪えています

いや、笑ってる方もいますが......

その後も続いたアテナ様と歩様のやり取りは、十分に笑えるものでした

餅ついておを押さえながらもがくアテナ様。

宿屋の場所が分からず、すごすご戻ってきてつねられるアテナ様。

なんだかんだ言って、膝の上を許してしまった優しい歩様

そして極めつけは、

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「俺さ.....どうやら子供が好きみたいだ。アテナ可いよアテナ」

『誰が子供よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これでみんな噴き出してしまったわけです

[ひぃ~こ、子供。アテナっちが子供。あひゃひゃひゃ]

〔......ア、アルテミス。わ、笑いすぎ〕

私も噴き出しそうになりましたが、それよりも......

アテナ様を見守るときの溫かい眼差し

スキルを真剣に考えているときの歩様の橫顔

(歩様はあんな顔もされるんですね)

私の心はキュンと、ときめいてしまいました

□□□□

しかし、アテナ様の鑑賞は面白いことばかりではありませんでした

の知れない痛みが時折襲ってきたのです

例えば、歩様はアテナ様を子供のようだと言ったのに、トイレの処理の時、明らかに興されていました

例えば、歩様はアテナ様を子供のようだと言ったのに、を拭かれる時、鼻を出されていました

歩様のそういうお姿を見る度に、私の心はずきずきと痛みました

そしてしまいには、歩様はアテナ様のを見てこんなことを言い出したのです

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「うん、やっぱりしいな」

『ありがとー!自慢なんだー!』

「確かに自慢にするぐらいのことはあるな」

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《あ~ゆ~む~さ~ま~!!!》

お腹の底から底冷えするような低い聲を自然と出していました

[ひぃ!?ニケちゃん、どうしたの!?]

〔......〔ぷるぷる〕〕

私の突然の変調にアルテミス様やデメテル様は怯えていましたが、今はそんなことに構ってはいられません

(私というものがありながら!私というものがありながら!!アテナ様に見惚れるとは何事ですか!!!)

私の心の中はどす黒いに支配されていました

このがなんなのかはわかりません

でも、歩様がアテナ様に鼻の下をばしている姿を見るとイライラします

しかし次ぎの映像を見た瞬間、

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『えー?そうなのー?どうしてー?』

「俺はニケさん一筋だからだ!お前は単におっぱいとしてしか見ていない!」

『誰がおっぱいよーーーーーーーーーーーーーーーー!』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[お、おっぱい......あ~ひゃひゃひゃひゃ!ひぃ~お腹痛い~!アテナっちは単なるおっぱい!あひゃひゃひゃ]

〔......ぷぷぷ。こ、子供に、お、おっぱい。言い得て妙〕

アルテミス様とデメテル様は笑い転げていましたが、私は別の言葉に反応していました

《わ、私一筋だなんて......歩様ったらもう///》

[デメテル。ニケちゃんのさっきの様子ってまさか......]

〔......嫉妬〕

どうやら私が抱いたどす黒いは嫉妬というらしいです

これが私と嫉妬のはじめての出會いであり、

これからも末永く付き合うことになる戦友だとは、その時は思いも寄りませんでした

[くくく。あの真面目なニケちゃんが嫉妬ね~。なんか楽しいことになりそう]

〔......アルテミス。悪い顔してる〕

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