《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第37歩目 はじめての智慧!雇用契約4日目
前回までのあらすじ
アテナは死んだふりをしていただけで死んでなかった!
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□□□□ ~私の歩だから!~ □□□□
「キキィ」
俺の反撃に怯んでいた魔達がまたき始めたようだ。
アテナが無事だったのはいいが、極めて不利な狀況なのは変わらない。
「アユムさん。どうします?」
「ラピスー?どうしたのー?」
真剣な表で尋ねてくるラズリさんに対して、全く狀況を理解していないアテナ。
お前は危ないと思ったから、死んだふりしてたんじゃないのかよ!
「作戦は変わりません。俺が魔を蹴散らしますので、ラズリさんはアテナを連れて逃げてください。俺も二人が安全だと判斷したら逃げます」
現狀これしか打開策はない。
かなりの數の魔を倒したはずなのだが、未だ魔が部屋をひしめいている。尋常ではない數だ。
「わかりました。アユムさんに神様のご加護がありますように」
「えー?私ー?もう加護あげてるよねー?」
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「アテナを頼みます。地上で會いましょう」
バカがなにか言っていたが、ラズリさんは優しい眼差しでスルーしてくれたようだ。
自分を神かのように語る子は、例え本當に神であっても、普通なら痛い目で見られても仕方がないだろう。
とその時、
「よっこらしょ♪」
───ぷるんっ
す、座るだけで揺れるとかさすがアテナだ。
「アテナさん!?」
「お前なんで座ってんだよ!?話を聞いてなかったのか!?今からラズリさんと一緒に逃げるんだよ!」
アテナのおっぱいに魅っている場合じゃなかった!
「ラピスー!お腹減ったー!お菓子ちょうだーい!」
「え?いや、それは構いませんが.....アユムさん?」
「お菓子は地上で食えよ!今はとりあえず逃げろ!」
「やだよー!だってー疲れたんだもーん(´-ε -`)」
疲れたって.....お前は死んだふりしてただけだろ!
アテナはどっかりと座り、その場にを下ろしたかのように全くく気配がない。
きれいなワンピースが.....いや、もう泥だらけだから大丈夫か。
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「アテナさん。これ以上はアユムさんに迷がかかります。急いで逃げましょう」
ラズリさんがアテナの説得にかかる。ラズリさんも真剣だ。
「んー?なんで逃げるのー?」
「「え?」」
俺とラズリさんが固まる。
こいつは真のバカなのか?
今の狀況はバカでもわかるだろ!
隅に追いやられ、四方八方を魔に囲まれ逃げ道がない。
どれだけの數の魔がいるのか全くわからない。
それぐらい魔が部屋の奧までうごめいている。
かなり絶的な狀況だ。
それなのにアテナは平然としている。
「逃げる必要ないよー?なんで逃げるのー(。´・ω・)?」
「い、いえ。この狀況だと逃げないと危ないですよね?」
「なにがー?全然危なくないよー?」
危険をまるでじていないアテナの様子にラズリさんは狼狽した
「ど、どうして危なくないんです?」
「歩がいるじゃーん!私の歩は魔なんかに負けないよー?」
「誰がお前のだ誰が!それにさすがの俺でも.....」
「大丈夫ー!私の歩は絶対負けないよー!」
あくまでお前のだと言い張るのか.....
それにしてもこの全幅の信頼。
前々から思っていたが、どうしたらそんなに俺を信じられるのだろうか。
「歩頑張ってー!にへへー(*´∀`*)」
アテナは八重歯を覗かせながら、にぱー☆と微笑んだ。
「アユムさん?顔が赤いですよ?」
「な、なんでもありません!」
くそっ!すごくかわいいじゃないか!
「やるだけやってみます!ラズリさん、アテナを頼みます」
なんだかんだアテナの応援でやる気になった俺は、再び魔と対峙する
「アユムさん.....無理はしないでくださいね」
「ラピスー心配ないよー!
私の歩はいじわるするけどー、噓ついたことないもーん!
私とラピスを絶対守ってくれるよー!
だからーお菓子でも食べて待ってよーo(≧∇≦)o」
俺からは、もう既にアテナの表は見えない。
でも背中越しに、いつものようににぱー☆と可らしい笑顔が向けられているのはなんとなく分かる。
ここまで信頼されているんだ。ご期待に添えるよう頑張りますか!
俺が気合いをれると同時に、魔の猛攻が始まった。
□□□□ ~アテナの智慧?~ □□□□
アテナの応援でやる気に満ちている俺だが、狀況はあまり変わらなかった。
相変わらずボス猿の的確な指示による連攜で思うように戦えない。
ただ変わった點があるとすれば、ラズリさんへの急襲がなくなったことだろうか。
先程の俺の阿修羅の如く反撃で子分猿が何匹かやられている。
自分の勢力が弱まるのを嫌ったのか、はたまた勢力溫存作戦なのか
とりあえず猿の急襲がなくなったことで、後ろへの懸念がなくなったことはありがたい。ありがたいのだが.....
「おいし~~~~~~~~~~~~~~o(≧∇≦)o
このクッキーのふんわりもちもち!さいこー!
まるで赤ちゃんを食べてるみたーい!」
どんな想だよ!?
赤ちゃんを食べたことあるのか!?
「ありがとうございます。紅茶のおかわりもありますよ」
「飲む飲むー!ラピスが仲間でよかったー!便利ー!」
便利とか失禮だろ!
てか、お前らくつろぎすぎ!
ラズリさんも最初は警戒していたのだが、脅威がないと分かった途端、アテナと一緒にくつろぎ始めた。
クッキーを作り始めた時なんて孤獨をじたほどだ。
俺も食べたかった.....俺の分殘ってるかな?
冗談はさておき、どうしたものか。
現狀を打開できる策が全くない。
そんな途方に暮れていた俺に意外なところから助け舟がきた。
「歩~まだー?」
「くつろいでるくせに文句言うな!
文句があるならどうしたらいいか考えろ」
「しかたないなー。智慧を貸してあげるー!」
智慧って.....ボス猿よりも低そうなのに。
俺は期待しないでひたすら魔を屠り続けた。
腕が若干痺れてきたような気もするが弱音は吐けない。
「アテナさん。それはなんですか?」
「スマホー。私の智慧袋なんだー!」
「見たことないものです。新しい魔道ですかね?」
「そんなとこー」
會話からするとアテナは元俺のスマホでなにかを調べているらしい
「あったあったー!(ボリボリ)これだよー、歩~!
はやくはやくー!(バリッ)」
「アユムさん!(パリッ)急ぎましょう!」
お前らはバカか!?見たくても俺は見れないんだって!
「(ボリボリ)あっ。アユムさんは見れないですね」
「そっかー。(バリッ)ちょっと待っててー(ボリボリ)」
なにボリボリ言ってんの!?今度は煎餅か!?
「えっとねー。昔のえらい人が言ってたんだけどねー(バリッ)」
「偉い人って誰だよ!?」
「(ボリボリ)しらなーい。でもえらい人だよー。たぶんー」
とりあえず煎餅かなにか食べるのやめろ!気が散る!
「一人の敵を倒すには一振りの剣があればよくて、一群の敵を倒すにはさらにー槍があればいいらしいよー。歩もそうすればいいじゃーん!」
そうすればいいって、アテナはなにが言いたいんだ?
一人倒すには剣が一本あればいいのはわかる。
実際剣Lv.3のおかげで今まで戦えているのだから。
一群ってのは複數のことを指すのだろう
一本の槍があれば複數と戦えるってことは、俺に槍を取れと?
それは構わないが....槍はどこにあるんだよ?
ま~たアテナのテキトーな思い付きか?
なにが智慧の神だよ!あてにならないな。
「どういう意味ですか?」
「俺に槍で戦えって意味らしいです。
でもアテナ、槍はどこにあるんだ?」
半ばバカにしたような口調で背中越しにいるアテナに問い掛けた。
「槍~?ちがうよー。このえらい人はこう言いたいんでしょー。
敵によって戦い方を変えればいいってー」
なるほど!そういう意味か!
確かに群がる魔相手にちまちま剣を振り回していてもラチがあかない。
多対には多対のやり方をとるのが當たり前だ。
「そうなると.....魔法ですよね?」
「そうそうー。魔法でババンーッて倒せばいいんだよー」
「でもアユムさんはLv.1魔法しか使えないですよね?
高位魔法を使えるなら最初から使ってたでしょうし」
ラズリさんはなかなか鋭い。
アテナから神ポイントで取得すれば使えなくもない。
ただいきなり使えるようになったら怪しまれるだろう。
俺はどうしようか悩んでいたら、そんなことを悩むのもバカらしいといったじで切り出してきたのは當然こいつだった。
「歩なら使えるよー!」
「え?なんで使えるんですか?」
「私の歩だからだよー!私の歩はすごいんだからー!」
なんでもかんでもそれで済むはずが.....
「確かにアユムさんなら或は.....」
信じちゃうのかよ!?
バカな會話だが、なんだかテレくさい。
アテナの宗教並心配になるほどの盲信に、ラズリさんのお人よしな純真ハート。
.....本當に守ってあげないと心配になる二人だ。
「それで?俺はどこまで使えるんだ?」
「Lv.3まで使えるよー。火だけだけどねー」
ふむ。火か。
今の魔の群れが豚に、バブ○スライム、木のおばけ、こうもり、猿だ。
こうもり以外は火に弱いはず。
アテナにしてはナイスチョイスだ。
俺が考察していたら、突如驚きの聲が上がった。
「Lv.3!?大魔道士クラスじゃないですか!?」
「よゆうーよゆうー。だってー、私の歩だもーん!」
「ア、アユムさんならありえますよね.....?」
なんか変な納得のされ方してないか?
俺ならなんでもありえるみたいな.....
そういうのは勇者の役割だろ。俺は凡人なんだが?
それにしてもLv.3魔法で大魔道士クラスになるらしい。
ラズリさんが驚くぐらいだから余程だろう。
確か魔法は、Lv.1が見習いで、Lv.2で一人前。
そしてLv.3で大魔道士となるみたいだ。
やはりレベルが1上がるだけでも、ける恩恵がとてつもなく大きくなるようだ。
「歩は魔法だけじゃないよー?剣ももLv.3だしねー!」
「ええ!?そんな人聞いたことありませんよ!?」
アテナは自分のことのように、ラズリさんに自慢をしている。
きっと神級おっぱいは揺れていることだろう。
見れないのが惜しい!
それにしても.....
勝手に人の能力バラすなよ。マナー違反だぞ?
それにラズリさんが言った容も気になる。
「聞いたことないって.....勇者とかならありえますよね?」
「ありませんよ!勇者様にもよりますが、大は剣だけ超一流とか、魔法だけ超一流とかがほとんどです!」
.....え?マジ?勇者って萬能じゃないの?
いや、だからこそアテナが嬉しそうに自慢しているのか。
勇者よりも俺のほうが萬能とかシャレにならん。
絶対にしていかねば!
「アユムさんステキすぎます!ぜひ私と人になりましょう!
人が無理なら人でもいいです!」
「ごめんなさい」
「な~んでですか~!
人はともかく、人ならいいじゃないですか!」
「人とか.....自分を大切にしてください。
人は百歩譲っていいとしても、人だけは絶対ダメです」
ラズリさんはステキな人なんだから、自ら自分の価値を貶しめるようなことは言わないでしい。
「アユムさん.....ありがとうございます。嬉しいです」
「分かって頂けたならなによりです」
「ではよろしくお願いします」
「なにが!?」
「人なら譲って頂けるんですよね?ありがとうございます」
「しつこいな!あんたも!」
全然分かってなかったよ!この人は!
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後書き
次回、智慧の神アテナ!
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今日のひとこま
「スマホって、元々歩さんのだったんですね」
「そうですよ。それがなにか?」
「アテナさんだけずるいです!」
「なにが!?」
「あれって、れっきとしたプレゼントですよね?」
「いやいや。おもちゃ代わりにあげたんですよ」
「しかも見たことがない魔道でした」
「あ、あの聞いてます?」
「私は彼なのにプレゼントをもらったことないです」
「彼って契約期間中の、ですよね?」
「彼にはプレゼントしないのに、アテナさんにはするんですね」
「お~い?ちゃんと話を聞いてます?」
「彼なのに。彼なのに。彼なのに」
「あ、あの.....」
「彼なのに。彼なのに。彼なのに」
「わかりました!なにかプレゼントします!」
「本當ですか!嬉しいです!」
「なにかしいものありますか?」
「なんでもいいんですか?」
「俺が用意できるやつでお願いしますよ?」
「アユムさんしか用意できないものです」
「.....え?ま、まさか」
「な、なにかアユムさんとお揃いのものがしいです///」
「.....へ?あ、あぁ、いいですよ」
「どうしました?」
「な、なんでもないです」
てっきり俺がしいとか言い出すかと思った。
疑ってごめん。ラズリさん
「あっ。でもアユムさんでも❤」
やっぱりラズリさんはラズリさんだな。
【完結】処刑された聖女は死霊となって舞い戻る【書籍化】
完結!!『一言あらすじ』王子に処刑された聖女は気づいたら霊魂になっていたので、聖女の力も使って進化しながら死霊生活を満喫します!まずは人型になって喋りたい。 『ちゃんとしたあらすじ』 「聖女を詐稱し王子を誑かした偽聖女を死刑に処する!!」 元孤児でありながら聖女として王宮で暮らす主人公を疎ましく思った、王子とその愛人の子爵令嬢。 彼らは聖女の立場を奪い、罪をでっち上げて主人公を処刑してしまった。 聖女の結界がなくなり、魔物の侵攻を防ぐ術を失うとは知らずに……。 一方、処刑された聖女は、気が付いたら薄暗い洞窟にいた。 しかし、身體の感覚がない。そう、彼女は淡く光る半透明の球體――ヒトダマになっていた! 魔物の一種であり、霊魂だけの存在になった彼女は、持ち前の能天気さで生き抜いていく。 魔物はレベルを上げ進化條件を満たすと違う種族に進化することができる。 「とりあえず人型になって喋れるようになりたい!」 聖女は生まれ育った孤児院に戻るため、人型を目指すことを決意。 このままでは國が魔物に滅ぼされてしまう。王子や貴族はどうでもいいけど、家族は助けたい。 自分を処刑した王子には報いを、孤児院の家族には救いを與えるため、死霊となった聖女は舞い戻る! 一二三書房サーガフォレストより一、二巻。 コミックは一巻が発売中!
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